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僕はある日、学校の屋上から飛び降りて自殺してしまった。
次に目が覚めたら、 背中に翼の生えた人間たちがたくさんいる世界に転生していた。
僕の背中にも翼が生えていたけど、 何度やっても飛ぶことはできなかった。
僕はどうすることもできず、 街をただぶらぶらと彷徨っていた。
すると突然女の子が話しかけてきた。
女の子
僕はドキッとして、女の子をじっと見つめた。
僕
女の子
女の子は僕の額に指を突き立てた。
女の子
僕は青ざめた。 もう死ぬのはごめんだ。
僕は女の子に聞いた。
僕
女の子
僕は二度目の死を避けるため、 女の子と一緒に空を飛ぶ練習をすることになった。
僕
女の子
どうやら翼を動かすだけでは飛べないらしい。
女の子
そこまで考えて観察したことはなかった。
女の子
そう言って、女の子は高台にある木造の家に入っていった。
鳥の観察をし始めて三日が経った時、 観察していた鳥が敵に襲われているのを見た。 僕は考えるより先に身体が動いていた。
僕
弱っている鳥に話しかけると、 言葉がわからないはずなのにお礼を言われたような気がした。
女の子
僕は気づかないうちに、 高台からこの草原まで急降下せず、 ゆったりと降下して着地していた。
女の子
僕は褒められて少し恥ずかしくなった。 でもよかったのはこの日だけだった。
僕は女の子に見てもらいながら、 高台から草原まで飛び降りる練習をしていた。
でも何回やってもあの日のようにできなかった。
僕がとてつもない速さで落ちて行くたびに、 女の子は僕を軽々と釣り上げる。
女の子
僕
女の子
僕は無意識に翼を閉じているらしい。
女の子
その日から女の子は練習を見てくれなくなった。 高台から飛び降りるのは禁止、 とだけ言ってあとはほったらかしだ。
僕
僕はあれから毎日、 高台の淵で向かい風を受けながら翼を大きく広げて座っていた。
すると突然強い風が吹いて、僕はそのまま後ろに飛ばされてしまった。 幸い、女の子が干していた洗濯物にひっかかって助かった。
女の子
僕
確かに今、僕は風に乗っていた。
女の子
僕はまたほったらかしにされた。 翼がひっかかってうまく抜け出せない。
僕
アクシデントはあったものの、 僕はあれからなんとなく感覚を掴み、 また高台の淵で向かい風を受けていた。
すると女の子が声をかけてきた。
女の子
僕たちは息抜きとして、街のお祭りへ出かけた。
女の子
そう言って女の子は、僕にキラキラと緑に光る棒つきの飴を渡した。
僕
僕が女の子のほうを見て笑いかけると、 女の子は遠くのほうで上がる花火を見つめながら言った。
女の子
僕
僕は女の子の言葉を聞いて、 この子のためにも頑張ろうと強く思った。
ふるいにかけられるまであと二週間、 僕はあの時の感覚を思い出していた。
女の子
あとは大空に羽ばたき、それを継続するだけ。
僕
女の子
女の子に励まされ、僕は再び大空へと向かう。
女の子
女の子に言われるがまま翼を広げる。 うまく風に乗れたと思った、その時だった。
僕
強い向かい風が僕を直撃した。 為す術もなく落ちていく。
僕
女の子
目を開けると女の子が僕を抱えていた。
女の子
僕
僕はそのまま深い眠りについた。
翌日、スープのいい香りで目が覚めた。
女の子
僕
女の子が作ってくれたスープはとても美味しかった。
僕
女の子
それはそれで申し訳ない。
女の子
女の子はそういうことを恥ずかしさもなく言う。 言われたほうが逆に恥ずかしくなるくらいだ。
女の子
女の子は色々鈍感みたいだ。
僕
僕は慌てて家を飛び出した。
残り一週間になった。 時間がない、僕はまだ感覚を掴みきれていない。
女の子
高台から飛び出そうとした僕の服を掴んで説教する女の子。
僕
女の子
その目には決意が見えていた。 僕のことを本当に信頼してくれていることがわかった。
いよいよ明日が運命の日。 大丈夫、もう僕は飛べる。
僕
僕は勢いよく高台から飛び出した。風が心地良い。 翼を存分に広げ、鳥のように飛べているのがわかる。
女の子
気がつくと隣で女の子が一緒に飛んでいた。
僕
女の子
僕
明日、僕はこの世界の住人として認めてもらえるだろうか。
運命の日がやってきた。 僕は王様の前でひざまずく。
王様
僕
僕はその場から空高く舞い上がった。 周りから歓声が湧き、大きな拍手に包まれた。
王様
空から見た街は、きらきらと輝いていた。
帰り道、女の子は僕を見つめて言った。
女の子
僕
女の子
突然の提案に、僕は急停止した。
女の子
僕
嬉しさのあまり女の子を抱きしめた。
女の子
僕
女の子
僕たちは仲良く、高台にある木造の家へと飛んで帰った。