これは今は亡き少女の物語。
彼女の恋はとても儚く。
とても切ないものだった。
出会いは高校に入学してすぐ。
君は…女の子と話をしていた。
間宮 鈴
笠原 悠真
坂田 瑠色
笠原 悠真
坂田 瑠色
笠原 悠真
坂田 瑠色
入学してすぐといえば 友達づくり真っ盛りの頃だ。
だから当時クラスで 賑やかに…そして仲良さそうに 話をしていた2人は
とてもと言わずかなり目立っていた
間宮 鈴
私とは程遠い存在なんだ…
そう思い込んで 遠巻きに眺めるばかりだった。
それなのに…
坂田 瑠色
間宮 鈴
その目立っていた男子の方と 学級委員を共にすることになったのだ…
本当に奇跡的な出会いだった。
間宮 鈴
間宮 鈴
坂田 瑠色
間宮 鈴
笠原 悠真
笠原 悠真
坂田 瑠色
笠原 悠真
間宮 鈴
それは 栗色のツインテールが可愛い少女だった…
明るくて優しい印象の少女だった。
間宮 鈴
間宮 鈴
笠原 悠真
笠原 悠真
笠原 悠真
笠原 悠真
坂田 瑠色
笠原 悠真
間宮 鈴
笠原 悠真
笠原 悠真
間宮 鈴
じゃあやっぱり二人は…
間宮 鈴
私がたずねたときだった
坂田 瑠色
間宮 鈴
慌ててすぐに彼は言った。
付き合って……ない…?
友達でもないなら…、
間宮 鈴
坂田 瑠色
坂田 瑠色
笠原 悠真
笠原 悠真
その時の彼女の表情が とてつもなくかたかったのを 私はよく覚えている。
間宮 鈴
きっと彼女は彼のことを愛している。
それなのに幼馴染という壁が 邪魔をしているのだろう…
間宮 鈴
坂田 瑠色
間宮 鈴
間宮 鈴
間宮 鈴
これが私達の出逢い…。
そこから3人は 大の仲良しになっていく。
間宮 鈴
笠原 悠真
とある昼休みだった。
私達は親友になり いつも一緒にいるようになっていた。
笠原 悠真
悠真は恥ずかしそうに笑った。
間宮 鈴
笠原 悠真
笠原 悠真
でもその視線の先には いつも瑠色がいた。
間宮 鈴
間宮 鈴
なんで悠真は隠すのだろう…
本当は好きじゃないのかな…? 私の勘違い…?
でもでも……、
笠原 悠真
間宮 鈴
笠原 悠真
間宮 鈴
笠原 悠真
間宮 鈴
間宮 鈴
笠原 悠真
笠原 悠真
恋の話になると 悠真はいつも表情を曇らせた。
いつになっても私は 悠真の心理がわからなかった。
間宮 鈴
梅雨のある日だった。
その日はたまたま 朝見た天気予報が晴れだった。
だから雨なんてずっと予想外で…
間宮 鈴
土砂降りなのに晴れなんて 天気予報も馬鹿だよね……
なんて考えていると カバンの中身がちらついた。
間宮 鈴
間宮 鈴
小さな折りたたみ傘だった。
間宮 鈴
間宮 鈴
なんて夢うつつしながら ため息をついていた。
間宮 鈴
間宮 鈴
そう靴箱を 抜け出したときだった。
坂田 瑠色
間宮 鈴
春よりずっと仲良くなった 瑠色がそこにいた。
坂田 瑠色
坂田 瑠色
そんな彼の驚き方に 少し吹き出しそうになる…
間宮 鈴
坂田 瑠色
坂田 瑠色
坂田 瑠色
坂田 瑠色
坂田 瑠色
間宮 鈴
間宮 鈴
坂田 瑠色
間宮 鈴
間宮 鈴
坂田 瑠色
坂田 瑠色
坂田 瑠色
間宮 鈴
坂田 瑠色
間宮 鈴
坂田 瑠色
坂田 瑠色
間宮 鈴
坂田 瑠色
坂田 瑠色
間宮 鈴
ふいに彼が私の傘を奪った。
そして私と自分の真ん中にさす。
坂田 瑠色
間宮 鈴
間宮 鈴
何気ない会話だった。 すごくムカつく内容だった。
それなのに…それなのに…
雨のしずくの落ちる音と共に…
私の中で 恋に落ちる音がしたのは何故だろう
間宮 鈴
こんな感覚はじめてだった。
身体が熱い。溶けてしまいそう…
間宮 鈴
間宮 鈴
坂田 瑠色
どうしよう………
なんか
すごく違和感。
坂田 瑠色
間宮 鈴
間宮 鈴
坂田 瑠色
間宮 鈴
別に…遠慮しなくていいのに…
私はそれを言葉にすることができなかった…
間宮 鈴
ふいに手がかじかんだ。
そっと自分の手に息を吹きかける。
坂田 瑠色
坂田 瑠色
間宮 鈴
坂田 瑠色
坂田 瑠色
間宮 鈴
ふいうちだった。
彼の大きな手が私の手を包む。
間宮 鈴
暖かくて気持ちがよかった。
坂田 瑠色
そんな自慢げな顔も愛おしくて…
どうしよ…私今日おかしいよ…
握ってもらって暖かくなる手が 何故か震える…
間宮 鈴
高鳴る胸の鼓動が聞こえそうな距離 だった。
間宮 鈴
これが『好き』なんだ…
いっそこのまま告白しちゃおうか…、
でもそれって早すぎる? 一目惚れってダサいかなぁ…
え…こういうとき… どうすればいいの……?
