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ヤリサ
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#異能力
りんご夫人
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コメント
1件
読み終えたばかりだけど、これ、めっちゃ良い世界観だね……! 冒頭の「異災局」っていう設定と、怪異が“見える者”と“見えない者”が混在する街の描写、一気に引き込まれたわ。特に泪くんの“手袋を外せない”ところと、最後の「特別指定異能力者」の落差がすごくて、続きが気になって仕方ない! バーガー店の日常から異能バトルへの流れも自然で、映像が浮かぶような書き方だったよ。岳と燕のコンビもキャラ立ってて好き。次どうなるんだろ……待ちきれない🔥
この世には、説明のつかない 事件や事故がある。
人ならざるもの。
常識では理解できない現象。
人々は それらに、「呪い」「祟り」「怪異」 様々な名を与えてきた。
そして。
それらを、人知れず管理する組織が 存在する。
異災局。
正式名称 特異災害対策管理局
バーガー店員
泪(るい)
黒髪の青年は紙袋を受け取ると、 店内の端の席に座った。
泪(るい)
青年こと御影 泪(みかげ るい)は、 しばらく無言でバーガーを見つめる。
それから鞄を開き、 錠剤の入ったケースを取り出した。
一錠、口に放り込む。
『ガリッ…ボリ』
お客さん1
お客さん2
泪(るい)
店内のざわめきに混じって、 どこからともなく声が聞こえた。
『ハンバーガー…… お待たせしました……』
『お待たせ……しま…た』
泪(るい)
泪は顔を上げた。
店内を、 黒い“なにか”がうろついていた。
人の形にも見える。 けれど、人ではない。
泪は黙ったまま、それを目で追う。
すぐそばをそれが通っても、 誰も振り向かない。
笑い声。
食器の音。
スマートフォンを眺める客。
まるで、そこには 何もいないかのように。
怪異。
人ならざるもの。
この世界には、普通の人間には見えないものを見て、触れ、 時にはその力を扱う人間がいる。
泪は怪異から視線を外し、 手元のハンバーガーへ戻した。
黒い“なにか”は、相変わらず店内をふらふらと彷徨っている。
少しして。
お客さん1
近くの席から、小さな呻き声がした。
お客さん1
お客さん1
その隣でも。
お客さん2
一人。
また一人。
ハンバーガーを口にした客たちが、 次々と苦しみ始める。
怪異には、 ただ存在するだけのものもいれば、 人間へ直接害を及ぼすものもいる。
そして、周囲の物質を媒介に、 人間を侵すタイプは
汚染型。
黒い怪異の足元から、煤のようなものがじわじわと床を這っていた。
それは厨房の方へと伸びている。
泪(るい)
倒れていく客を見る。
手元のハンバーガーを見る。
もう一度、客を見る。
ハンバーガーを見る。
泪(るい)
そっと、包みを閉じた。
バーガー店員
バーガー店員
バーガー店員2
ハンバーガーを食べていなかった店員や客たちが立ち上がり、 店内は一瞬で騒然となる。
その瞬間。
店の外から、黒い影が凄まじい 勢いで飛び込んできた。
『ガァンッ』
それは怪異の身体を横から殴りつけ、 そのまま壁際まで吹き飛ばす。
『ぎぃあぁぁぁぁ!!!!』
怪異が低く濁った声で叫んだ。
泪(るい)
床を引きずるような、重い金属音。
影の正体は、巨大な鎖の先についた 分銅だった。
岳(がく)
岳(がく)
扉を開けて入ってきたのは、 赤い髪の青年。
長い鎖を片手に巻き取りながら、 楽しそうに怪異を睨んでいる。
入口の方では、警察と黒いスーツ姿の人間たちが慌ただしく動いていた。
黒スーツの人
黒スーツの人
