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第1話 - あ

2023年09月13日

#スカッと

タナカトシキ

オトハ

ちょっとぉ、コトミ！

オトハ

アンタさぁ、ヒビキと付き合ってるってウワサ、ほんとなの？

コトミ

本当よ。なんでそんなコト聞くの？

コトミ

誰と付き合っても、私の勝手でしょう？

オトハ

相手はあのイケメンのヒビキよ？

オトハ

陰キャで地味なアンタとは全然つり合いが取れてないわ。

コトミ

余計なお世話よ。

オトハ

学校イチのイケメンと付き合うなんて、

オトハ

身の程知らずにも程があるんじゃない？

コトミ

ヒドイ言い方ね。

コトミ

そういう自分はどうなのよ。

オトハ

私は、見ての通り美少女だもん。

オトハ

胸だってG〇ップだし、足も長いし。

オトハ

最近、インスタのフォロワーも爆増中なんだから。

コトミ

あっそう。

コトミ

興味ないから、私は見ないけどね。

オトハ

そうね、あんたが見ても参考になる情報は流してないもん。

オトハ

お勉強しか能のない干物女だものね。

コトミ

オトハ、あなた変わったよね。

コトミ

中学の時はもっと大人しくて真面目だったし。

コトミ

勉強も頑張ってたから、私と同じ学校に入れたんだよね。

オトハ

なんだ、その「私、頭良いんです」アピールは？

オトハ

アンタが人に自慢できる事は、

オトハ

中学の頃から成績が良かった事だけだもんね。

コトミ

そうよ。それの何が悪いの？

コトミ

勉強は出来ないより出来たほうがいいわよね。

オトハ

でも、それ以外は全然ダメよね。

オトハ

せっかく私服通学なのに、いつも同じ服ばっかり着てるし。

オトハ

メイクも全然しないから、中学生みたいだし！

コトミ

だって、朝イチイチ化粧するのめんどくさいもん。

コトミ

それに化粧品って高いし。

コトミ

そんなコトにお金を使うなら、推しのライブのためにとっておきたいのよ。

オトハ

ダサっ！

オトハ

推しとか言っちゃって、オタク丸出しだね。

コトミ

え…。

オトハ

アンタみたいな冴えない女に、ヒビキはもったいないわ。

コトミ

何を言い出すの。

オトハ

イケメン彼氏は私がもらってあげる！

コトミ

はい？

オトハ

私なら、ヒビキをもっと楽しませてあげられるわ。

オトハ

一緒に遊ぶお金だって持ってるし。

コトミ

バイトしてるの？

コトミ

まあ、校則では禁止はしてないけど…。

オトハ

時給のいいバイトを見つけたのよ。

コトミ

へー。

オトハ

だから、自分にいくらでも投資出来るし、

オトハ

ヒビキだって、干物女より私と一緒にいたほうが

オトハ

ぜったい満足出来るはずよ！

コトミ

それはどうかなぁ。

オトハ

ふん。ぜったいに私の彼氏にするんだから！

オトハ

アンタなんかに負けないわ！

～コトミとヒビキのLINE～

ヒビキ

コトミ、俺のLINEってオトハに教えたりした？

コトミ

ううん。教えるワケないじゃん。

コトミ

むしろ関わらないで欲しい相手なんだけど。

コトミ

何かされたの？

ヒビキ

いや…なんかさ。

ヒビキ

さっきイキナリLINEが来てさ。

コトミ

え？

ヒビキ

内容は大したことなかったんだけど、誰に聞いたのかと思ってさ。

コトミ

え～！？

ヒビキ

やっぱりコトミが教えるワケないよな。ゴメン。

コトミ

う、うん。

コトミ

で、何を言われたの？

ヒビキ

ああ、それがさ。

ヒビキ

コトミは裏表のある子だから、気を付けろって言われたよ。

コトミ

何それ。私の悪口じゃん。

ヒビキ

もちろん、俺は信じてないよ。

ヒビキ

コトミはそんな子じゃないって言っておいた。

コトミ

ヒビキ～（涙）ありがとう。

