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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

結子さん

陽…100点でよかった

陽くん

ううん、お母さんがいてくれたおかげだよ

結子さん

もう中学校も3年目だし…来年は高校生ね

陽くん

うん、台頭高校だよね、大丈夫、分かってるよ

結子さん

そう…それで、私のことも養ってね

結子さん

お母さんを捨てないで…?

結子さん

影は…あの子はいいの、バカなままで

結子さん

だからね、陽…あなたはお願いだから、完璧でいて…!

結子さん

誰にもあなただけは、責められないように!!

結子さん

私の息子はすごいのよって…!

陽くん

お母さん、もういいよ、分かってる

俺が母の望むままであれば

母はあまりヒステリーを起こさないし、影にも何もしない

結子さん

じゃあお母さんは…行くから

陽くん

うん

ガチャンと鍵の音がして、息を吐く

陽くん

…影、出ておいで

陽くん

もう大丈夫だから

影くん

あ…あの、人は…?

陽くん

…行ったよ

どこへ行くの?

そう聞くことはできなかった

それから少しして、父の電話のシーンを見かけた

陽くん

(…デジャヴ)

 

…っお前、ほんとに…何を、してるんだよ…?

嘆くような、振り絞るようなその声は俺を苦しめた

陽くん

…お父さん

 

…陽……っ

 

ごめんな…ほんとに……

陽くん

どうしたの?

陽くん

俺は大丈夫だよ…それより

陽くん

お父さんのほうが、大丈夫じゃなさそうだ

影くん

…あ

ずっと母がいるときは必要最低限以外は自室にこもっていた影が

飲み物を取りに来て、母と鉢合わせた

結子さん

…っあんた───!!

影くん

…っ!

陽くん

お母さん!

陽くん

…手、おろして

結子さん

影はタタッと部屋に駆けて行った

陽くん

…お母さん、何してるの?

母は一旦頭を抱えて座り込んだあと、立ち上がる

そしてキッチンに向かう

陽くん

…?

結子さん

…ねえ陽

陽くん

…ん?

結子さん

陽は、ずっと完璧でいてほしいな

結子さん

陽は…

結子さん

結子さん

…陽が、私をみじめにさせた

陽くん

…え?

結子さん

影だけなら捨てられたのに

結子さん

陽はいつも私の期待を裏切らないから

結子さん

ここにいる、理由だったの

結子さん

結子さん

でもこの家はいつも私をみじめにさせる!!!!

結子さん

なのに…どこに行ってもいつもいつもうまくいかない!!!!!

結子さん

そうよ…あんたのせいなのよ…!!

結子さん

あんただけ幸せにはさせない

結子さん

地獄に突き落としてやるから…!

陽くん

お母さん…っ

パシン、と強く音がして

それが自分の殴られた音だと気づくまで時間がかかった

陽くん

(…っ耳が、聞こえな───)

結子さん

あんたは一生私と一緒に…不幸でいてよ…っ

結子さん

ねえ…っ!!

体を揺さぶられて、ドン、ドンと胸を叩かれる

陽くん

…大丈夫だよ

陽くん

一緒に地獄に堕ちればいい。

結子さん

……ぃ

グサ、と刃物が母に突き刺さる

キンと耳鳴りがする中、俺は…ただ、立ち尽くした

陽くん

…っお母さん!!

 

…ごめんな、陽、影……ぜんぜん、分かってなかった…

父は謝って、俺と影を抱きしめた

陽くん

…ううん、大丈夫だよ

影くん

うぁぁぁあん…!

歪だった俺たちの家庭は

壊れてしまった

陽くん

…ふふ、ばかみたい、だよね

陽くん

……でも母親が死んで

陽くん

やったあよかったね平和だね、なんてそんなこと俺には…。

陽くん

目の前で母の死を見て

陽くん

俺はその言葉に…囚われずには、いられなかった

陽くん

母親みたいに、将来自分の子にもそういうことをしてしまうのかもしれない

陽くん

だったら子どもなんて持たないし、他人に肩入れはしない

陽くん

冷静で、ただ人の支えでいられるように…感情なんて、こもらないように

陽くん

…そうやって、育ってきた

…っ

正直言うと、怖かった

陽くんの家庭は、わたしが思ってたよりずっと

陽くん

…もう、帰りな

眠ってしまった影くんの頭をソファにあずけ、陽くんは立ち上がった

陽くん

わざわざ遠いのにありがとう

…うん

陽くん

月ちゃん

ん?

陽くん

…ごめん

…え?

小悪魔な月ちゃんは陽センパイにだけ勝てない

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コメント

3

ユーザー

お母さんにとって陽センパイは“完璧な息子”だったけど、最終的にはそれさえも憎くなってしまったんだね……。陽センパイはいつ、どんなときも必死になってたのに……😢💦影くんもお母さんの視界に入らないようにしてて…… 陽センパイと影くんは凄く辛く大変な思いをしてたんだな、って伝わってきたし、陽センパイがいつも笑顔な理由もこの話を読むと結構グってくるなあ……😭😭

ユーザー

陽くんはなにもしてないのに償いとかそういう人の人生の歯車みたいなかんじで生きようとしてたんだってつらくなった…。 そりゃ子どものころからあんな母親だったらそれが基準になっちゃうし目の前で死なれたらトラウマだよね…

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