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妃奈
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妃奈
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妃奈
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私は妃奈、普通のトレーナーだ。
そして、部屋の隅のデスクで作業をしているのは、私の彼女のジェンティルドンナだ。
今日も彼女は私より早く起きて、家業の仕事に目を通しながら水を飲んでいる。
妃奈
❤️
❤️
妃奈
❤️
冷蔵庫を開くと、そこにはササミ肉のフライがあったので、それを千切りキャベツと食パンで挟もうとキッチンに向かった。
彼女はというと...どうやら家族とのオンライン会議が始まるのか、準備を始めた。
妃奈
そう小声で言いつつ、パパっとササミ肉カツサンドを作ると、お皿とペットボトルに入ったコーヒー片手に自室に向かった。
彼女と出会ったのは3年前。
私がまだ、学園に来て間も無い新人の頃。
あの時の私はとにかく尖っていた。
同期トレA
妃奈
同期トレA
妃奈
同期トレA
妃奈
妃奈
妃奈
妃奈
同期トレA
同期トレA
妃奈
同期トレA
妃奈
妃奈
同期トレA
彼は黙って私の所から離れた。
妃奈
昔の私は...トレーナー試験首席合格だったからか、周りを見下していた。
そのせいで、同期は皆辞めてしまった。
今思えば、後悔してる。とても。
妃奈
そんな孤独な私の趣味は、ピアノ。
子供の頃から沢山習い事をさせられて、1番覚えが早かったのがピアノだった。
コンクールで優秀賞を貰うほどだ。
妃奈
妃奈
•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪
部屋の中に響くピアノの音色。
そう、音楽だけは、私を1人にしなかった。
そんな音楽が、彼女を引き寄せてくれたのかもしれないと思っている。
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妃奈
途中まで引いていると、とある生徒の影が見え、誰だろうと思って手を止めると...
ガラガラガラ...
❤️
妃奈
•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪
私は再び、演奏を再開した。
❤️
ユサユサユサ...フリフリ...
心地よいのか、彼女の尻尾が自然に左右に揺れているのが見えた。
妃奈
❤️
妃奈
時計を見ると、各ウマ娘がトレーニングを始める時間だった。
妃奈
❤️
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妃奈
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妃奈
❤️
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妃奈
❤️
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妃奈
そう言い残せば、私の隣を通り過ぎていった。
ほんのり、薔薇の香りがした。
彼女の事がどうしても気になり、私はターフにやって来た。
妃奈
そう思いながら、私は周りを見渡した。
モブウマ娘A
モブウマ娘B
各ウマ娘がストレッチやら意気込みを独り言とは思えない大きさで自分に言い聞かせている中...
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彼女は居た。
ストレッチをする訳では無く、声も漏らさず...
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深く深呼吸した後、ゲートに収まる。
そして、彼女のレースが始まった。
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距離は2000m、中距離、左回り。
モブウマ娘A
モブウマ娘B
ペースは早め、バ群が縦に伸び、このペースについていかないと置いていかれるケースが多い。
そんな中、彼女はというと
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中団の先頭を維持する形で落ち着いた。
妃奈
妃奈
──────────────────
そんな状態のまま、第3コーナー手前に入る。
後続も先頭も徐々にスパートをかけて、戦闘を目指す。
モブウマ娘A
ダッダッダッ...!
モブウマ娘B
ダッダッダッ...!!
皆それぞれラストスパートをかけ始める。
然し、彼女は───
❤️
❤️
妃奈
妃奈
妃奈
私も走っているかの感覚になり、両手で握り拳を作っていた。
そして───
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彼女は動いた。
ドッドッドッ...!!
モブウマ娘A
ドッドッドッ...!!
モブウマ娘B
妃奈
妃奈
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ドッドッドッドッドッ...!!
