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シクフォニ学園の春は、どこか騒がしかった。 新しいクラス。 新しい人間関係。 笑い声。 廊下には青春みたいな音が溢れている。
でも、 黄はその輪の中に入れなかった。 入らなかった、ではない。 最初から、 ”入ってはいけない気がしていた”。
🔰ニキ
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🔰ニキ
🔰ニキ
🔰ニキ
クラスメイト
2年C組。 朝。 まだホームルーム前。
後ろの席に座っていた男子が、 ダルそうに黄を呼ぶ。
クラスメイト
黄は反射的に頷いた。
黄
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
笑い声。
黄は財布を見る。 小銭が足りない。
でも、言えなかった。 ”お金がない”
その一言で、 空気が悪くなるのを知っている。
黄
その瞬間。 教室の空気が冷えた。
男子の一人が、ゆっくり立ち上がる。
クラスメイト
黄の肩が揺れる。
クラスメイト
腹を軽く蹴られた。
たったそれだけ。
でも黄は反射的に謝る。
黄
周囲が笑った。
クラスメイト
クラスメイト
黄も、 小さく笑った。
笑わないと、 もっと怖いから。
購買へ向かう途中、 黄は自分の指先を見つめた。
震えてる。
ダメだ。
ちゃんとしないと。
迷惑かけないようにしないと。
嫌われないように。
昔からそうだった。
小学生の頃。
泣いている子がいれば、 黄は自分のハンカチを渡した。
忘れ物した子がいれば、 自分のを貸した。
でも、
モブ
誰かがそう言った。
その瞬間、 周囲が笑った。
その日から。
黄は、 ”優しい”が怖くなった。
でも、 優しくすることしかできなかった。
桃
昼休み。
廊下から響いた明るい声。
ピンク色の前髪を揺らしながら、 桃が駆け寄ってくる。
桃
黄
桃
無理やり押し付けられる焼きそばパン。
黄は困ったように笑う。
黄
桃
桃は隣に座った。
黄は小さく「ありがとう」と呟く。
その声が、 妙に弱々しかった。
桃は知っている。
黄が、 笑うのが上手いこと。
苦しいほど、 上手いこと。
最初の異変に気づいたのは、 去年の冬だった。
黄の袖から見えた痣。
消えかけた引っ掻き傷。
不自然に怯える視線。
桃
そう聞いた時。
黄は笑った。
黄
その笑顔が、 怖かった。
”何もない人間”の顔じゃなかった。
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