WW1が終わって、WW2も冷戦も、ほとんど関与せず終わった。
まぁ、ドイツの支配下に置かれはしたけど。
…そして、
ドイツの、国旗と。
降伏後のイタリアの...あの、姿。
全てが、あの写真と一致した。
うわさによればイタリア降伏後、イタリア救出後のドイツとイタリアは、
二人っきりである部屋にずっと居たらしい。
…何をしていたか、なんて。
考えたくもない。
…あぁ、そんなことより、朗報だ。
終わったことを考えても、仕方ない。
悲しいし悔しいし、ぐちゃぐちゃだけど、
だからこそ前を向くために、朗報を。
フランスには、国の擬体化が二人いた。
兄の仏帝、弟のフランス。
枢軸側が仏帝、連合側がフランスで別れたらしい。
まぁ、オレには関係ないから、
正直そんときはなんも考えてなかったけど。
だけど。
仏帝が、死んだ。
それが何を意味するか。
そう。
"国も死ぬ"、ということ。
今まで死なない、不死身だと思われていた国の擬体化は、
死ぬことが判明した。
つまり。
これまで、一度も姿を見せていない、オスマン帝国。
あいつ、あいつも。
………死んだかもしれない。
そう思った瞬間、オレの心が、爆発した。
だって、あんなに気味の悪くって、
気持ち悪くって、
嫌な奴の顔を見ずに済むなんて、
すっごく...嬉しい、だろ?
当時戦時中だったけど、そう考えたオレは、一人。
一人、誰も居ない場所で、
歓声を上げた。
あぁ、これでアイツに会わなくって済むんだ。
これからは、オレは、あいつに会わなくて。
よくなるんだ。
ああ、ああ、嗚呼!!!!!!
なんて、なんて喜ばしいことだろう!?
生まれてこの方、誰かの死でここまで喜べるなんて、思いもしなかった。
しかも、冷戦終結後。
ソ連が、死んだ。
ソ連崩壊の後追いをするように亡くなったらしい。
それで、さらにオレは喜んだ。
だって、オスマン帝国滅亡の後を追って、死ぬことも。
さらに、可能性として浮上してきた。
あの後から、あいつを見ていない。
死んだかもしれない。
それだけで、オレの心は、晴れた。
…ドイツやイタリアのことは、なんも解決していないのに。
でも、オレは気分がよくなって、国内を歩いていた。
スキップしたい気分で、色んなところを巡った。
そして、気がついたら人気の居ない場所にいた。
まぁ、自分の国内のことだ。
別に迷子ではないし、どこにいけば帰れるのかも分かる。
だから、しばらくこの辺にいよう。
………そう思ったときだった。
首に、ナイフが当たった。
びっくりして、思わず振り向く。
そこには、
あの、暗い、無邪気な目が、オレより低い位置に...
…あった。
トルコ
彼は、ナイフを握っていない手を、
オレの頬に、手を添えた。
トルコ
僕がそういって、ナイフを持っていない手を彼の頬に添えた瞬間、
彼は僕のナイフを奪って、僕に向けた。
彼は何も言わず、立ち尽くしている。
強いて言うなら、ちょっとおかしいところは、
息を全身でしてて、
瞳孔がいつもより開いてて、
動悸で手が震えてて、
汗がどっと溢れていることくらい。
…どれだけ、僕の死を喜んでいたんだろう。
いや、正確に言えば、
彼が勝手にそう信じ込んでいただけなんだけど、ね。
トルコ
トルコ
彼に置かれた距離を埋めるために、彼に歩み寄る。
だけど。
オーストリア
オーストリア
震える手先で、必死に僕に訴えかける。
トルコ
もう...全く。
面白いなぁ、この子。
面白いなぁ、この世界は。
もっと...見たくなってしまう。
トルコ
さっき『近づいたら殺す』と言われたばかりなのに、
僕は彼に歩み寄った。
オーストリア
トルコ
どうしてやめなきゃいけないのか、わからない。
だって、そう言う割には、
手が震えているばかりで、
僕を刺そうとしていないから。
トルコ
トルコ
そう言いながら、彼の持っていたナイフを、優しく引き抜き、地面に落とす。
ほら、やっぱり。
僕を刺す気なんて、なかったじゃない。
トルコ
オーストリア
焦点の合わぬ瞳が、一瞬合った。
ほら。
まだ、ドイツのことが好きみたい。
面白いよねぇ。
ドイツ君、彼の"名前"すら、
ほぼ認識してないのに。
トルコ
彼の目の前で、その録音を流す。
