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おついち

ほら、座って。
朝ごはんできてるよ

おついちさんがエプロン姿のまま、 ふわっと優しい声で呼んでくれる。

テーブルには焼き立てのトースト、スクランブルエッグ、ベーコン、 それから湯気の立つスープ。 見てるだけで落ち着く“家庭の朝ごはん”が広がっていた。

兄者さんがコーヒーを淹れながら、ちらっとこちらを見る。

兄者

寝言の件は…まあ、
後でゆっくり話そうか?

と、わざとらしくニヤッと笑ってくる。

わ、忘れて…!

と慌てる私に、 弟者さんが低い声で、

弟者

忘れるわけないよ。
あんな可愛いの

と耳元で言うから、心臓が跳ねる。

おついち

ほらほら、
二人ともいじめすぎ

おついちさんが笑いながら皿を置き、

おついち

ゆっくり食べな。
今日は予定ないんだし

と柔らかく言ってくれる。

そう。 今日は配信も収録も、外出の予定も何もない日。

…珍しいよね、
三人が揃ってオフなんて

と言うと、 兄者さんがストレッチしながら答える。

兄者

たまにはな。
家でゆっくりするのも
悪くないし?

弟者さんもスープを飲みながら、

弟者

外行くより、今日は家に
いたい気分なんだよ。
…ももと一緒に

と小声で付け加える。 おついちさんは片付けながら、

おついち

ソファで映画でも見よっか? ゲームでもいいし

と、まるで家族の休日みたいな提案をしてくれる。

私はふっと息を吐く。 あたたかくて、静かで、安全な空気。 昨日まで少し張っていた心の緊張が、 朝ごはんの湯気と一緒に溶けていく。

三人と同じ空間で、 ただのんびり過ごせるだけで十分すぎる。 今日という日は、 まるで“心を抱きしめてもらうために用意された日”みたいだ。

ソファに四人並んで座り、 部屋の照明は少し落として、映画の光だけが静かに揺れていた。

弟者

このシーンくるぞ…

弟者さんが小さく呟くと、 兄者さんが、

兄者

黙っとけよ弟者

と笑いながら肘で軽く小突く。

おついちさんはポップコーンのボウルを抱えたまま

おついち

ほら、食べな

と私の膝の上にそっと置いてくれる。 私は三人と一緒に画面を見つめながら、 自然と身体がリラックスしていくのを感じていた。

映画の感動シーンで胸がいっぱいになって、 涙がつっと頬を伝った瞬間、 弟者さんが横目で気づいて、

弟者

…泣いてるじゃん

と少しだけ優しい声で言ってくる。

うるさい…

と小さく返すと、 おついちさんは、

おついち

泣いていいんだよ。
映画ってそういうもんだし

と優しく囁いてくれる。 兄者さんは私の肩にそっと手を添え、

兄者

ほら、こっち寄れ

と言って、 そのまま少し抱き寄せてくれた。

映画の音と静けさが混ざり、 四人の距離がゆっくり、ゆっくり縮まっていく。

エンドロールが流れ始めて、 部屋がまた静かになった。

兄者

いい映画だったな

兄者さんがのびをしながら言う。

弟者さんは私の方をチラッと見て、

弟者

泣くと思わなかったわ。
可愛かったけど

とわざとからかうような声。

だからそれ言わないで…

と私が小さく抗議すると、 おついちさんが柔らかく笑って、

おついち

泣けるときに泣くのって、
いいことだからね

と肩にそっと手を置いてくれた。 映画の余韻で温かくなっていたせいか、 私はそのまま兄者さんにもたれ、 兄者さんの足にもほんの少し触れるぐらいに体を寄せてしまう。

兄者

おいおい、甘え方が自然に
なってきてるな

兄者さんが嬉しそうに笑い、 弟者さんは腕を回し直して、

弟者

このくらいが丁度いいんだよ

と囁く。 おついちさんは毛布をそっとかけながら、

おついち

今日はほんと、
ゆっくりでいいよ

と微笑む。 三人の声も、温度も、距離も甘くて、 映画より優しい物語みたいな時間が流れていた。

私はまぶたを少しだけ閉じて、 三人の呼吸をそばで感じながら、 静かにその甘い空気に溶けていった。

映画を見終わったあと、 兄者さんは洗い物を手伝いにキッチンへ、 弟者さんは飲み物を取りに、 おついちさんは洗濯物を片付けにそれぞれ立ち上がった。

気づけば、リビングに残っているのは私だけ。 ソファに座って膝を抱えながら、 ゆっくり深呼吸する。 映画の余韻と、三人の優しさで心が満ちている。 そんな静けさのなか―― ふいに、誰かの影が近づいた。

カップを置く音と一緒に、兄者さんが隣に座る。

兄者

ひとりでぼーっとしてたの?

