らん
壱話 記憶の端に
らん
ぅあ…
周りの声や音は聞かない聞こえない
ただ無心で殴られ蹴られる
外に助けは求めない
ただひたすらに
殴られ
蹴られ
切られ
刺され
焼かれて
日に日に痛覚がマヒする
痛覚だけじゃない
喜びも
悲しみも
驚きも
楽しみも
怒りも
悔しさも
愛情も
目の前から
ひとつ残らず消えてゆく
らん
今日は軽かったな
らん
忙しいのかな
らん
作ったご飯がおいしかったかな
らん
いいことがあったのかな
俺はこの日を境に
一人ぼっちになっちゃった
らん
ここか…
こさめ
おはよ!!
隣の席の雨乃こさめです!!
隣の席の雨乃こさめです!!
らん
桃浦らん。よろしくね
愛想笑いだけしとけばいい
殴ってくるであろう人と仲良くする必要なんかない
こさめ
愛想笑い。上手だね
らん
ああ…バレたか
らん
キモイでしょ
こさめ
そうかな?こさめはそういうの出来ないから嫌われたことあるんだよね
こさめ
周りの機嫌損ねないしいいと思うよ!!こさめは!!
らん
!!??
らん
大声でそういうこと言わない方が…
こさめ
じゃあこさめがいじめられたらLAN君がこさめのこと守ってよ!
らん
それぐらいなら…
身代わり人形になればいい。
いくらでもできる
こさめ
こさめもLAN君の事守るから!!
らん
え…
俺は数年ぶりに
驚いた
らん
俺なんかに構ってもいいことないよ
こさめ
そう?仲良くしたいな!!
みこと
おはよ!!こさめちゃん!!
こさめ
みこと君!!友達出来た!!
みこと
わぁ!!王子みことって言います!!よろしくね!!
らん
桃浦らん。
よろしく
よろしく
みこと
うん!!
俺は知らなかった
これから会う人たちと
最初で最後の恋をするだなんて_____
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