「教育」
俺はこの言葉が嫌いだった。
教科書や先生の言いなり。
この「感情」だって
すべて、学んだもの。
俺の個性なんて、とっくに消えてる。
生まれたときからの感情は、「常識」に囚われて
どんどん失われていった。
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「…オッパ?」
○○の優しい声で、素に戻る
『…ごめん、…』
「大丈夫??」
……
なんで、
なんで、君が言うの??
大丈夫って
崩れそうなのは、君なのに。
『大丈夫だよ。』
「良かった。」
「元気なオッパが一番だもん。」
どうしてだろう。
何でなんだろう。
どうして言えないんだろう。
「……あと、」
「どれくらい生きられるんだろう、私。」
『…っ……』
いつも、君が言ってた。
永遠にそばにいるって、言ってたのに。
簡単な言葉に見えて、
でも内容は重たい。
重たすぎた。
『…愛してるよ。』
「ふふっ。私も。」
無機質なベッド。
手首に管をつけた君が
俺を見て、微笑んだ。
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何日か経った。
医師から余命宣言されてから1ヶ月。
……
残り2週間。
「……オッパ」
『…どうしたの?』
「もし、私が居なくなったら」
「そのネックレス、捨てて。」
『…え、?』
…そのネックレスというのは
記念日に買ったお揃い物。
『な、なんで、…』
「…私を忘れて幸せになってほしいから」
「…ネックレス見るたびに思い出されたら、…ね…」
……
『…それはその時考えるね。』
「…、うん…」
嘘だ。
絶対捨てない。
○○の切なくて弱々しい顔を見て
苦しくなった。
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残り一週間。
いつもと変わらない○○。
本当に居なくなるのか?
『…○○。』
「…なに??」
『…一緒に死のう?』
我慢の限界だった。
彼女の死を想像して
俺のその後を想像して
結婚する妄想をして
…死にたくなった。
……優しい彼女の事だから
断られるだろう。
「…駄目だよ。テヒョンには幸せになってほしいから。」
ほら、ね。
『……○○が居ないと幸せになれない。』
『キスもしたいし、ハグもしたい。』
『今すぐ…。』
すべて教育から学んだこと。
《運命や未来からは逃れられない。》
《努力は実る。》
こんなのは嘘だ。全部、全部。
運命や未来から逃れられる場所はある。
諦めなければならない時はある。
だからこその選択。
『また、来世で、幸せになろう?、』
……
「っ、あっ、……」
…久しぶりに涙を流す○○。
我慢していたんだね。
辛かったよね。
『…行こっか。』
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「…綺麗。」
病室を抜け出し
夜の海に向かった俺達。
『1ヶ月ぐらい外に出てなかったもんね』
…瞳を輝かせながら、深呼吸をする○○。
綺麗だ。とても。
『…心の準備は?』
「大丈夫。」
靴を脱いで
手を繋ぐ。
『俺と、一つ約束して?』
「…なぁに?」
『…来世の待ち合わせ場所は』
『さようならより一番遠い場所でね。』
「ふふっ。もちろん。」
水を割って、歩いていく。
○○の震える手。
「またね。」
『うん。またね。』
そのまま俺達は、沈んでいった。
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コメント
3件
めちゃくちゃ好きです
みなさんお久しぶりです😇 今回は、私が大好きなRADWIMPSさんの曲を取り入れて作りました🥺 「やば、この言葉エモい」っていうのはだいたいRADWIMPS様のお言葉です🙃是非色々な曲を聴いてみてください。それでは!