『どーいつっ!!!終わったから寝よ、なんね〜』『.......あぁ』
『ねーねー、ドイツ。ioといられて、嬉しい?』『...あぁ』『そっかぁ〜!!!!』
『......ドイツ』『...んむっ』
『っふぅ...ねぇ、ドイツ...』『...ん』
『今日...いい?』『!!!...分かった』
そこで一旦、録音を止める。
録音を流してる途中、彼は一切止めることはなかった。
…なぜなら。
恐怖で、手も、指先すらも、震えて動かせないから。
ドイツが、イタリアに取られてしまったという、恐怖で。
オーストリア
オーストリア
オーストリア
信じたくなくって、押し付ける。
"今回"はイタリアだった。
ふふ。
そういうところも、変わらない。
君は、どこに行っても、どこまで行っても。
…どの"世界線"でも。
情緒が揺れれば、その優しさは崩れて、
壊れて、ばらばらになる。
そして、残るのは『本質』。
僕は、さらに手元にあった録音を流す。
『...Ti amo、ドイツ』
『愛してる、愛してるよ、ドイツ』
『だから、一生僕といっしょにいてね』
『______美しき、ドイツへ。愛してる。』
オーストリア
イタリアの録音を流し終えると。
彼は、膝から、今度こそ崩れ落ちた。
トルコ
トルコ
トルコ
トルコ
絶望に染まった、顔。
きれいな顔。
あぁ、イタリアが言ってた、"作品"って、
こういうことを言うのかなぁ?
あは。
なんか、イタリア君の気持ち。
わかっちゃったかも。
僕は今まで、恋とか愛とか、そういう、
人間らしい感情、なかった。
だって、色んなものを見てきたから。
恋愛とか、嫌悪とか。バカバカしくって。
ねぇ、そう思わない?
_______あ、
この"物語"を読んでる時点で、わかんないか。
だってこれ、【土墺】って書かれてるし。
こういうの好きで見てるんだもんね。
…え、
なんで"そっち"を、認識してるかって?
ん〜...秘密。
まぁ、いつか分かるんじゃない?
大分、時間がかかりそうだけど。
そんなことより。
これが、恋っていうのかな?
壊したいと思う、この気持ちが。
もっと、見てみたい。
僕にいっぱい嫌悪を向けて、壊れていく彼の姿。
…それもそうだけど。
やっぱり、イタリア君やドイツ君のように。
どろっどろの共依存、みたいな。
アレを、しりたくなっちゃった。
トルコ
それなら、やることは一つ...だよね?
トルコ
トルコ
トルコ
オーストリア
オーストリア
オーストリア
あーあ。
やっぱり、そうだよね。
君は、自分の価値を見出したい。
だから、好きな人に殴られても、蹴られても、
取られても、
想い続けた。
そうでもしないと自分の価値がわかんなくなっちゃうから。
知ってたよ、ずうっと。
まだ"見てる子たち"すら、全く知らない世界でも、
そうだったから。
トルコ
僕も、彼らの気持ちを知りたいから。
だから、彼に"チャンス"を与える。
トルコ
トルコ
トルコ
そう言って僕は、
彼に、優しく手を差し伸べた。
トルコ
落ち込みきったオレに、話しかける。
今度は誰に尽くせばいいかわからないオレを、まるで包み込むかのような、
優しい、声音で。
トルコ
トルコ
トルコ
…かつての、宿敵。
オレを包囲した、敵。
オレが大嫌いだったやつ。
でも、いつしかそいつは、
オレに、現実を教えてくれた、優しい奴になっていた。
頭に、警鐘が鳴る。
その差し伸べられた手を、とってはいけない、と。
でも。
これ以上、オレはドイツに尽くせない。
ドイツはまた、イタリアに依存してる。
イタリアも、そんなドイツが好きときた。
だったら。
………だった、ら。
オレは、前を向きたい。
今度こそ、尽くして尽くして、捨てられちゃわないように。
そうしたら、オレは、
しあわせになれるかも、?
オーストリア
震える手を、なんとか動かして。
自らの意思で_______
彼の手を、取った。
面白い君の、お話。
めでたし、めでたしぃ。
コメント
2件
ありがとうございますッ!!! まぁ...盗聴ですし、なんというか...普通に犯罪ですよね()
完結お疲れ様です!!まさかここでもどろっどろぐっちゃぐちゃの恋愛が芽生えるとは…! にしても独伊独のあんなこんなを持ってるトルコはかなりの変態?犯罪者では…?