赤side
屋上で風にあたりながらパックのいちごオレにストローを刺す
それを口に咥えながらフェンスにもたれ掛かり、校門を潜る生徒たちを見下ろした
今日はいつもより一段と人が多い
…まぁこの学校が転校生を受け入れるのは特例な訳で、しかもそれが3人。生徒達は当然興味を持ち、転校生を一目見ようと授業前に学校へと来ているのだろう
赤
足元に置いてある鞄から昨日渡された資料を取り出す
各3枚の右上に貼られている3人の顔写真
赤
嫌な予感
若干眉を顰め、咥えていたストローに力を入れるとジュっと言う音が鳴って、いつの間にか飲みきっていた
不意に視線を感じて振り返るが誰もいなかった
赤
昨日と今日で、少し敏感になっているのかもしれない
そう自分に言い聞かせ、屋上をあとにした
赤side
辿り着いた生徒会室の扉を後ろ手で閉め、視界に入ったゴミ箱にパックを投げ捨てる
黄
日差しが燦々と差し込んでくるこの部屋は少し生徒会とは違う
壁には大きな液晶テレビ
一般家庭に置いてある様な大きめの冷蔵庫
奥には幾つか部屋があって部屋の中央には大きなガラステーブル
それを取り囲む様に置かれた1人掛けの黒いソファーが四つ
そして上座には1つ黒の長ソファーが置かれていて
その奥には生徒会デスクが置かれている
長ソファーの真ん中に腰掛けて足を組んでいるのは、太陽に照らされて黄金に輝いた髪を靡かせながら微笑むるぅとくん
赤
目を伏せながら笑って返し、いつも自分の座るソファーへと腰掛けた
俺たちは仕事中はデスクに向かっているが、朝や仕事がない時は基本あのソファーに座る
俺の向かい側に座るころちゃんに目を向けるとパリパリと薄く切られたチップスを食べながら、ポチポチと片手でキーボードを打っていた
赤
青
問いかける俺にゴクン、と喉を鳴らした後袋を俺に見せるようにして前に掲げた
赤
何が凄いのかは分からないが、アレは本当に美味しいんだろうか
ころちゃんの顔を見る限りは美味しそうだけれど
黄
黄
やれやれと眉を下げて呆れ顔を見せるるぅとくんに俺も苦笑した
青
黄
なんだかんだ幸せそうに微笑む2人に頰が緩むのと同時に心が黒く染まっていく
赤
あんな顔はさせない
そう心に誓った
赤side
久しぶりの教室はなんだかザワザワしていて落ち着きがなかった
それはそうだろう。普段居ない俺たちが3人揃って座っているし、見覚えのない席が3つあるのだから
俺たちには関係のない事なのだけど
青
3人で談笑をしているとチャイムが鳴って散らばっていた生徒達がゾロゾロと各席に座る
2人も体制を前に戻して入ってきた先生を見つめた
先生
先生は話を続け、時々待ちきれない生徒達が「どんな子来んのー⁈」とか「もういいからさっさと紹介しろよー!」なんて言葉が先生に届く
先生は頰に汗をかきながら困った様におろおろとしていた
先生
そんな先生のなよっとした声にさっきまで騒いでいたのが嘘かの様にシーンと静まり返る教室
ガラッと開かれた扉の向こうには朝見た写真通りの3人
教卓にいる先生の隣に立つと身体をこっちに向けた
先生の紹介を聞き流しながらチラッと周りを見ると3人に目が釘付けになっていた
そんな生徒達に鼻で笑いながら、2人はどうかと視線を移す
斜め前に座るるぅとくんは、若干口角を上げた意味深な笑みを浮かべていた
前に座るころちゃんは表情は見えないがイライラした様子で頬杖をつき、舌打ちをしながら窓の外を眺めていた
気づけばもう3人は自己紹介を終えた様で、俺の後ろに並ぶ席に足を運んでいた
近づくにつれて違和感を覚える
赤
嫌でも嗅ぎ慣れてしまった鉄の匂い
怪我……って事にしとくか
一度、考えるのをやめて俺は窓の外を眺めた
コメント
15件
最高すぎ!ぶくしつです!
1000⬆人フォローおめでとうございます!!! 本当はぴったりにお祝いするつもりだったのに過ぎてた…😭 これからも、がんばってください!