二人が、やっと打ち解けている頃。三ツ谷の携帯の着信音が鳴り響いた。
三ツ谷隆
不意を突かれた着信に携帯を開いた三ツ谷は○○に向け苦笑いを浮かべつつ応答ボタンを押した。
○○
通話の相手など知らない。待ってくれと言われたから待つ。ただそれだけで頷いた○○。
林良平
三ツ谷隆
林良平
着信はぺーやんからで、それだけ言い残すと直ぐに電話を切った。三ツ谷の耳元ではぺーやんの声と共にエンジン音が響いていたことからバイクに乗って待っていたのは確かなものだった。
○○
受話器越しでも分かるほどの声量のぺーやんの声は、勿論○○にも届いていた。電話が切れたと同時にハッとした○○は、そそくさと携帯のメモ機能に文字を書いて三ツ谷に見せる。
三ツ谷隆
○○
三ツ谷が読み上げた文章にコクコクと何度も頷く。先程の涙は既に止まっていた。
三ツ谷隆
○○
"何故私も?"と思いつつも声にならず、目をぱちくりとさせた○○の腕を半ば強引に掴みスタスタと歩く三ツ谷。
三ツ谷隆
三ツ谷やっと来た。と思ったぱーちんとぺーやんの目先には他に知らぬ女が一人。
林田春樹
林良平
三ツ谷隆
○○
そう言えば、と思いながら手の先の○○をチラと見た三ツ谷はぱーちん達にそう告げる。
林田春樹
三ツ谷隆
林良平
○○
ぺーやんの威圧に思わずビクッとし三ツ谷の背に隠れる○○。ビクビクと震えながら三ツ谷の服の裾を掴んだ○○を三ツ谷は見逃したりはしなかった。
三ツ谷隆
林良平
林田春樹
○○
二人の予期せぬ反応に目をぱちくりとさせながら三ツ谷の後ろから顔を出して二人を交互に見た○○に三人は笑った。
三ツ谷隆
林良平
○○
悪気のないぺーやんの笑顔に先程まで止まっていた涙がまたぽろぽろと流れてしまう。声というものは、今まで後ろめたさしか無かったこの"無音"は、果たして。色んな思考がめぐり、その場にしゃがみ込んだ○○。
三ツ谷隆
林田春樹
林良平
○○
三ツ谷隆
少しだけ聞こえた気がした。○○の声が。何かを言おうとしていた。涙という雨の中で、○○は必死に。それを三ツ谷もぱーちんもぺーやんも見逃さなかった。
それは、彼等の優しさが故の反応だった。
泣きながら携帯を取り出した○○はメモ機能に「誰も悪くないです。ただ、皆さんの優しさが温かくて。」と書いて見せた。
林田春樹
林良平
三ツ谷隆
賑わう学校の玄関。その先、更に賑わいを見せる事を○○以外の三人は、何となく察していたのかもしれない。
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