と優しい声で笑う。

うん…ちょっと休んでただけ

そう答えると、 兄者さんは私の頭に手を置き、 指先でそっと髪をなでる。

兄者

…さっき、
俺にもたれてたろ?

え…

兄者

可愛かったよ。
もっと甘えていいのに

不意に心臓が熱くなるような言い方をして、 兄者さんは肩をポンと軽く叩いて立ち上がった。

兄者

後でまた構ってやる

そう言ってキッチンへ戻っていった。

兄者さんが離れると入れ替わるように、 弟者さんがペットボトルを片手に戻ってくる。

弟者

もも、
泣き疲れしてるんでしょ?

と言って、 冷たい水をそっと手渡してくる。

ありがと…

そう言うと、弟者さんはすぐ隣に腰を下ろして、 私の髪をふわっと耳にかけてくれた。

弟者

……こういうの、
嫌じゃない?

と少しだけ真面目な顔。

嫌じゃない…

そう返すと、弟者さんは口元を緩める。

弟者

ならよかった

そのまま私の肩に軽く額を寄せて、 小さく息を吐く。

弟者

今日は…
そばにいていいよね?

深い声が胸に落ちて、 思わず頷くしかなかった。

弟者さんが立ち上がると、 今度はおついちさんがゆっくり歩いてくる。

私の前にしゃがんで、

おついち

はい、これ。温かいの

とハーブティーを差し出してくれる。

そのまま私の顔を覗き込み、

おついち

泣いたあとって、
気持ちしんどくなりやすい
からね

と優しく笑う。 そして、何も言わずに 私の手を包み込むように握ってくれる。

おついち

無理して笑わなくていい。
ゆっくりしてて。
…そばにいるから

おついちさんの手は温かくて、 触れた瞬間に涙が出そうになるほど優しかった。

…ありがとう

と小さく言うと、 おついちさんは頭をぽんぽんと撫でてくれた。

おついち

よしよし。大丈夫。

その一言が胸に沁みる。

気づけば三人とも、 順番に私のそばに来て、 それぞれ違う甘さで安心させてくれた。 同じ家で過ごしているだけなのに、 心がふわっと落ち着いていく。

私の知らない間に、 三人がそっと心に触れてくれてたみたいだ。

おついちさんからもらったハーブティーの湯気が ぼんやり揺れているころ。 キッチンから皿の音が止まり、 廊下から足音が重なる。

兄者

お、そろったな

兄者さんがマグカップを3つ抱えて戻ってきた。

その後ろから弟者さんが、

弟者

クッキーあるよ

と袋を振りながら歩いてくる。 最後におついちさんが、 小さなケーキ皿を2枚持ってソファへ。 気づけば、自然に四人が同じ空間に集まっていた。

兄者さんが私の横に腰掛け、 あたり前みたいに肩を軽く抱いてくれる。

兄者

映画のあと、
泣きすぎて疲れたろ?
甘いもの食え

そういってクッキーを口元に持ってくる。

え、あの…自分で食べる…

と言う間もなく、 弟者さんが反対側からにゅっと差し出してくる。

弟者

ほら、あーん

え!?ちょ…
二人でやんなくていいから!

弟者

いいじゃん

兄者

いいだろ

二人が同時に言うもんだから、 思わず笑ってしまう。 そんな私を見て、 おついちさんはふわっと微笑む。

おついち

笑えるくらい元気なら
よかったよ

おついちさんは、 お湯を注ぎ足したハーブティーを渡しながら 私の手をさりげなく包む。

おついち

熱くない?

うん…だいじょうぶ

その柔らかい触れ方に、心がふっとほどける。

弟者さんはソファに足を投げ出して座り、

弟者

このあとさ、
なんか軽くゲームすんのも
いいね

と言いつつ、 私の髪をくしゃっと一度だけ撫でる。 兄者さんは兄者さんで、

兄者

眠くなったら言えよ。
膝貸すから

と平然と言ってのける。 おついちさんは、

おついち

無理してテンション上げなくていい。
今日は“ゆっくりの日”だからね

と優しく微笑む。 三人とも違う方向から甘くて、 違う優しさで包んでくる。

こんな贅沢なティータイム、 たぶんもう二度とない気がして。 マグカップを両手で包みながら、 私はぽつりと呟いた。

……こういう時間、好き

その一言で、 三人とも一瞬だけ照れたように視線をそらした。

でも、 兄者さんは肩を抱く手を少し強くして、 弟者さんは私の頭を軽くぽんと叩いて、 おついちさんはそっと微笑んで、

弟者

うん、俺たちもだよ

兄者

うん、俺たちもだよ

おついち

うん、俺たちもだよ

まるで合わせたみたいに、 三人が同時にそう言った。

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