コトミ

実は、最近オトハにしつこく絡まれてて困ってるの。

コトミ

私に彼氏が出来たのが許せないみたいで…。

ヒビキ

あいつ、気が強そうだもんな。

ヒビキ

おれもちょっと気を付けるよ。

コトミ

そうね。あまり近づかない方が良いと思う。

コトミ

ごめんね、ヒビキもイヤな思いをしたよね。

ヒビキ

いいんだよ。

ヒビキ

そんなコトより、年末のライブの事だけどさ

ヒビキ

チケット２枚分取るからね。

コトミ

うん！一緒にライブに行こうね。お金は明日渡すから。

ヒビキ

そうだね。俺も楽しみにしているよ。

コトミ

なんか元気が出てきた！

コトミ

また明日ね、ヒビキ。

ヒビキ

うん、オヤスミ。

～翌日、ヒビキとオトハのLINE～

オトハ

ヒビキ、私ちょっと相談したいことがあるの。

ヒビキ

俺に？

オトハ

そう、ヒビキに聞いて欲しいことがあるのよ。

ヒビキ

うーん。それよりもまず聞きたい事があるんだけど。

オトハ

なあに？

ヒビキ

なんで俺のLINE知ってんの？

ヒビキ

いきなりメッセ送られても困るんだけど。

オトハ

あ、ごめんね！

オトハ

私どうしてもヒビキと仲良くなりたかったから、

オトハ

男友達にたのんで、ヒビキのIDを教えてもらったの。

ヒビキ

え、誰その男友達って。

オトハ

ダイゴよ。私から無理にお願いしちゃったの。

オトハ

ほんとゴメンね。迷惑だった？

ヒビキ

いや、べつに。

オトハ

良かったぁ。ヒビキは女の子に優しいもんね。

ヒビキ

そうでもないよ。

オトハ

優しいから、コトミの告白も断れなかったんでしょ？

ヒビキ

え？なんのこと。

オトハ

私、聞いちゃったのよ。

オトハ

ヒビキは顔がいいから、一緒に歩くのにちょうどいいって

オトハ

コトミが言ってたのよ。

ヒビキ

ほんとにコトミがそんなコトを言ってた？

ヒビキ

ちょっと信じられないんだけど。

オトハ

ほんとだよ！コトミったら、あんな大人しそうな顔をしてるけど、

オトハ

いかに素早く男をオトすかって、友達同士でゲームしてるんだよ。

オトハ

だから、ヒビキに告白したのも、ウソ告なんだよ。

ヒビキ

いや、告白されたも何も…

オトハ

コトミはさ、もともとオタクじゃん。

オトハ

くだらない推し活とか言って、ライブで金使いまくってるし

オトハ

とてもヒビキにお似合いの子じゃないと思うけどなぁ。

ヒビキ

あのさ、オトハ。

ヒビキ

コトミの悪口を言ったらマジキレるぞ？

オトハ

え？

ヒビキ

だいたい、コトミがおれにウソ告したって？

ヒビキ

なんのネタだよ！

ヒビキ

告白したのはおれのほうだよ！

オトハ

うそ！そんな…。

ヒビキ

あのさぁ、そんな下らない事やってる暇があるなら

ヒビキ

ちょっと勉強したらどうだ？

ヒビキ

お前、もう大学受験の時期なのに、何にも勉強してないだろ！

オトハ

そ、それは…。

ヒビキ

俺とコトミは受験勉強で忙しいんだ。

ヒビキ

しょーもないことで絡んでくるな。

オトハ

しょうもない事って。私はただ…。

ヒビキ

用がすんだなら、もう終わりにするよ。じゃ。

～翌日、コトミとオトハのLINE～

オトハ

コトミ、よくもやってくれたわね。

オトハ

あなた、ヒビキが私を嫌うように仕向けたでしょう！

コトミ

へ、何言ってんの。

コトミ

私なにもしてないわよ。

オトハ

とぼけないでよ。

オトハ

せっかくヒビキのLINEをゲットしたのに、

オトハ

全然相手にしてくれなかったわ！

コトミ

そんなの知らないよ。

コトミ

自分から自爆しに行っただけじゃん

オトハ

アンタがヒビキから告白されたたんて、絶対に何かの間違いよ！

オトハ

地味キャラのアンタが、私よりモテるなんてありえない！

コトミ

別にモテないよ。

