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医者

ごめんよえむちゃん。お友達とは会えない。このまま手術するんだ。

えむ

……ぇ゛…?

看護師

ごめんねぇ……ごめんねぇ……!

えむ

ぁ……!ぃ゛ゃ゛ぁ゛……!

えむ

ぅ゛ぁ゛ぁ゛う゛ん゛ッ!!!

えむ

あ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛ア゛ァ゛!

医者

取り抑えろ!

看護師

は、はいっ…!

やだ、いやです、いやだ。いやだよ。司くん、寧々ちゃん、類くん、みんな、みんなと会わなきゃ

医者

緊急オペ室へ

看護師

は、はいっ

あたしの体はわたのように軽くなる。 意識が朦朧としてきた。あたしは死ぬ の?消えるの?いやだ。いやだよ 司くんに会いたい、寧々ちゃんと歌いたい、類くんと笑いたい、もう、やだ、死にたくない。死にたくないんです。たすけて、司くん、

えむ

……

がら、がらがら、どうでもいい音 わあ、わあわあ。騒がしい音 えむ、えむ。あたしを呼ぶ音 え、呼ぶ音?

えむーッ!!

司くん、

えむ

う゛あ゛あ゛う゛ん゛ッ!!

やめてください。みないで、みないで司くん、ダメだよ。こんなあたしを見ないで。

えむ

あ゛い゛あ゛お゛う゛……!

寧々ちゃんに伝わった言葉、司くんと練習した言葉、喋れた時に沢山伝えた言葉、

えむ

わ゛ん゛ら゛ほ゛い゛あ゛え゛…!

『わんだほいだね』 司くん、今日のお洋服かっこいいよ。 きっちりと黒のタキシードで 決めちゃって、どこに行くのかな? あ、利き手の方に薔薇がいっぱい、 司くん、誰かのお誕生日? あたしもお誕生日会、行きたいなあ、 連れてって

えむ

ま゛あ゛え゛!

ばいばい、はやだよ。 またね。 がいいよ。司くんと また会いたいから

えむ!どうしてだ!そこを通せ!えむ!えむーっ!

えむ

……

だめ、司くんの顔を見たら。 泣いちゃうよ。 司くんもこっち来ないでよ あたしもう死んじゃうんだよ 司くん、そんな顔しないで あたし、笑って欲しいよ。 笑って欲しい。お願い、司くんには 《笑顔》でいて欲しいよ。

看護師

えむちゃん…がんばって…!

医者

開始します。

あたし、生きたいよ。

ーーーー

えむ

あ゛……

ここは…? 天国かなあ? いやでもあたしだから地獄かな?

えむ

う゛……あ゛……あ゛…?

机の上にはいつものご飯、 あれ?夢だったっけ?

えむ

…?

いつも右に置いてる鏡を覗いた。

えむ

……?!

写ってるのは細いあたし

えむ

あ゛?!ぁ゛う゛?!

どういうこと?わからない。なんで?どうして?なにがあったの?

えむ

う゛……

諦め、なきゃね。

あたしの命はあと少しなんだ。

お手紙書こうかな。

今まで、今までのこと。

セカイはまだ始まってすらいない

…そうでしょ、司くん。

ーーー

寧々

えむ……平気かな……、

寧々

死ん……だりしてないよね

寧々

そん……な…

ピンポーン

寧々

宅配かな、

寧々ちゃんへ

寧々

…?!?!

寧々

この文字……見にくい…けど、えむ?

心配かけてごめんね。 寧々ちゃん、実はあたし もう皆とは会えません。 寧々ちゃんの歌が聞きたいなあ。 実はね、寧々ちゃん。 類くんから伝えたいことがあるはず なんだ。だからね、寧々ちゃん。 類くんとできるだけ仲良くしててね? 類くんが一生に一度のことするからね それに、寧々ちゃんにだけ。だよ。 寧々ちゃんは類くんにとって、 《トクベツ》なんだよ。 あたしも司くんの《トクベツ》に なりたいなあ。もうこんな体じゃ 無理かな。 いま、この手紙が届いてる時は まあ多分あたしもう死んでます。 まえむきな寧々ちゃんなら平気だよね できるだけ手短にしたかったなぁ。 ありがとうを伝えるだけなのに、最近 りはびり頑張ってるんだよ!えへへー がんばるね!ほんとだよ? トクベツな寧々ちゃんと最後に うたが歌いたかったなぁ、また、ね。 鳳えむ

寧々

…う………

寧々

だめ、だめだよえむ、

寧々

まだ歌ってないじゃん…ばか…

寧々

私ひとりで歌わせないでよ…!

寧々

ばか……ばかえむ……!

寧々

私っ、えむに感謝できなかったっ、

寧々

うっ、うぁあっ……!えむ、えむぅ!!

寧々

また……どこかであえるよね…!

助手

神代さん!手紙っすよ

ん?どれだい?

助手

これ……えーと……

助手

『演出天才わんだほいさんへ』…?

助手

なんだ?これ、下手な字だな

バサッ

助手

わっ?!

もっと早く紙をくれてもいいんじゃないかい?

助手

す、すいません…

ふむ…

……やはり、えむくんか。

類くんへ、 寧々ちゃんは類くんのこと大切に思ってるみたいだよ。実はね、寧々ちゃんは類くんのお話を沢山するの。それでね。あたしは思ったんだ、寧々ちゃんって、類くんマスターなんだよ!実は寧々ちゃん、お腹に子供がいるっぽい んだ!実はね、病院に来た時、寧々 ちゃんちょっとお腹いたいいたいさんだったの。それでね。あたし、気づいたんだ。寧々ちゃん、妊婦さんだよ。 類くん、寧々ちゃんのこと大切に してあげてね。類くんの演出で わんだほいにしてあげてね…! あたしは赤ちゃんのお顔見えないけど 類くんがかわりにあたしに伝えてね! 寧々ちゃん、きっとプロポーズ OKするよ!演出、受け入れてくれる人が出来てよかったね。類くん。 鳳えむ

……せ…きを………れ…

助手

…?

席を外してくれ。

助手

は、はい!

…………寧々…

そう………だったんだね…

僕は…………なんて幸せものなんだ…

……

咲希

お兄ちゃん!こんな所で寝ちゃダメでしょ?

……ああ。

咲希

えむちゃんへのプロポーズは?

…………えむ……は……

もう、会えないんだ。

咲希

……えっ?

えむにはもう会えない。

咲希

ど、どうして?!

えむはもう無理みたいなんだ。

咲希

そんな………

咲希

えむちゃん…

……

ぽすっ

咲希

だからここで寝ちゃダメだよ…!

儚ゐロケットペンダント

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