人形屋さん。
怖い話しよ?
人形屋さん。
ねえ?
サラリーマン。
ええ?
人形屋さん。
何だよ?
人形屋さん。
ノリがワルいなあ。
サラリーマン。
仕事中なんだよ。
サラリーマン。
ついでに彼女とトラブっててさ。
人形屋さん。
ほうほう。
サラリーマン。
だから「リアル」は怖い。
人形屋さん。
そうかな?
サラリーマン。
そういうものだよ
人形屋さん。
世事(せじ)に詳しくない、ということか?
サラリーマン。
若いうちはそういうものだ。
サラリーマン。
たとえばほんの数年前までチャット小説も想像出来なかっただろう?
人形屋さん。
たしかに。
人形屋さん。
エモーい☆
サラリーマン。
我々人間だしな。
サラリーマン。
そういうこと。
人形屋さん。
で、人間はストーリーを必要とする。
人形屋さん。
生きていくために。
サラリーマン。
そうだな。
人形屋さん。
どうかした?
サラリーマン。
彼女から着信。
サラリーマン。
別れ話だ。
人形屋さん。
そうか。
サラリーマン。
もともと体だけと割り切っていた。
人形屋さん。
しかし彼女はどうなんだ?
サラリーマン。
そういうことだと思っていた。
人形屋さん。
納得。
人形屋さん。
テストに出ないからね。ここ。
サラリーマン。
だよな。
人形屋さん。
で、怖い話しよ?
サラリーマン。
彼女と別れるのは辛いよ。
人形屋さん。
体だけって言ってたじゃないか?
サラリーマン。
好きだったんだよ。
人形屋さん。
どういうこと?
サラリーマン。
付き合うときの「約束」だったんだよ。
人形屋さん。
はい?
サラリーマン。
そういうこと。
人形屋さん。
少しずつ分かってきたような
人形屋さん。
分からないような
サラリーマン。
だから。
サラリーマン。
人間は怖いんだよ。
サラリーマン。







