虎杖 悠仁
は?
両面宿儺
だから、伏黒恵を自分のものにしたいとは思わないか、と問うている。
虎杖 悠仁
え…
虎杖 悠仁
いや、出来るならしたいけど、そんなの…
両面宿儺
力ずくで良いではないか。
虎杖 悠仁
え?
両面宿儺
伏黒恵を誰にも見つからんところに閉じ込めておけば良い話。
虎杖 悠仁
…確かに、そう、だけど…
両面宿儺
何か不都合があるか?
虎杖 悠仁
俺にとっては良い事尽くめだけど、伏黒が俺のこと好きじゃないとしたら…
両面宿儺
後から好きにさせる。
虎杖 悠仁
…
虎杖 悠仁
そんな事、出来るか?
両面宿儺
人とは脆いもの。
両面宿儺
無理矢理足場を崩せば目の前にあるものに縋る他なくなる。
虎杖 悠仁
…っ
俺は揺らいでいた。
そんな事が出来る訳が無い、という気持ちと
もし、出来たなら…
伏黒を、俺の_俺だけのものにできる…
そんな欲望が闘っていた。
両面宿儺
やらんのか?
虎杖 悠仁
っ…!
だけど、隠す場所は?
言い訳は?
どうやって?
両面宿儺
隠すのはお前の実家か何処かで良い。
両面宿儺
周りに〝帳〟でも張っておけば見つからんだろう。
両面宿儺
あの五条とかいう奴等にはわざわざ言い訳する必要は無い。
両面宿儺
いないと分かったときに共に驚き慄き慌てれば良い事。
両面宿儺
どうやって、か
両面宿儺
俺が運ぼう。
虎杖 悠仁
駄目だ。
両面宿儺
何故だ?
虎杖 悠仁
お前に預けたら何をされるか分かったもんじゃねぇ、
虎杖 悠仁
ここまで協力的なのも怪しいんだよ。
両面宿儺
ほう、そう見えてしまったか。
両面宿儺
否、俺はあの忌々しい呪術師供を慌てさせてみたいだけの事だ。
両面宿儺
運んでいる間、誰にも危害は与えん。これは縛りだ。
虎杖 悠仁
…分かった。
いつの間にか
俺は実行する方を選んでいた。
この後、自分がどうなってしまうかも知らず…