ゆづ
ゆづ
ゆづの力は風の力だった
自由に風を操って
よく空を飛んで怒られていた
能力は見せびらかすものじゃないって
ゆづ
今まで風の能力だと思っていたものは
空気を操る能力だった
それが急に
暴走した
ゆづ
どうしよう、どうしよう
ゆづが死んじゃう
それで頭がいっぱいで
誰か大人を呼んでこなきゃ
分かってた
でも俺が動くより
ゆづの限界の方が早かった
ゆづ
ゆづ
ゆづ
ゆづ
ドォッッツ
耳をつんざくような爆発音と衝撃
気づいたら地面に打ち付けられて倒れていた
状況が理解できなかった
身体中痛かった
目眩がした
それでも
友達が苦しんでいるのを知っていたから
死ぬ気で動いた
なのに
ゆづ
彼は血だらけで倒れていて
少しも動かなくて
呼吸も
心音も聞こえなくて
声をかけても
揺らしても
彼の目が開くことはなくて
ゆづが死んだ
そう告げられたのはもう陽の傾いた夕暮れ
先生は無表情で俺に彼の死を告げた
なんで彼が死ぬんだ
あの時何があったんだ
あの時
俺がちゃんと動けていれば
彼は助かったんじゃないか
そう考えると
息が詰まって
苦しくて
思い出したくなくて
俺は
彼を忘れた
ちぐさは俺たち5人より後から隊に入ってきた
ちぐは小さい子だった
背は勿論小さかったけど
発作が起こったらすぐ死んでしまいそうな
そんな儚さがあった
みんなで頑張って話しかけたのを覚えている
千鶴
今のちぐは
あの頃と同じ顔をしている
今触れたら
壊れて
消えてしまいそうな
でも
今度はちゃんと
助けるんだ
千鶴
千鶴
千鶴
千鶴
千鶴
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