中団から一気に何人も抜き去っていく彼女。
私は、言葉を失った。
❤️
❤️
そのまま彼女は、2着から2バ身差をつけて、模擬レースを勝利した。
妃奈
私はそれしか言葉が出なかった。
モブウマ娘A
モブウマ娘B
周りのウマ娘は息を切らしたり、思うように空気を吸えずに言葉を詰まらせていた。
然し、彼女は───
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❤️
❤️
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息1つ乱さずに、スカートの端を掴んで小さくお辞儀をし、ターフを後にした。
その後ろには、今すぐにでもスカウトしたいという先輩トレーナーが群がっていた。
妃奈
妃奈
妃奈
妃奈
私はターフに残された彼女の踏み込んだであろう足跡を見つめながら、独り言をこぼした。
妃奈
あの後結局、彼女を見かけても、周りにはトレーナーの人集りができて、近寄れなかった。
いや、違う。
私自身、怖かったんだと思う。
妃奈
私は、せっかく理想のウマ娘を見つけたのに、それなのに…
私に合わないんじゃないかと、不安が勝っていた。
妃奈
ピアノの鍵盤を叩いてしまい、部屋に不協和音が響く。
妃奈
スカートを握りしめ、その手の甲には涙が零れ落ちていた。
そう考えていると、彼女が部屋に入ってきた。
ガラガラガラ...
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❤️
妃奈
❤️
彼女も私を見て理解したのか、私の近くで立ち止まった。
妃奈
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数分の沈黙の後、私は彼女に話しかけた。
妃奈
妃奈
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妃奈
そう言うと、彼女は首を横に振った。
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❤️
❤️
妃奈
私はそれを聞いて、目を丸くした。
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妃奈
私はつい、踏み入った質問をしてしまった。
彼女は少し考えたあと、こう答えた。
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❤️
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妃奈
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妃奈
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❤️
❤️
妃奈
そう聞くと、溜息を1つついて、彼女は再び話し始める。
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❤️
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妃奈
妃奈
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妃奈
彼女の今まで見たことない、真剣な眼差し。
その赤い目にはくっきりと私が映っていた。
妃奈
妃奈
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彼女は片手を私の方に差し出す。
妃奈
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そう笑うと、微笑みながら話を続けた。
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妃奈
私はピアノの椅子から立ち上がり、彼女の前で片足の膝をついて座ると…
ちゅっ...
彼女の手の甲に軽く接吻した。
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妃奈
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こうして、私達は契約を結んだ。
この後、貴婦人の快進撃は素晴らしかった。
牝馬三冠と言われるレース 桜花賞 オークス 秋華賞 それぞれを勝ち、トリプルティアラ達成
そして、ジャパンカップ2連覇
ドバイSC(ドバイシーマクラシック) 勝利
そして、有馬記念勝利
彼女は最強の名に相応しい道を歩んだ。
最強のトレーナーと共に───
現役引退後はドリームトロフィーリーグに移行し、そこでも貴婦人の快進撃を観客に見せつけた。
そして、その快進撃のまま、トレセン学園を卒業したのである。
妃奈
妃奈
リビングに戻ると、貴女はパソコンを閉じ、資料をファイリングしていた
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妃奈
妃奈
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妃奈
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妃奈
妃奈
彼女の鉄球談議は1時間かかる。
それはそうと、彼女は学園卒業後も こうやって現役の子達と一緒に走り込みやフォームの指導をしたいのか、 早めに仕事を終え、ジムで鍛えたり走ったりしている。
❤️
❤️
妃奈
そう言いながら、彼女は自室に向かった。
妃奈
私も大きなバックパックに詰め込んでいく。
流石にこの量は背負えないので、 毎回彼女に背負ってもらっている。
彼女曰く、 こんなのウェイトトレーニングにもなりませんわ らしい、恐ろし。
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妃奈
妃奈
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妃奈
妃奈
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タプタプ...タプタプ スィー... (タブレットをスワイプしたり上移動させたり)
妃奈
妃奈
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妃奈
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そんな会話をしつつ、学園に向かう準備をする
妃奈
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妃奈
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彼女は目を閉じ、手を広げる。
妃奈
私は彼女に抱きついて、軽くキスを交わす。
❤️
彼女も私を抱きしめてくれる。
これが、私達カップルの朝のルーティーン。
妃奈
❤️
❤️
こうして、私達は家を後にした。
玄関にはトリプルティアラを取った時の 写真が今も飾られている。 そして、それをモチーフにして作った、 特注のティアラも並べて─────。
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主