間宮 鈴
そんな無意識なセリフも 土砂降りの雨にかき消されていった
君にこの思いが届けばいいのにな…
なんて思いながら。
間宮 鈴
間宮 鈴
鏡を前に私は強く意気込んだ。
右手にハサミを持ち 前髪をいじってみる。
間宮 鈴
間宮 鈴
間宮 鈴
間宮 鈴
その日は出かける予定だった。
もちろん相手は瑠色だ。
文化祭が近づき 学級委員が買い出しに行くことになったのだ。
間宮 鈴
なんて浮かれながら ハサミをポーチにしまう。。
今の私はこの間買ったばかりの ピンクのスカートを履いている
いつもはスカートなんか履かないのに…
なんか照れくさいな…
そして頭には 花の形をした髪飾りをつけている。
間宮 鈴
間宮 鈴
間宮 鈴
間宮 鈴
そうつぶやいて玄関を飛び出した。
坂田 瑠色
坂田 瑠色
間宮 鈴
待ち合わせ場所について おはようより先に 彼はそう呟いた。
私はそれが嬉しくて たまらなかった。
坂田 瑠色
坂田 瑠色
坂田 瑠色
間宮 鈴
間宮 鈴
どうしよどうしよどうしよどうしよ
その悪戯そうな笑顔が…… たまんないっ…
坂田 瑠色
坂田 瑠色
間宮 鈴
だめだ… 好きすぎて本題が目に入ってこない…
頬の熱で溶けてしまいそう……
でも………
笠原 悠真
好きだなんて…絶対に 言えない。
伝えてしまえば… 全部失ってしまいそうで…
でも…でも………っ
坂田 瑠色
間宮 鈴
だめだ…目も合わせらんない…
悠真は瑠色が好き…?
でもでもやっぱり…
引き下がるなんてできないよ…
だって……君のことが………
環境が一変したのは その次の日だった。
坂田 瑠色
坂田 瑠色
笠原 悠真
笠原 悠真
笠原 悠真
笠原 悠真
放課後… 誰もいないはずの教室から
悠真の罵声が聞こえて 慌てて駆けつけた時には
悠真が泣いて 瑠色が教室から飛び出していた。
間宮 鈴
間宮 鈴
え…?
間宮 鈴
私今なんて……
その時、とてつもなく 快感を覚えてしまった私に
私は吐き気がするようだった。
間宮 鈴
そして瑠色同様 その場から逃げ出していた。
やだやだやだやだ…
私って最低だ。
私って最悪だ。
嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い
でも……
間宮 鈴
そういって納得した 自分にまた寒気がした。
その日の帰り道… 悠真はどことなく落ち着きがなく…
それでも私は決断したんだ。
伝えようって…
間宮 鈴
間宮 鈴
悠真は友達だから… 親友だから…
伝えなきゃ。
瑠色のことが………
間宮 鈴
間宮 鈴
間宮 鈴
は?
なんで『瑠色が好き』だって 言わなかった?
また逃げたの…?
私…私……
もしかして……
笠原 悠真
笠原 悠真
間宮 鈴
悠真は何故か笑っていた。
笠原 悠真
笠原 悠真
笠原 悠真
なんで………
なんでそんなに優しくするの…
私はこんなに最低なのに…
私は悠真を裏切っている。
ねぇ…どうすればいいの…?
