たお
たお
たお
たお
皆さんは“一目惚れ”を信じますか?
1年生の夏。 僕は部活である大会に出場した。
光
流羽
会場に思ったより早くついてしまったので、 1つ上の先輩の光くんと、開会式までの時間を潰していた。
光
突然光くんが大声を出したので、 僕は額に流れる汗を拭いながら尋ねた。
流羽
光
流羽
なんとなく興味があったので、 光くんにどの子かを教えてもらった。
光
光くんが指すその先にいたのは、 友達と仲良く話す爽やかな雰囲気を持った男の子だった。
その子は遠目から見てもわかるくらいかっこいい人だった。
光
光
僕は光くんに声をかけられるまでのしばらくの間見惚れていた。
流羽
流羽
気がつけば声に出ていた。
光
光
光くんはからかうように言ってきたが、 この彼の言葉で確信がついた。
あの子に感じた僕の気持ちの名前、
流羽
光
それは“恋”だった。
開会式が終わると、それぞれの試合会場へ向かった。
光くんによると彼の学校も同じ会場に向かうそうで、 自然と気持ちは高まっていった。
初戦を勝ち抜き、今日の試合を全て終えて、 光くんと片付けをしている時だった。
???
???
後ろから光くんの名前を呼ぶ声がした。
光
???
光くんの名前を呼んだのは、開会式の時に見かけた彼だった。
光
???
僕はその時どうしても彼に名前を聞きたかったので、 自分の中にある小さな勇気を振り絞りって彼に尋ねた。
流羽
???
流羽
語尾が小さくなってしまった気がするけども、 なんとか声に出せた。
???
流羽
無事彼の名前を聞くことができた。
咲紅
莉斗
その時、咲紅くんの近くにいた子も紹介してくれた。
莉斗
光
流羽
咲紅
咲紅くんはまたね、と手を振ってくれたので、 僕も手を振り返すとニコッと笑い返してくれた。
もうちょっとお話ししてみたかったけれど、 この日名前を聞けただけで満足だった。
帰ろうとすると莉斗がこっちに走って来た。
莉斗
流羽
莉斗
流羽
さっき会ったばかりの莉斗に見透かされていて、 ちょっと悔しかった。
咲紅くんと会えたのはその日の一度きりだけで、 その後しばらくは会うことができない日々が続いていた。
学校の帰り道光くんに聞かれた。
光
光
流羽
正直に答えた。
最初はただの勘違いで終わるのかなと思っていたけど そうではなく、寧ろ“好き”が日に日に強くなっている気がする。
『次はいつ会えるかな』
こんな期待を日々背負いながら冬を迎えた。
僕は11月のテストで結構良さげな点数を取り 親にスマホを買ってもらった。
光
流羽
光
流羽
光くんは慣れたように 僕のスマホを操作して交換を済ませてくれた。
家に帰り、光くんのチャットを開き、 アイコンをタップするとあることに驚いた。
流羽
フォロー、フォロワーの数が余裕で3ケタを超えていた。
誰と繋がっているのかなと思い「フォロー」のところを押してみた。
そこには、同学年の人から、他学年、 そして他の学校の人などたくさんの名前が並んでいた。
流羽
流羽
なんて言っておきながら僕はある人の名前を探した。
流羽
流羽
何百人といる光くんのフォロー欄から 咲紅くんの名前を探しスクロールし続けた。
流羽
流羽
そう思って名前をタップすると、 自己紹介のところにしっかりと咲紅くんの学校名と部活名が 書いてあった。
僕は即座に「フォロー」を押した。
流羽
少し不安になりつつ「DM」をタップして チャットランを開いた。
まずは自己紹介しなきゃわかんないよねと思い、 慣れないフリック入力をして文字を打ち込んだ。
流羽
流羽
誤字脱字がないかを念入りに確認して送信した。
なんだか落ち着かなかったので、お風呂に行くことに。
お風呂から帰ると、スマホの液晶画面に通知があり、 恐る恐るロックを解除し画面を開いた。
咲紅
咲紅くんから来たのはこの一言。 “覚えてるよ”これだけでも僕の気持ちは高ぶった。
しかし、この後どう会話を繋げればいいのか分からず しばらく、画面と戦っていた。
悩みに悩んだ末、僕はとんでもないことを送っていた。
流羽
何故あんなに時間をかけた末、 こんなことを送ったのかは僕にもわからない。
拒否される前に消そうと思い、 送信取り消しの操作を進めていると既読がつく。
流羽
終わった、と思い呆然していると、咲紅くんからチャットが来た。
咲紅
僕はスマホの画面を何度も見返した。
流羽
流羽
この時の僕にはなんとも言えない感情があった。
流羽
さとみくんにそう送信するとすぐに返信が来た。
咲紅
流羽
数ターンのやり取りだったけど、僕はそれだけで幸せだった。
数日後咲紅くんからチャットが来た。
咲紅
流羽
咲紅
流羽
この会話に「楽しみです」と付け加えて、 スマホを閉じて布団に入った。
流羽
約束の日までの1週間がとても長く感じた。
約束の日、10時前。
流羽
駅につき、スマホを確認しながら咲紅くんを待っていた。
咲紅
数分後咲紅くんは現れた。
前にあったときとは違って私服姿の彼に目が離せずにいた。
咲紅
流羽
咲紅くんを前にするとDMとは違って 緊張し、言葉が出にくかった。
咲紅
流羽
咲紅
咲紅
流羽
咲紅くんはとってもおしゃれで 一緒にいるのが申し訳なく感じた。
午前中は映画館に行って最近流行りの映画を見て、 お昼はちょっとおしゃれなカフェで済ませて、 午後はボウリングや卓球など色んなスポーツが楽しめる所に行った。
咲紅くんは本当にかっこよくて、 しれっと道路側を歩いてくれるし、歩幅も合わせてくれた。
この日は咲紅くんのことを再び惚れ直す機会になった。
そして、僕は咲紅くんに伝えたいことがあった。
まだ直接会ったのは2回だけ。
それでも、こんなチャンスはないかなと思って口を開こうとした。
流羽
咲紅
でもそれは、咲紅くんによってふさがれた。
流羽
咲紅
流羽
流羽
久々に出掛けて、しかも咲紅くんと2人きりで緊張したけれど、 それよりも楽しさの方が勝っていた。
咲紅
咲紅
咲紅
そう話す彼は、夕陽に照らされ、頬が赤く染められていた。
咲紅
咲紅
夕陽が雲に隠れても咲紅くんの顔は赤いままだった。
流羽
咲紅
そういうと咲紅くんは僕の目を真っ直ぐ見て来た。
咲紅
咲紅
咲紅
咲紅
僕の足は自然と動いて、咲紅くんの元に進んでいた。
咲紅
流されるままに抱きついていた。
そして、こう答えた。
流羽
流羽
流羽
流羽
とびっきりの笑顔で。
咲紅
咲紅
咲紅くんと駅で別れ、家に帰る。
部屋に戻ってすぐに咲紅くんのチャット画面を開く。
咲紅
流羽
咲紅
流羽
咲紅
流羽
咲紅
流羽
流羽
咲紅
咲紅
流羽
咲紅
咲紅
流羽、好きだよ
僕も、大好き
たお
たお
たお
たお
たお
たお
コメント
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アーッビャァァブァアッビャァア すきっすわ わーーーーーーーーーーーー