この王子は…。

夜の居間。

広いソファに座るいるまは、両腕を組んで強がっていた。

強がりの宣言に、すちが柔らかな笑顔を浮かべる。

勢いだけは堂々。

なつが涼しい声で横から囁く。

必死に言い訳するが、耳の赤みはますます濃くなる。

すちは横に膝をつき、そっと見上げて。

声が震え、目にうっすら涙が滲む。

なつがすかさず冷静に畳みかける。

言葉が喉で詰まり、震える声しか出せなくなるいるま。

すちは優しく微笑みながら、とどめを刺す。

ついに涙がこぼれ、顔を真っ赤にしてソファに倒れ込むいるま。

なつはわずかに頬を赤らめつつ、冷静を装って呟く。

すちはくすくす笑いながら、そっとハンカチで王子の涙を拭った。

――からかわれ、泣かされてしまったツンデレ王子。

だがその姿さえ、二人の執事にとっては愛おしくて仕方がないのだった。