私たちの物語

（放課後／校舎裏） 放課後のチャイムが鳴って、 教室が一気に空になる。 それでも―― 心臓だけは、全然静まらなかった。

校舎裏。 人の気配は、ほとんどない。 近い。 でも、まだ触れない。

一瞬 瑞希くんが黙る

校舎裏 距離が、縮まる。

視線が絡む。 逃げ場がない。

短く、静かなキス。 確かめるだけなのに、 胸が苦しい。

離れたはずなのに、 すぐ、また近づく。

少しだけ長いキス。 でも、すぐ止まる。

額が触れる距離。 息が、混ざる。

今度は、ためらいがない。 深くはない。 でも、離す気もない。

ゆっくり、離れる。 でも、 視線は、離れない。

一歩、距離を取る。

誰に見られるかも分からないのに 深く深くキスをする。 何回も何回も 角度を変えながら。

秘密の放課後。 キスの回数だけ、 想いが、重くなっていった。