彼氏が旅立って1年。
今どこにいるのかわからない。
自分がなんのために生きてるのか
そんなことすらわからない。
自分の部屋に入ると
今日は鏡が輝いて見えた。
反射するだけの鏡が
今日はなんだか違った。
鏡に手を触れてみた。
いつもと変わらないはずだった。
はず…だったのに…
鈴音
やめて…!
私は手から順に
鏡に吸い込まれていった。
鈴音
やめて…帰らせて…
辿り着いたのは
見たこともない世界。
鈴音
え…龍我…?龍我!!
龍我
…………………
鈴音
私だよ!鈴音だよ?
龍我
…………………
鈴音
ねぇ!!龍我!!
鈴音
龍我!覚えてないの?
たどり着いた先は
"死後の世界"
龍我はもう居ないはず…
私の目には見えてる…
嬉しいのに喜べない。
嬉しいのに…。
龍我
キ、キミハダレ…?
カタコトで喋る龍我。
鈴音
鈴音だよ?
鈴音
一緒に付き合ってたじゃん。
龍我
オボエテナイ…
龍我
シラナイ。
龍我
ミタコトナイ。
鈴音
じゃあ自己紹介していい?
龍我
ウン、イイヨ。
鈴音
鈴音です。中学生です。
1年前までは彼氏がいました。
佐藤龍我という彼氏です。
1年前までは彼氏がいました。
佐藤龍我という彼氏です。
龍我
オ、オレ?
鈴音
龍我くんはいつでも優しくて
一緒に登下校してくれました。
身長が高くて一目惚れしたのを
覚えています。
一緒に登下校してくれました。
身長が高くて一目惚れしたのを
覚えています。
龍我
スズネチャン…
龍我
オレ、オモイダシタイ。
龍我
ダケドオモイダセナイ。
頑張って喋る龍我くん。
笑うことなんか出来なかった。
どんな龍我くんでもいいから
私という存在を思い出して。
私はずっと大好きだよ?
龍我
ナンカワカッテキタキガスル…
鈴音
ほんとに!?
龍我
デモワカンナイ…
鈴音
いいよ?ゆっくりで。
だって
私の気持ちは変わらないから…