蒼
桃
本編スタート!
桃先輩とカラオケに行ったあの日から 1週間が経った
蒼
………
桃
………
僕は未だに桃先輩と あまり話せないでいる
部長
おい蒼!ちょっとこっち来い!
僕は部長に呼ばれる
蒼
…はい!今行きます!
僕は駆け足で部長の元へ向かう
部長
こっちこっち
そして僕は部屋の隅の方へ 手招きされる
蒼
はい…どうしましたか?
部長
お前…桃となんかあったのか?
部長は鋭い質問をしてくる
蒼
あっ、いや…その…
僕は思わず言葉に詰まる
部長
あいつさ、大雑把だし何考えてんのか分かんないとこもあるけど…
部長
仲間想いの良い奴だからさ…あんま悪く見ないでくれると嬉しいな
部長
あいつと1番付き合いが長い俺からの頼みだ
蒼
(少し冷たく当たりすぎたかな…)
蒼
(でも元はと言えば桃先輩が適当にはぐらかすからで…)
思うところは色々あったが、
蒼
わ、わかりました…
僕は部長にそう答えた
部長
おう!また仲良くしてる2人が見たいな!
そう言って部長は僕の肩を叩く
蒼
は、はい…
僕が曖昧な返事をすると、
警官A
蒼〜!なんか病院から電話だって〜
遠くから先輩の声が聞こえる
蒼
(…病院?)
なんだか嫌な予感がした
蒼
はい!いま代わります!
そして僕は受話器を手に取った
医者
…星空優子さんの息子さんでしょうか?
蒼
はい、息子の星空蒼です
急に母の名前を出され困惑する
医者
落ち着いて聞いてください…お母様がつい先程…
医者
心肺停止のため病院に緊急搬送されました
蒼
え…?
その瞬間頭が真っ白になった
桃
(蒼…?何かあったのか…?)
医者
外出先で急に倒れたらしく、いま緊急蘇生を行っております
医者
今すぐ苺谷病院に来てください
蒼
わ、わかりました…
ガチャ…
桃
蒼…?どうした?
桃先輩が心配そうに僕を見つめる
蒼
母が心肺停止で病院に運ばれたって…泣
桃
っ!?
僕は不安と恐怖で涙が止まらなかった
お母さんは昔から温厚で優しくて
僕が警察官になるって言った時も 全力で応援してくれた
そんなお母さんが…
蒼
な、なんで…泣
桃
っ…泣くなよ…
桃
大丈夫だから…
桃
お母さんはきっと大丈夫だ…
そう言って桃先輩は僕の頭を 撫でようと手を伸ばしてくる
蒼
ッッ!!
パシッッ!!
蒼
何が大丈夫なんですか!!!
僕は桃先輩の手を払い除ける
桃
っ…!?
桃先輩は驚いた顔をする
蒼
大丈夫大丈夫…って
蒼
適当なこと言わないでください!!!
蒼
この前もそうです…
蒼
適当にはぐらかしたりして…
蒼
どうせ僕には適当に接しとけば良いって思ってるんでしょ!?!?
僕は怒りを隠せなかった
桃
いや…そんなつもりじゃ…
蒼
うるさい!!!!
蒼
桃先輩に…
蒼
大切な人を失う辛さなんて…
蒼
分かるわけない!!!!!!
桃
ッッッッ…!!!!
桃先輩は静かに俯く
桃
っ………ごめん…
蒼
部長!すみません!今から病院に行ってきます!!
部長
…!お、おう!!
僕は俯く桃先輩を置いて 苺谷病院へと走った