テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
主
主
主
逃げられない、じゃない。 ——逃げる必要が、分からなくなっていた。
さっきまでうるさかったはずの心臓が、 急に静かになる。
おかしい。
こんな状況で、 落ち着いてるはずがないのに。
???
低い声が落ちる。
でも、返せない。 言葉が浮かばない。 ただ見てるだけ。
目の前の存在を。
???
少しだけ首を傾けて、 覗き込まれる。
逃げる、っていう選択肢が 頭から抜け落ちていく。
???
指が、ゆっくり頬に触れる。 前みたいな“掴む”感覚じゃない。
もっと曖昧で、 でも離れられない触れ方。
???
そのまま、指がなぞる。 輪郭を確かめるみたいに。
???
答えられない。 分からない。 怖いのか、 それとも——
Abe
気づいたら、そう言ってた。 その瞬間。 少しだけ、空気が変わる。
???
楽しそうに笑う
???
次の瞬間、 ぐっと距離が詰まる。 でも、もう驚かない。
そんなことより、 近づかれるほど、 思考がぼやけていった
???
耳元で囁かれる
???
指が、手首に触れる。 でも、掴まない。 ただなぞるだけ。
それなのに、 動けない。 動こうともしない。
???
試すみたいな声。 ——違う。 逃げられないんじゃない。 逃げる意味が、分からない。
???
少しだけ低くなる声
???
その問いに、 一瞬だけ現実が戻る。
——ここで止まれる。 そう思ったのに。
Abe
口が勝手に動いた。 言った瞬間、 自分で分かった。 終わった、って。
???
満足そうに笑う
???
指が絡む。 今までより、自然に。 まるで最初からそうだったみたいに。
???
軽い調子なのに、 逃げ道は一つもない。
でも。 怖くなかった。
むしろ—— その先を知りたいと思った。
Abe
小さく答えると、 一瞬だけ、動きが止まる。
そして。
???
楽しそうに笑った。 その声が、やけに心地いい。
???
耳元で、低く
???
——その言葉で。 最後に残ってた“境界”が、 静かに壊れた。
これが、名前も知らない君と、 恋なんて綺麗な言葉で片付けられない程
大胆で繊細で、 触れるほどに歪んでいく
綺麗なはずなのに、 どこか汚れていて
触れれば壊れて、 離れれば狂いそうになる
それでも、 やめられない
むしろ、 壊れていくほど美しくなる
そして───
僕たちだけでしか作れないものに なっていく
それを、きっと人は
“ART”と呼ぶ。