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中也母

不在着信

不在着信

中也

母さん。すまねえ。仕事中だった。

中也母

あら。こちらこそごめんね。

中也母

もうすぐお盆じゃない?

中也母

帰ってこれるでしょ?

中也

あぁ。今年は戻れそうにないんだ。

中也母

全く。一人ひとり関わらなくていいのよ。

中也母

早く治して、次の患者さん治して、稼いでちょうだいね

中也母

私達の夢も叶えてね

中也

うん。

中也

母さんのためなら

中也母

中也は聞き分けが良くて助かるわ

中也母

お仕事頑張ってね

中也

くそっ…

母とのメッセージはいつもこう。俺が医者になったのも母と父の願い

太宰

ちゅっや?

中也

太宰…もう消灯時間過ぎてんぞ?

中也

看護師に怒られるから戻れ

太宰

違う。手の甲血が…

太宰に指を差されたた右手の甲。赤い血が人差し指を伝って地面にぽたぽたと落ちていた。

中也

あっ…

中也

俺手当したら帰るから。お前も病室にもどれ。

太宰

ねぇ。話してよ。

中也

駄目だ。まだトマトと馬鈴薯残してるだろ?

太宰

中也

俺は医者でお前は患者

中也

な?

太宰

わかった。

中也

ちゃんと話すから

太宰

うん。おやすみ

中也

おう。また明日。

患者に心配されるなんて医者失格だ。

中也

ほんと…何でだよ…

中也

ただいま。

中也

つっても誰もいねぇけどな。

狭くはないアパートに一人暮らし。親と離れられたのはつい三年前。ずっと監視付きの生活だった。

中也

薬の空き瓶…ビンの日何時だっけ?

親ガチャ失敗。

昔からずっとずっと思ってた。今もそう思ってる。

放課後公園を通りかかるたび立ち止まった。同級生はみんな遊んでた。俺に友達と遊んだ記憶なんてない。

中也

はぁ。仕事辞めて夜逃げしようかな。

中也

いっそ、海外にでも行ってやろうか

でもまだ太宰を助けてない。救ってない。あいつが普通に笑えるまで治すのが俺の使命だ。

傷跡だらけの腕を見て少し泣きそうになった。

中也

15粒だけ。いいよな。

俺は束の間現実逃避をして浅い眠りについた。

中也

おはようございます

看護師

おはようございます。

看護師

中原先生!治くんのことなんですけど

中也

はい?

看護師

今朝ベットの横に1シート痛み止めのゴミが入ってました。

中也

あー。わかりました話しておきます

看護師

はい。ありがとうございます

また薬溜めやがって。なんて思ったけど自分に注意する資格なんてない。

中也

太宰。

中也

なんで飲んだ?

中也

はぁ。起きてんだろ。

背を向け返事をしない太宰を数分見つめた。

太宰

ねぇ中也。

中也

なんだ?

太宰

夢。見たんだ。

中也

どんな。

太宰

父さんに虐められる夢。

太宰

暗い部屋で私は縛られて、殴られて

太宰

起きたら真っ暗な病室で

太宰

夢なのか、現実なのか、わからなくなって

太宰

飲んだ。

太宰

夢の最後に父さんが逃さない、俺の治って言って

中也

怖かったか?

太宰

うん。凄く。凄く怖かった。

太宰

私は退院したらどうなるの?

太宰

親戚みんな私のこと引き取る気はないんでしょ?

中也

みたいだな。

太宰

孤児院行きかな?

中也

じゃあ。俺が引き取ってやる

太宰

は?

中也

は?、ってなんだ。だから

中也

俺ん家来るか?って聞いてんだ。

太宰

いいの?

中也

いいぞ?一人暮らしだし。

中也

俺さ。ずっと一人だったんだ。

太宰

両親いるじゃん。

中也

まぁ。でも両親だとは思えなくてよ

中也

産まれたときからずっと愛された覚えが無いんだ。

中也

俺の家系は父親と母親両方とも医療系の家でよ

中也

両親二人共医者目指してたんだ。

中也

でも母親は四浪して、父親は職場に馴染めなくて二人共辞めた。

中也

そんなときに丁度俺が生まれたもんだから絶対医者にして

中也

でかい病院開かせるって決めたらしい

中也

だから幼稚園の頃から勉強尽くし

中也

ばあちゃんの家に行ってもばあちゃんに勉強させられて

中也

学校はほぼ行かせてもらえなかった。

中也

朝5時起きて、夜の1時まで親に勉強詰められたよ。

中也

それで生きてるかわからなくなって、自傷と薬の過剰摂取始めた。

中也

それと同時に心傷病も。

中也

両親は息子が病気だってのにそれでも勉強を詰めて

中也

案の定俺は入院。勿論入院だってテキスト6冊渡された。

中也

それで医者になった。

中也

医者なったとき大層喜んだよ。

中也

そんときに手前にあった。俺ん時と同じ目してた。

中也

昔の自分を見てるようでな。

中也

俺が研修医のとき初めて笑った太宰見て毎日笑ってほしいって思ったんだ。

中也

医者になって良かったって思えたんだ。

中也

親の理由じゃなくて自分の意志で

中也

そのっだから。俺は…

中也

お前のおかげで自由になれた。

中也

手前に礼をしたい。

中也

だから

太宰

行く。私中也の家に行く!

太宰

中也と一緒に居たい。

太宰

それで私も中也に恩返ししたい!!

太宰

私を此処まで回復させてくれたんだ

太宰

こんな私で事足りないと思うけど

太宰

少しでも!中也の心の穴を埋めてあげたい。

太宰

ねぇ中也お母さんとお別れしな?

中也

そうだな。

中也

ありがとうな、太宰

太宰は優しく微笑んだ

太宰

どういたしまして

中也

母さん

さ よ う な ら

中也

あなたのおかげで大切な人が出来ました。

中也

俺に貴方はもう

必要ありません

中也

ありがとうございました
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コメント

1

ユーザー

えっと取り敢えず太宰さんの親と中也の親☆☆☆ばいいですか?今回も最高でした!ありがとうございます!!!

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