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ずっと忘れない

俺の大切な失恋

出会いは2年とちょっと前

高校に入学して1ヶ月経ったあの日

爽真(ソウマ)

...

屋上で何をするでも無く

ただ、 ボーッと空を見上げる爽真を 俺は見付けた

先に見付けたのは俺だったけど

爽真(ソウマ)

ん?何?

爽真(ソウマ)

だぁれ?キミ

声を掛けてきたのは爽真からだった

爽真(ソウマ)

今思い返しても

樹人(ミキト)

ん?

爽真(ソウマ)

へーんな付き合い方だったよな

爽真(ソウマ)

俺たち

何でもない普通の休日

爽真と俺は いつもの様に俺の部屋で過ごしていた

樹人(ミキト)

突然どーしたの?

爽真(ソウマ)

いや、だってさ

爽真(ソウマ)

初めて会ったその日にさ

爽真(ソウマ)

だぁれ?キミ

樹人(ミキト)

...樹人

爽真(ソウマ)

ミキト?

樹人(ミキト)

樹木の樹に人って書いて、樹人

爽真(ソウマ)

へぇ

爽真(ソウマ)

俺は爽真

爽真(ソウマ)

爽やかな真心と書いて、爽真

爽真(ソウマ)

よろしく!

樹人(ミキト)

あのさぁ

爽真(ソウマ)

なぁに?

樹人(ミキト)

付き合ってる子とか居る?

爽真(ソウマ)

えぇ、めちゃくちゃ急だなぁ

爽真(ソウマ)

まぁ居ないんだけど

樹人(ミキト)

そっか

樹人(ミキト)

なら

"俺と付き合ってよ"

爽真(ソウマ)

俺もうビックリして

樹人(ミキト)

仕方ないじゃん

樹人(ミキト)

爽真がドタイプだったから

爽真は可笑しそうに笑う

確かにあれは急だったけど

すぐに言わないと 爽真が逃げてしまいそうだったから

爽真(ソウマ)

いや、まぁ嬉しいんだけどさ

樹人(ミキト)

そういやさ

樹人(ミキト)

爽真、課題終わった?

そう問いかけると 爽真の体がビクッとあからさまに揺れた

爽真(ソウマ)

...終わってると思う?

樹人(ミキト)

思ってない

爽真(ソウマ)

分かってるなら、聞くんじゃないよ!

爽真は笑って 俺の肩をバシッと叩いた

その後は爽真の課題を手伝ったりと 適当に時間を過ごした

樹人(ミキト)

てゆーか、突然何だったの?

爽真(ソウマ)

え?何がー?

樹人(ミキト)

出会った日の事なんて話題に出して

爽真(ソウマ)

んー?

爽真(ソウマ)

んー...

爽真(ソウマ)

...

爽真(ソウマ)

もーすぐだなぁって

さっきまでの明るい笑顔が消え

爽真は暗い影をその顔に落とした

樹人(ミキト)

...そうだね

爽真(ソウマ)

楽しかったなぁ

樹人(ミキト)

しんみりするから、その話は無し

樹人(ミキト)

...って、爽真が言わなかった?

爽真(ソウマ)

ぁー、ははっ

爽真(ソウマ)

そうだっけ?

樹人(ミキト)

心配しなくても

樹人(ミキト)

さいごまで傍に居るよ

爽真の頬に手を重ね 真っ直ぐに視線を合わせて言った

普段眠たそうな爽真の瞳が 少し大きく開かれる

だがすぐにフニャリと歪み 消えそうな笑顔を俺に見せた

爽真(ソウマ)

ありがとう、樹人

爽真(ソウマ)

...だぁいすき

樹人(ミキト)

...襲うぞ

爽真(ソウマ)

え"ッ、何で!?

変な表情してる爽真を ベッドへ優しく押し倒し

俺は深く口付けた

樹人(ミキト)

爽真が可愛いから

爽真(ソウマ)

〜ッ、恥ずかしいなぁ、もー...

ギュッと俺を抱き締める爽真

その腕は微かに震えていた

約1年前

爽真(ソウマ)

な、なぁ

樹人(ミキト)

ん?

