練習中
えむ
寧々
えむ
司
バタン、大きな音が鳴って、意識が途切れた
これはあたしが死ぬまでのお話。 お医者さんに残り半年しか生きれないんだって、あたしの体がどんどん弱くなるから、病院で過ごすんだってさ。ショーもできない。部屋からも出ることが出来ない。そんな日々を死ぬまで続ける。あたしは希望を失った。けれど、誰かを少しでも笑顔にしたかった。誰も悪くない。あたしだけ…
1ヶ月前、あたしは練習の最中に倒れた。あたしはビョウキになっちゃったんだって。心臓さんがトクントクン音が小さいの。
1日目午前6:00
えむ
起きるのは午前6:00程、朝ごはんは7:00からなので、あたしは本を読んだりお隣さんと喋ったりする。 けど今日は違う。朝から司くんが来てくれるんだって。
えむ
会うのは1週間ぶりだ。司くんたちもショーで忙しいんだろうなあ。ショーは成功してるかな?フェニックスワンダーランドは変わってないかな? なんてことを考えてる。 病院のご飯は美味しくないんだ。ちょっと苦手かなぁ、変なゼリーにパサパサのご飯、お味噌汁と魚さん。味付けはお塩をちょっと。
えむ
一人で食べるご飯は寂しい、何故か味もない気がする。お医者さん達は寿命のことを司くんたちに伝えてない。あたしが伝えないでと言った。
司
ガラッと扉の音がした途端、司くんは叫んだ
えむ
司
えむ
司くんはいつも心配してくれる。あたしは密かに司くんが好きなのです!
司
司くんが持ってたのはペンダントだった。
えむ
ピンクと緑と紫と黄色が合わさったパステルなペンダント。ちょっと特殊なのがロケットだった。中にはみんなの集合写真、
えむ
司
司
司くんはワッハッハー!というような顔でどややってしてた。
えむ
あたしはベッドの横に座っている司くんにぎゅーっとした。司くんは前みたいに驚いていたけど、ぎゅっとしてくれる。優しいなあ、けど、皆にそれしちゃうのかな?あれ、もしかしてあたし今、大好きって言っちゃった?
えむ
司
えむ
司
司
えむ
司
司
司くんがちょっと重そうな箱を開けた。中には透き通った灰色の指輪、真ん中にはキラキラと光る宝石さんが座ってた。
えむ
司
えむ
あたしは涙が出ちゃった。だって、箱には『付き合ってください。』そのたった10文字があった。
司
えむ
司
類
扉の方から調子のいいテノールの声が聞こえた
えむ
司
類
類
寧々
えむ
司
司くんはショートしていた。あたしもだけどね!まさか類くんと寧々ちゃんも来るなんて!びっくり!
……伝え、ようかなあ。
司
えむ
司
寧々
様子に気づいたのは寧々ちゃんだった。
寧々
えむ
ちょっとだけ強く言ったら、寧々ちゃんは『そう』と認めてくれた。危ない危ない…
えむ
類
寧々
司
えむ
気付かぬ間に司くんとお手手繋いでたみたい。
えむ
司
寧々
類
えむ
司
類くんのお話によると、司くんは3ヶ月前くらいからあたしのことが好きだったみたい。その話をしてる時司くんは繋いでない方のおててで顔を隠してた。
えむ
寧々
類
寧々ちゃんと類くんが病室から出て、『またね。』と言った。2人の薬指には同じモデルの指輪があった。 ああ、そうなんだな。
司
えむ
司
えむ
司
えむ
司
えむ
『またね』を言おうと思った時、司くんの唇があたしの手の甲に付いた
司
えむ
それからあたしは、さっきのことを思い出してきゃーきゃーしたり、本を読んだりした。
お医者さん
えむ
お医者さん
えむ
横になって、体にぺちぺちと何かが貼られていく。ここらへんは言わなくてもいいよね。
ーーーー
そして1時間後くらいかな?全部終わらせたら、先生のいつものジョークが来た。
お医者さん
えむ
先生とおしゃべりするのはすごく楽しい。
お医者さん
お医者さん
えむ
お医者さんも病室からいなくなっちゃった。んー、どうしよう。やることないなあ。司くんたちから貰ったロケットペンダントをずっと見つめる。
えむ
あたしは笑うと同時に涙が込み上げてきた。
えむ
ぽたぽたと零れる涙を拭く、誰にも心配されたくないから。
気づいたらあたしは寝ていた。起きたのは晩御飯前の午後7:00、あわわ、びっくり、
えむ
こうやって一日が待たすぎちゃうんだ。なんて悲しい気持ちになる。窓を見ると患者さんたちがいっぱい。夜の時間はあまり好きじゃなかった。
晩御飯も朝ごはんと同じもの。
えむ
あたしは余命なんて忘れてご飯を食べることにした。あたしがまだ元気だった時のショーのことを思い出して、ふふふ、と笑ったりした。周りからは変な目で見られるかもしれないけれど、体が元気だった時はよく廊下で踊ったりしてる。お外には出たらダメなんだって。お医者さんにきつーくいわれた。
えむ
そう言って、あたしは目を閉じた。
コメント
1件
えむむ……