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いつもそうだった。

いつも

いつもいつもいつも

気がつけば皆んなボクから離れていった

何で何だろう、

何回、何百回考えた事か

最初の頃は平気だった

耐えられた

でも

でも、

今はもう無理だ

どうしたって、皆んなボクから離れていっちゃう

じゃあ、

なら、

ボクが

ボクが、

……

死ねばいいんだ

透里

……

謎の生徒

君、死ぬつもりなのかい?

屋上の柵を乗り越えようとしたところでそんな声が聞こえた、ような気がした。ボクはどうせ空耳だろうと思いそのまま柵を乗り越えて向こう側に足をつける。

透里

……

……夕日がこれだけ綺麗だと思ったのは何年振りだろうか、こう言う日に限って綺麗に見えるのは世界からボクに対しての嫌味なのだろう。

透里

ふと足元を見る。とても高い、当たり前だ。屋上の、しかも柵の外側に立っているのだから。風が強く体にあたる、普段屋上に来る時はこの高所にいる時特有の風が鬱陶しくてしょうがないのだが、今日は夕日と同じように何故か心地よく感じてしまう。

…………………今までの人生を振り返ってみる。お金や家族にこそ恵まれたが、それ以外の人間や環境は劣悪と言っていいほど腐り切っていたな。

来世は人間じゃ無い猫にでもなれたらいいな。

そんなことを考えているとーー

謎の生徒

あれ、声が小さかったかな、

……

…………

今度は聞こえた、ハッキリと聞こえた。声変わりした後特有の少し掠れた様な声だ。

でも残念ながら今のボクには人に構っていられる様な余裕はない。そのまま振り返ることもなくただ空を見つめ続けた。

謎の生徒

死んでも楽しく無いと思うよ?

随分と近くに来ていたらしいその声の主は一歩ずつゆっくり柵に近づきながらこちらを優しい眼差しで見つめていた、ボクはその生徒の目を見る事もなくどうせ笑いに来たのだろうと前を向いた。しかしその生徒は笑う事も止める事もなく、まるでボクが飛び降りるのを観察しているようだ、ボクは沸々と怒りが湧いてきたが、怒っても意味は無いので、口に出さないことにした。

透里

関係ないでしょ。ボクとあんたは所詮“他人”なんだから

そこで彼は一歩ボクに近づき、柵に腕を乗せた。

謎の生徒

他人だからって君に話しかけてはダメなのかい?

ボクは返事をしなかった。ただ、黙って空を見つめた、すっかり空が紫色に染まりかけてしまっている、日が落ちるのは早いものだな、とそんな呑気なことを考えてしまった。 ふと振り返ってみる。 一ーなぜこの人は、そんな目をするんだろう。 ーーどうして、ボクなんかに、話しかけてくるんだろう、なんでそんな言葉を、ボクに..。 彼のその目が、少しだけ、ボクの胸の奥を揺らした。ような気がした。

謎の生徒

どうせなら君が死ぬ前に少し話しておきたくてね

それは、嘘のようにまっすぐな声だった。 夕焼けが、彼の後ろから差していた。逆光で表情はよく見えなかったけど、ボクは少しだけ、綺麗だと思った

謎の生徒

名前、教えてくれないかい?

透里

っ…

ボクはまだ、柵の外に立っている。 けどーー

ーーほんの少しだけ、飛び降りたいと言う心が、揺れた。

透里

まだ希望があって、まだ死にたく無いって思ってる時は、

透里

誰も助けてくれなくて

透里

でも、

透里

もう助けなんかいらない、もう死ぬ事を心に決めた時に限って

透里

絶対に止められる、

透里

だから、

だからどうせ、こいつだって…

影山先輩

僕は影山。よろしくね。君はなんて言うんだい?

透里

っ!!

綺麗な目をしていた。

それはそれは、とても

ただ、

ただただ純粋に名前が知りたいだけで、

止めないと、なんて事考えてもなさそう様な

純粋で、綺麗な目

ああ、

この人は…

透里

………

透里

透里、

透里

東雲、透里

へえ、

とても綺麗な名前だね

 ボクが死ぬのをやめた理由

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