片想いでも恋だと思いたかった

祝日に行くことになってさくらと悠哉は少し気を使い、お昼過ぎくらいに上がることにした。

たまたまさくらと三浦は入り口で会い、一緒に来た。

二人で悠哉の出勤時間に首を傾げた。

三浦が顔を輝かせてさくらを見つめる。

さくらと悠哉はバイトを上がり、出口に出てから合流した。特に隠す必要もないが、なんとなく祝日に早めに上がって二人で遊ぶのは憚られる。

並んで歩きながら二人は駅に向かって電車に乗った。

今日のさくらは白シャツにグレーのスラックスだ。ネックレスやピアスはつけているが、かなりシンプルだと自分でも思う。

さくらは本当にそう思っている。自分が好かれている好かれていないは関係なく、一緒に出かけるなら好きな服装の人がいいと思う。

映画館のあるショッピングモールでさくらがお父さんから貰ったチケットを半券と交換すると悠哉が言った。

そこまでだったらさくらはそこまで意識しなかったと思う。しかしその次の悠哉の発言でさくらは目を見開いた。

友達同士でもわざわざ誰かのお父さんと言う三人称は使わない。普通にお父さんで伝わるからいいのにそんなこと言われると少し意識してしまう。

さくらはどうにか悠哉に動揺を悟られないようにするしかなかった。こんなことで動揺してしまったら意識してるのが丸わかりだ。

そうしてさくらと悠哉は映画を観た。幸いなことに映画に集中できて観終わる頃には、メンタルが元通りになっていた。

観終わってから二人が歩いているとGODIVAがさくらの目に入った。そしてさくらはつぶやいた。

聞くつもりで話題を出したわけではなかったが「欲しい」と言う言質が取れた。そうなるとさくらは悠哉専用にチョコレートを買うことができる。

そんな会話をしながらさくらと悠哉は夜にしゃぶしゃぶを食べることにしてお店に向かった。