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大好きな君の声。その声をずっと待っていた。どんなにうるさくてもこの声だけは拾う俺の耳も大概だなと思う
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まろはスーツ姿。確かに仕事帰りそのまま来るなら俺も浴衣なんて合わない服装にしなければよかったな。と思っていると
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今日は七夕祭り。片思いの相手、まろを試しに誘ってみた。めっちゃ緊張したけどまろは嬉しそうに俺も行きたい!と言ってくれてほっとした
けれどやっぱり仕事が長引いてしまい、行くことも危ぶまれたが、それでも来てくれるのが彼だ。スーツ姿のまま走ってきてくれた
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繋ぎたかった手を「繋ぎたい」という声と共に引っ込めた
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歩く度にぶつかる人に、俺を守るようにまろは前を歩いていく。必死について行くけどそれでもついていけなくて少しずつ距離ができてしまう。どんどん彼が遠ざかっていく。色んな人に足を踏まれたりして追いかけるのも困難だ
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この人混みじゃまろに声をかけてもまろも戻ってくることは難しいだろう。だから一旦人混みのないところに行き、電話をかけようと思った
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やっぱりこれだけ人がいるとこうなってしまうのかもしれない。電話も繋がりずらい。俺と同じように考えてる人がいるのだろう
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きっとこのままだと見つからない。自分から動かないといけないと見つからないだろう。そう思って立ち上がると
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さっき足を踏まれたのと、履きなれない下駄のせいで靴擦れを起こしていた。絆創膏も持ってきていない。動けない
さすがにまろも俺が居ないことに気づいて探し回っているだろう。まだ人混みにいるならまだしも、こんなに人気のないところの来てしまった。電話も繋がらないし、見つからないだろう
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俯いていた顔を声のする方へ向ける。すると焦った顔をしてこちらへ走ってくるまろがいた。そんな焦らんでもええのに…と思っていると
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夏だから暑いはずなのに、まろの温かさから離れたくなくて少し抱きしめる。するとそれに気づいたのかまろは我に返った
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そう言って焦って離れるまろ。もっとぎゅーしてたかったな…と思うけどそんな恥ずかしいこと言えない。お互いが顔を真っ赤にしている。もちろん暑さのせいじゃない
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手を繋ぐ勇気はない。けれど…はぐれないようにって理由にして君の袖を掴む。これくらい許してくれんかな…
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そう言ってまろは恋人繋ぎをしてきた。ちゃんと指を絡めている。いやいやいや、はぐれないようにやから。まろは特になんも思っておらんはずやから。そう自分に言い聞かせる
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すごい恥ずかしいけど、繋いでくれた手が嬉しくて少しだけ握り返した
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たくさんの笹の葉、たくさんの短冊が並んでいる。色とりどりでとても綺麗だ
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まろと恋人になりたい
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けれど、やっぱり今の距離はじれったい。ずっと一緒にいれるけど抱きついたりもできないし、キスもできない。手を繋ぐことすら…それらを許される恋人って関係にはやはり憧れる
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そうしてまろは俺の短冊をとって高いところへつけてくれた。けれどまろが俺を覆い被さるように、俺の上からつけるからまろに包まれているようでドキドキしてしまう
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そう言ってまろから短冊を渡される。その短冊には…
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あにきと付き合えますように
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真っ直ぐな目で俺を見ている。青色の澄んだ瞳が俺を離さない。答えなんて決まってる
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ハンカチで俺の涙を拭うまろ。その手つきが優しくて、好きだという気持ちが溢れ出す
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コメント
2件
「そして今は俺のものやし」そう言ってハンカチで涙を拭う青くんに惚れました。いや、浴衣の黒くんにも惚れました。 短冊をお互いにつけ合うのが好き……、 初コメ失礼しました🙇♀️
スーツのまま来てくれる青くん優しすぎるっ!! それとお互い照れたら敬語だったり初心っぽくなるの可愛すぎますっ!!🤦♀️