コトミ

ただ、ヒビキとは趣味が合ったから

コトミ

彼が告白してくれたのよ。

オトハ

うそ。

コトミ

本当よ。彼も私と同じアーティストを押してるんだもん。

オトハ

なによ、そんな推し活なんて。

オトハ

くだらない趣味でつながった仲なんて、私が壊してやるんだから！

コトミ

オトハ、ちょっとおかしいわよ。

コトミ

せっかく顔がいいのに、どうしてそんなに私にこだわるの？

コトミ

別に人の彼氏を奪わなくても、他に男友達が沢山いるでしょ？

コトミ

そのなかから彼氏を選べばいいのに…。

オトハ

私のいう事をきく男なんて、つきあってもつまらないわ。

オトハ

ヒビキみたいに、顔も頭も良くて、

オトハ

私の思い通りにならない男をモノにするのがいいの！

コトミ

モノにするって、そんな言い方…。

コトミ

ヒビキはあなたの思い通りになんて出来ないと思うわ。

オトハ

出来るわよ。

オトハ

今まで、私が本気を出してモノに出来なかった男はいないわ。

オトハ

顔もあんたよりずっといいし、お金だって持ってるわ。

コトミ

お金で人の心は買えないよ。

コトミ

それに、顔がいいだけじゃ愛されないわ。

オトハ

うるさいわね！偉そうなことを言わないで。

オトハ

とにかく、ヒビキは絶対に私の彼氏にするんだから。

コトミ

どうしたら分かってくれるのかしら。

コトミ

もう関わらないで欲しいわ。

オトハ

あまいわね。私、あきらめないから！

～ヒビキとオトハのLINE～

オトハ

こんにちは。ヒビキ。

ヒビキ

なんだよ、またか。

ヒビキ

用がないなら連絡してくるなよ。

ヒビキ

ヒマなの？

オトハ

もう、冷たいのねヒビキ。

オトハ

コトミなんかと付き合うのはやめて、

オトハ

私と付き合った方が楽しいよ？

ヒビキ

いや、そんなコトはない。

ヒビキ

俺は派手な女の子はニガテなんだよ。

オトハ

私、そんなに派手かな。

オトハ

これでも女子力は高い方だと思うけど？

オトハ

お菓子作りも得意なんだよ。

ヒビキ

悪い、全然興味ない。

ヒビキ

甘いモノも苦手だしね。

オトハ

そう、でもさ。

オトハ

ヒビキはモテるから、女の子から言い寄られる事も多いんでしょ。

ヒビキ

まあ、そうだけど…。

ヒビキ

興味のない子に近付いてこられても迷惑っつーかね。

オトハ

ね、コトミと一緒にいてたのしい？

ヒビキ

うん。楽しいよ。

オトハ

あんなオタクのどこが？

ヒビキ

おれも同じアーティストのファンだからだよ。

オトハ

そんなコトより、私とクラブに遊びに行かない？

オトハ

ヒビキも大学生になるなら、今から夜の遊び方を覚えないと。

ヒビキ

お前、そんなところで遊んでいるのか？

ヒビキ

未成年だし、校則違反だろ。

オトハ

バレなきゃ平気よ。私の友達はみんなやってるよ？

ヒビキ

そりゃ、つるむ友達が良くないよな。

ヒビキ

オトハ、一体何のためにウチの学校に入ったんだ？

オトハ

だって親が勉強しろってうるさかったんだもの。だから高校入試までは頑張ったの！

オトハ

でも入学したら、みんな勉強ばっかりで学校が全然楽しくないんだもん。

ヒビキ

進学校なんだから当然だろ。

ヒビキ

オトハも俺やコトミに絡んでる暇があったら、勉強しろよ。

ヒビキ

もう10月だし、本気出さないと卒業もヤバいぞ。

オトハ

ありがとう、心配してくれて♪

ヒビキ

お、おう。

オトハ

私、ヒビキの事はあきらめないから。

オトハ

ぜったい私のコトを好きにさせてみせるわ！

ヒビキ

いや、なんでそうなるかな…。

～2日後、コトミとオトハのLINE～

コトミ

オトハ、よくもやってくれたわね。

コトミ

私のノートを破いてゴミ箱に捨てたのは、オトハでしょ。

コトミ

字がアナタの筆跡だったわ。

