ゴツン!!
暇72
先程とはまた別の衝撃を額に受けた俺は
頭を後ろに振り
ガン!!
床で再度後頭部をぶつけて悶えた
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涙が止まらない目を無理矢理開いてみれば
額をぼんやり赤く染めた
満足げな表情のいるまが見下ろしていた
こいつ………
俺に頭突きしてきやがった!!💢
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いるま
いるま
暇72
いるま
暇72
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このままでは埒(らち)が明かない
そう判断した俺は
反論を諦め
いるまの話に耳を傾ける
いるま
「何が起きたんだ」
つまり……
「何故俺は吹っ飛んだのか」 と言いたいのだろうか
だが俺は言い淀んだ
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いるま
暇72
いるま
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現状、俺は
彼に馬乗りされたままであった
そのことが気になって
彼の質問に答えるどころではない
いるま
俺の言葉で我に返った彼は
そそくさと俺の上から降りていく
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俺は二度もぶつけた後頭部をさすりながら
体を起こした
いるま
返答を急かすいるま
言うのは簡単だが……
見てもらったほうが速いな
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いるま
俺はそれだけ伝え
扉を指さす
いるま
彼は俺に言われるがまま
扉まで歩いていき
廊下の惨状を一目見て
固まった
そして今(前話冒頭)に至る
いるま
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いるま
そこには
大量の瓦礫の山が築かれていた
どうやら
ついさっきまで 俺たちが歩いていた場所の天井が
崩落したようだ
この建造物の出入り口へと続く道は
見事に塞がっている
いるま
暇72
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俺は立ち上がって部屋の最奥へと歩き
壁に触れながらそういった
この、決して良いとは言えない状況 に置かれていながら
脳が平静を保っていることに
我ながら驚いている
俺はおかしいのか?
いるま
いるま
あ、ここにもおかしいやつがいた
自分と同じく 変な冷静さを見せる者が目の前にいて
俺は少し安心した
これぞ協調性バイアス
後から思ったことだが
被験者の経験から
閉じ込められることには 慣れているのかもしれない
覚えてないけど…
いるま
いるまが壁をコツコツと叩く
いるま
どうやら本気で 壁を破壊する算段を立てているようだ
いるま
いるま
ふいに彼から
小さな悲鳴が飛んできた
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何事かと思い
俺はすぐさま振り返る
視線の先には
肩をすくませるいるまと
そのすくんだ彼の肩に背後から手を置く
一人の男の姿があった
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俺は彼を知っている
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いるま
いるまの悲鳴と混ざるように
荒い息遣いが狭い室内で反響する
いふさん?!
え?
本人?!
なんでここに?
if
俺は耳を澄ます
if
微かに声の振動を感じた
彼が必死に 何かを伝えようとしていることは分かるが
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何を言っているかまでは
残念ながら聞き取れない
いるま
いるまが恐る恐る振り返り
彼と向き合った
落ち着き始めた彼の口元が
徐々に動き出す
がやはり声は聞こえない
距離の問題か?
そう考えた俺は
魔法で聴力を強化して
彼らの会話を盗み聞くことにした
if
if
そう言ったいふさんは
固く握った拳を
いるまに向かって突き出した
手のひらを上に向け
ゆっくりと開く
いるま
気のせいだろうか
一瞬
いるまの瞳が輝いているように見えた
いふさんがいるまに見せたのは
小さな指輪だった
いるま
目をこれでもかと見開き
指輪といふさんを交互に見つめるいるま
落ち着かない彼の様子から何かを悟ったのか
いふさんは話し始める
if
if
if
いるま
いるまが頷くのを確認したいふさんは
ほっとしたのか
柔らかな笑顔を見せた
if
if
いるま
振り絞るように声を発したいるまは
いふさんへ感謝の言葉を述べた
二人の会話から推測するに
いるまが図書館で指輪を落とし
そのことに気付いたいふさんが
わざわざ届けに来てくれた
てな感じかな?
いるま
渡された指輪を
いるまはその両手でぎゅっと握りしめる
まるで
それが宝物であるかのように___
いふさんは微笑みながら
彼の頭を優しく撫でた
いるまが大切なものを失くしているなんて
微塵も気付かなかった
こんなに近くにいるのに
親友なのに……
己の力不足をまざまざと見せ付けられ
俺は唇を噛み締める
if
いふさんが指輪を指さして言った
少々興奮気味である
if
いるま
彼は嬉しそうにそう話した
彼らの周りには
何かほわほわとしたものが 飛んでいるように感じる
良いなぁ
が、俺は所詮蚊帳の外
そんな彼らを
遠くからただ眺めることしかできなかった
if
ん?なんだ?
いふさんがその言葉を発したとき
俺は不審感を抱いた
二人を纏う空気が変化したからだ
先程までのあの朗らかさは
どこにも見当たらない
…深刻な話、か?
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野生の勘とでも言おうか
そんな気を感じ取ったので
俺はすぐさまいるまの元へと駆け出す
暇72
彼の肩に軽く手を添えると
彼の体が強張っているのが分かった
彼も気付いていたのだ
この不穏な空気感に
いふさんが口を開く
if
暇72
いるま
初っ端から核心を突かれ
俺たちは何も言い返せなくなってしまった
if
まずい
バレた
冷や汗が止まらない
いふさんには伝えていなかったのだ
何故俺たちが大図書館に 3年間も通い続けていたのかについて
俺といるまだけの秘密だから……
それに
ここは見るからに怪しい場所だ
最悪の場合
強制送還されることもありうる
こんなところで帰らされるわけにはいかない
どうしよう
言い訳を考えt………
だめだ
あれは確信している顔だ
もう、、、
誤魔化せないッッッ!!!
コメント
2件
初コメ失礼します!面白すぎて思わず一気見でした!!久しぶり…続き楽しみにしてます!