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それから何度も放課後に寄り道を重ねた。
カフェだったり、
本屋だったり、
ただの公園のベンチで話すだけの日もあった。
優斗はいつも笑顔で、俺の隣にいてくれた。
けれど、その笑顔を独り占めしたいと思う気持ちは、日に日に強くなる。
今日こそは、と胸に決めて、俺は優斗を放課後の河川敷に誘った。
秋の夕暮れ、川面に映る光がきらきら揺れている。
二人並んで座ると、優斗は膝に手を置いて、少しだけ不安そうに俺を見上げた。
優斗
真央
優斗
優斗はふっと笑って、視線を川へ向けた。
俺は深呼吸をして、その横顔を真っ直ぐ見つめる。
真央
その瞬間、川のせせらぎの音が遠のく。
優斗は目を丸くして、そして、頬がゆっくりと赤く染まっていった。
優斗
言葉が重なったわけじゃない。
でも、返事は迷いなく俺の胸に届いた。
真央
優斗
優斗は小さくうなずき、照れくさそうに笑う。
その笑顔が嬉しくて、俺はそっと優斗の手を握った。
夕日の光が二人の影を長く伸ばし、その中でぬくもりが確かに絡み合っていた。
―やっと手に入れた、この甘さを、絶対に離さない。