君を解かす【短編】

最近、薙とご飯をたべるようになった

極度のめんどくさがりな私だから3日で終わると思っていたら

もう2週間は続いている

なぜか薙と話すのは億劫じゃないのだ

むしろたくさん話したいと思う

薙は小説をたくさん読むみたいだ

私が来る何分か前にきて小説を読んでる

普通に読んでいるだけだったらすぐに話しかける

でも

小説を読んでる薙の表情が泣きそうになってて

なんだかこのベンチだけ、別世界にいるみたいだ

そのなぞるときの顔が触ると壊れてしまいそうで

少し、怖くて。寂しくなる

薙の頭のなかはどうなっているんだろうと時々思う

こんなに繊細な感情があるんだ

1日思考を変えてくれないかと願ってしまう

ふふっ、と見た目に似合わない優しい笑い声を発する

ああ、こんなとき

私が、薙だったら

優しい言葉で包み込んであげれるんだろう

でも

私にはできない

でも、それでも

思ってることを言うだけならできる

言え、私

言わなきゃ、なにも変わらないんだから

……やっぱり、薙の笑顔は

世界で一番、眩しくて優しい

そして

可愛い。