間宮 鈴
間宮 鈴
そういうしかなかった。
それでも………
自分にだけは…
瑠色にだけは 嘘をつかないでおこうって…
ほんとうに決めたんだ。
だから…
放課後 体育館うらに来てください。 鈴
私は親友に嘘をつき 恋を再始動(リブート)させた。
間宮 鈴
深呼吸をした。
絶対に自分には 嘘をつかないように…
心をきめた。
彼が来た頃には もう決心はついていた。
坂田 瑠色
坂田 瑠色
間宮 鈴
間宮 鈴
間宮 鈴
私は迷うことなく 笑った。
間宮 鈴
間宮 鈴
坂田 瑠色
坂田 瑠色
間宮 鈴
間宮 鈴
間宮 鈴
悪いなんてその時は思ってなかった
悠真を裏切って… 嘘をついて…
それなのに… 結局は自分が可愛くて仕方ないんだから…
間宮 鈴
間宮 鈴
間宮 鈴
間宮 鈴
間宮 鈴
笑え自分。
裏切れ自分。
今に精一杯でいろ。
間宮 鈴
間宮 鈴
間宮 鈴
間宮 鈴
溶けてしまいそうなくらい…
間宮 鈴
間宮 鈴
あぁ言えた。
瑠色と自分には 嘘をつかなかった。
やりきったと思った。
坂田 瑠色
坂田 瑠色
坂田 瑠色
間宮 鈴
だから…
そんなことを言われて 喜ばないはずがなかった…
でも…
間宮 鈴
彼の瞳は私をみていなかった。。
ずっと遠い何かを見ていた。
間宮 鈴
間宮 鈴
結局私は自分を優先してしまっていた。
その代償に 何か大切なものを奪われていた。
ずっと好きだった君と付き合えたのに…
どこか心の中が不快だった。
こんな恋… すぐ終わってしまいそうで…
怖かったんだ。
だから……
笠原 悠真
悠真が本当のことを 告げたとき…
終わりのチャイムが聞こえた。
悔しい悔しい悔しい悔しい
負けちゃう……
認めたくない……っ。
必死だった。
そして私は………
間宮 鈴
間宮 鈴
最愛の友人より 恋人を優先した。
本当に最低だと思った。
でも駄目だった。
自分が1番だから… 1番幸せになってほしいから…
本当はこんなこと… 言いたくなかった。
笠原 悠真
友達じゃない……
友達でいられない…
怖い、辛い、しんどい……
悠真に触れるのが嫌だった。
突き放したくなんてなかった…
だから逃げた。
パパーーーッ
トラックが私に向かって 突っ込んで来てるなんて…
そんなこと知らずに……
背中に強い衝撃がはしった。
悠真がかばってくれた気がした。
でもそこから意識なんてなくて…
ただただ眠りに落ちた。
気づけば私はあの日にいた。
なぜかもわからずに……
雨が降る日… 瑠色と相合傘をした日…
はじめて恋に落ちた日………
間宮 鈴
あぁ…駅が近づいてくる…
なぜか胸が痛くなった。
間宮 鈴
間宮 鈴
間宮 鈴
間宮 鈴
隣にいる瑠色は泣いていた。
間宮 鈴
あ、そうか…
私もう…君に会えないんだ。
こんなに近くにいるのに……
遠い……。
最期……………なんだ。
坂田 瑠色
間宮 鈴
あぁやだな…、 好きだな。
こんな時まで…好きが溢れるや……
ねぇ…歩くの早いよ…
まだ駅に行きたくない……っ
間宮 鈴
間宮 鈴
最期に手を繋いで歩きたい……
でもやっぱり…、
間宮 鈴
また声に出すことができなかった。
悪いことをしたのはわかってる…
これは最低な私への罰。
でも全部失恋じゃん…
そんなこと、わかってたよ…、
わかってたから………
わかってるから…!!!
間宮 鈴
そんな叫びと共に 私は駅に到着する……。
間宮 鈴
もうバイバイしなくちゃいけないの?
涙が溢れて止まらない…っ
それなのに…っっ…
坂田 瑠色
坂田 瑠色
坂田 瑠色
坂田 瑠色
君は最期まで優しすぎるよ……
間宮 鈴
間宮 鈴
間宮 鈴
間宮 鈴
坂田 瑠色
間宮 鈴
間宮 鈴
間宮 鈴
間宮 鈴
間宮 鈴
間宮 鈴
そこで命の灯火が消える音がした…
彼女は今でも 悲しい恋をしている。