店内にいた客たちは、 その指示に従って次々と外へ出ていく。
誰一人として、 赤い髪の青年に目を向けない。
すぐそばを通り過ぎても、 避けようとすらしない。
まるで、誰にも彼が見えていないように
泪も指示に従い、ゆっくりと店を出る。
入口付近で、 外から入ってくる少女とすれ違った。
通り過ぎる、その瞬間。
目が合う。
燕(つばめ)
『ガシャンッ!!』
店内から、何かが派手に 壊れる音がした。
少女はすぐに視線を店内へ戻す。
燕(つばめ)
燕(つばめ)
燕(つばめ)
岳(がく)
岳(がく)
岳と呼ばれた青年は、巨大な鎖鎌を 振り回しながら助走をつける。
『あがぁ……あががぁ……』
怪異は、まるで痛がるように 身体をよじった。
その身から噴き出す黒い煙は、 先ほどより明らかに濃くなっている。
少女が眉をひそめる。
燕(つばめ)
店の外では、避難した客たちが一人ずつ簡易テントへ通されていた。
怪異から発生した煙による汚染がないか、身体の状態を確認するためだ。
受付では身分証の提示も 求められている。
従事者の女性
従事者の女性
やがて、泪の番が来た。
一通り確認していた女性職員が、 彼の手元を見る。
従事者の女性
泪(るい)
女性が怪訝そうに眉を寄せる。
従事者の女性
泪(るい)
従事者の女性
従事者の男性
隣にいた職員が声をかけた。
泪から預かった身分証と、 手元の端末を見比べている。
その表情が、わずかに変わった。
女性の顔から、さっと血の気が引いた。
泪を見る。
さっきまでとは違う、 明らかに警戒した目。
それでもすぐに笑顔を作った。
従事者の女性
泪(るい)
事件は無事に収束した。
その日のニュースでは、飲食店を狙ったテロ行為の可能性があるとして 報道された。
怪異の存在については、 一切触れられていない。
一方、規制線の張られた現場では
店内で戦っていた燕と岳のもとへ、 一人の男が歩み寄ってきた。
郁(いく)
燕(つばめ)
岳(がく)
岳はけろりとして答える。
岳(がく)
その隣で、燕が静かに口を開く。
燕(つばめ)
燕(つばめ)
燕は倒れた怪異の跡へ視線を向ける。
燕(つばめ)
郁(いく)
燕(つばめ)
燕がわずかに間を置いた。
燕(つばめ)
郁(いく)
燕(つばめ)
燕(つばめ)
岳(がく)
岳も思い出したように声を上げる。
岳(がく)
男が少し考える。
郁(いく)
燕(つばめ)
岳(がく)
燕も小さく頷く。
郁(いく)
郁(いく)
三人は、避難者の検査を終えつつある 医療班のテントへ向かった。
郁(いく)
従事者の男性
郁(いく)
郁(いく)
従事者の男性
従事者の男性
郁(いく)
男性は声を少し落とした。
従事者の男性
従事者の男性
男性は言いにくそうに続けた。
従事者の男性
郁(いく)
従事者の男性
鳴海の表情から笑みが消えた。
郁(いく)
異能力には、 いくつもの発現形式がある。
道具や札などの媒体を介するもの。
自らの肉体へ作用するもの。
一定の空間そのものへ干渉するもの。
その性質と威力、制御性、想定被害などを基準に、 異能力者には危険度が定められている。
C、B、A、S。
異災局の実働班に所属する者の多くは、AあるいはS判定。
大きな力を有していて、 味方にも的にもなりうる力
異能力者の中でも 大きく評価され活躍する者たち
だが
特別指定異能力者は、 それとは別だ。
能力の使い方次第では、一都市どころか国家規模の 災害を引き起こしかねない者。
世界でも確認例はごくわずか。 各国の対異災機関が情報を共有し、身元そのものが厳重な監視対象となる。
そのほとんどが、国家か何らかの組織の管理下に置かれている。
にもかかわらず。
あの少年には、所属先がなかった。
岳(がく)
燕(つばめ)
鳴海は少し考えたあと、 口元だけで笑った。
郁(いく)
男性が端末を見る。
従事者の男性