あたし達がたとえ喧嘩していても文化祭の準備は進んでいく
同じ接客係だから嫌でも話さないといけない
話すと言っても業務的なことだけで 「これよろしく」「うん」「分かった」こんな感じ...かな?
あたし達が喧嘩しているせいで接客係の雰囲気があまり良くないように感じる
...それは嫌だ 関係ない人たちを巻き込んでまで喧嘩したくない
前までの緩くて明るい雰囲気はもうない
みんなひたすらに衣装のサイズを測ったりだとかするべきことを黙々とやっている
隣にいるゾムを見る
すると視線を感じたようでゾムもこっちを見る
──お互い意思共通感じた
多分だけどこの雰囲気をどうにかしなきゃなってどっちも思ってる
だってゾムがこっちを見て気まずそうに笑ってるんだから
やっぱ幼なじみは幼なじみ以外の何物でもないや
○○
作業しているみんなに聞こえるようにそう返す
みんながあたしの方に振り向く
視線を感じながらゾムを見た
ゾム
顔を見合わせどちらともなく笑った
心の中にぽっかりと空いてた穴が半分埋まったような感じ
...なんで半分なんだろう?
仲直りしたあたしたちを見てゾムと仲のいいトントンが言った
トントン
トントンのおちゃらけた声でみんなも笑い出す
心配かけてごめんね?
でも大丈夫
幼なじみの絆って脆くても硬いんだよ?
この場の空気を変えてくれたトントンに感謝しながら横にいるゾムを見て微笑んだ
──文化祭まであと2週間
片付けや飾り付けも終盤に差し掛かってきてもうすぐ文化祭なんだなー実感が湧き始めてきた
あたしよ心に空いた穴は今も埋まることなく空いている
何が原因がすら分からない
けど...何かが足りない
わがままだけど 今1番欲しいものが横取りされたような感覚かな...?
あとね...文化祭が近づくにつれてゾムが変になってる気がするの
曖昧なんだけど 元気がないって言うか...
遠くを見つめて何か考え事をしてるような...
でも寂しそうな目をするから安い悩みとかじゃないんだと思う
あたしも文化祭が近づくにつれて 緊張が高まって行く
あたしの任務(?)はゾムが死んでしまう未来を変えること
タイムリープさせてくれた神様(?)があたしに授けてくれた任務だと勝手に思っている
こんな貴重な体験をして 何もしないで過ごすのは勿体ないよね
で 作戦を色々考えて見たんだけどさ...
交通事故を無くせばいいんでしょ?
ならあたしと帰って交通事故に合わないようにすればいいだけじゃない?
それでいいはずなのに...
腑に落ちないことがある
最近ゾムの元気がないのと交通事故のことに...もしかしたら関係性があるんじゃないかとか...ね
あと他にも疑問なところがいくつかあるんだ
あたしがここに来る前に聞いた話なんだけど
ゾムが死んだのに葬式とかやんないんだって
...おかしくない?
どんな家でも息子の葬式はと思うんだよね
じゃなきゃ 成仏?みたいなのが出来なくて天国に行けないかもじゃん
今から物騒なこと言うけどゾムの死体見たことないんだよね
家族ぐるみで仲良くて 幼なじみのあたし達は家族と同然らしいから 棺桶に入ったゾムとか...見るはずだと思うけど
もちろん見たくないけどね...
そこら辺の記憶もみんな曖昧らしいくて...
ゾムの死には謎が多いみたい
交通事故 いつかは分かる どこかは分からない どうやっては分からない 誰には分からない
ダメだ...なんにもわかんない
...あたしが今することはゾムが元気になれるよう 見守りながら手助けすること
もう絶対失ったりしない。
今年の文化祭はあたしのひとつの分岐点と言える大きなイベントになるだろう
同じ接客係の澄春とさっちゃんに呼ばれて文化祭の準備に取り掛かった。
主
コメント
6件
最高最高最高っす!
主さん面白すぎです!! 続きめっちゃ気になります!!
あーやばいー(語彙力低下)