オトハ

あれ？何のこと？

オトハ

コトミのノートなんて知らないわよ。

コトミ

とぼけたってムダよ。

コトミ

私の友達が見たと言ってたわ。

コトミ

オトハがゴミ箱にノートみたいなのを捨ててるところを。

コトミ

体育の授業の後でやったでしょ。

コトミ

今日、体育の授業サボってたもんね？

オトハ

ふん、だから何？

オトハ

ノートなんてまた買えばいいじゃん。

オトハ

なんなら、私が買ってあげようか？ノートなんていくらでも買えるわよ。

オトハ

アンタとちがって、お金持ってるもん。

コトミ

値段の問題じゃないわ！

コトミ

こんなにビリビリにされたら、今まで授業で教わった内容が

コトミ

全然読めなくなっちゃったわよ。

コトミ

テスト勉強で使うつもりだったのに…。

オトハ

やっぱりお勉強の事しか頭に無いんだね～。

オトハ

さすがお勉強ちゃん。

コトミ

学生なんだから、これが当たり前なの！

コトミ

でも別にいいわ。ノートならヒビキに写させてもらうから。

オトハ

え、ヒビキに？

コトミ

そうよ。あなた、ヒビキと私が付き合っているのが気に入らないから

コトミ

私に嫌がらせするんでしょう？

コトミ

でもヒビキも言ったはずよ。

コトミ

私たちに関わってる暇があるなら、勉強したほうがいいって。

コトミ

授業もサボりがちだし、このままだと留年するかもよ？

オトハ

それは大丈夫よ。

オトハ

だって私、先生のお気に入りだもん。

オトハ

大人に気に入られるのなんて、簡単なんだから。

コトミ

パパ活で経験値積んでるもんね。

オトハ

へ？

オトハ

って、なんでそんなコトを知ってるの？

オトハ

パパ活の事は誰にも言ってないのに…。

コトミ

そりゃ、言えないよね。

コトミ

でも駅前で、あんなに堂々と中年男と歩いてたらバレバレだよ。

コトミ

思わず写真も撮っちゃったよ。

コトミ

オトハが前に言ってた、時給のいいバイトってこの事だったんだね。

オトハ

そ、それは…。

コトミ

見たのは私だけじゃないよ？

コトミ

別の日に、私の友達も見たって言ってた。

コトミ

あなたが50歳くらいのサラリーマンと一緒にホテル街を歩いてるところ。

オトハ

ウソ…。

コトミ

写真も共有しているよ。

オトハ

そんな！

オトハ

お願い、学校には言わないで！

オトハ

バレたら退学になっちゃう。

コトミ

バラされたくなかったら、もう私とヒビキに関わらないでくれる？

コトミ

もう迷惑だから。

オトハ

ええ、もう関わらないわ…。

コトミ

分かったなら良いわ。でも写真は、私だけじゃなくて

コトミ

他の友達も持ってるから。

コトミ

本当にもう関わらないって約束してくれるなら、黙っててあげるわ。

オトハ

本当ね？黙っててくれるのね。

コトミ

約束を破ったら、許さないわよ。

オトハ

分かったわ…。

オトハ

約束します。

コトミ

それでよし。

コトミ

あなたもパパ活なんてやめて、勉強に専念することね！

～後日談～

コトミ

その後、オトハはパパ活をやめたようです。

コトミ

駅前でウロウロしている事もなくなり、授業もサボらなくなりました。

コトミ

私とヒビキに絡んでくることもなくなりました。

コトミ

ちょっと強気なやり方でしたが、とても効果がありました！

コトミ

おかげで、学校生活も快適になったし、ヒビキととの仲も順調です。

コトミ

大学受験まで半年を切りましたが、残り少ない高校生活を

コトミ

充分に楽しみたいと思います！

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タナカトシキ

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