爽真(ソウマ)

本トに良いのかなぁ...
こんな所で...

樹人(ミキト)

でも爽真

樹人(ミキト)

床じゃ嫌って言うじゃん

爽真(ソウマ)

だって背中痛ぇんだよ!

爽真(ソウマ)

樹人も1回下になれば分かる!

樹人(ミキト)

遠慮する

俺と爽真は 人影の少なくなった校舎内に居た

場所は保健室

保健の先生は今日休みで たまたま鍵が開けっ放しだった

入口の鍵を閉め 窓のカーテンも全て閉めた

爽真(ソウマ)

樹人、やっぱり

樹人(ミキト)

爽真

少し泣きそうな表情をして 爽真が振り返る

俺はそんな爽真の腕を掴み ドサッと乱暴にベッドへ投げた

ギシリと音を立てて爽真に覆い被さる

爽真は怯えた様にキュッと縮こまっていた

樹人(ミキト)

ごめんけど、
俺我慢出来そうにない

爽真(ソウマ)

みっ、樹人...ッ

樹人(ミキト)

でも

樹人(ミキト)

爽真がどうしても止めたいって言うなら

樹人(ミキト)

このまま何もせずに帰ろう

我ながらズルいとは思う

爽真が困ると知ってて

1つの答えしか口に出せない様に 言葉を投げかけている

爽真はギュッと眉を寄せ 白い肌を赤く染めた

爽真(ソウマ)

ど、どうしてもっ...

爽真(ソウマ)

て、わけじゃ...無いから...

爽真(ソウマ)

...シよう?

震える声に揺れる瞳

恥ずかしそうに もぞもぞと枕で顔を隠す爽真

可愛い

樹人(ミキト)

ん、シたい

樹人(ミキト)

爽真、好き

枕を握る指先に軽くキスを落とす

ビクッと反応する爽真が 可愛くて仕方がない

数回、指先にキスをしていると

爽真は恐る恐る枕から顔を覗かせた

爽真(ソウマ)

俺も、好きだよ樹人...

合わせた唇から 絡めた舌から

熱くて、熱くて ドロドロに溶けてしまいそうだった

だけど

爽真(ソウマ)

みきとッ、み、〜ッ

樹人(ミキト)

爽真...

樹人(ミキト)

そ、ま、ちょっ!

爽真(ソウマ)

へぁ、な、何...

爽真(ソウマ)

ぁ...ッ

爽真(ソウマ)

...

樹人(ミキト)

爽真!?

樹人(ミキト)

おい!爽真!

樹人(ミキト)

爽真ッ!!

この後、俺は...

爽真の秘密を知る事になる

約半年前

爽真(ソウマ)

はぁ〜

爽真(ソウマ)

めっちゃ綺麗だ...

俺と爽真は休日のデートとゆう事で 水族館に来ていた

水槽に釘付けになる爽真

俺はそんな爽真から 目が離せなかった

樹人(ミキト)

水族館なんて何年ぶりだろ

爽真(ソウマ)

俺もめちゃくちゃ久しぶり!

爽真(ソウマ)

でも、いつ来ても良いなぁ、水族館

爽真(ソウマ)

あ、そうだ

爽真(ソウマ)

樹人って、人魚は信じる?

爽真は水槽から目を離さずに 突然、俺に問い掛けてきた

樹人(ミキト)

人魚?

爽真(ソウマ)

うん

爽真(ソウマ)

俺、人魚って実際に居たと思うんだよね

樹人(ミキト)

急に何の話だよ

優しく、どこか哀しく

爽真(ソウマ)

たとえ、最後には消えてしまっても

爽真(ソウマ)

好きな人の傍に居たい

爽真(ソウマ)

好きな人を助けたい

爽真(ソウマ)

...綺麗だなぁって

微笑んで爽真はポツリと言葉を零した

樹人(ミキト)

俺は...

そんな人魚の話よりも

爽真の横顔の方が何倍も 綺麗だと

口にはせずに呟いた

数ヶ月前

樹人(ミキト)

おい

樹人(ミキト)

おい、爽真

爽真(ソウマ)

なぁに〜?

樹人(ミキト)

あんまりはしゃぐな

樹人(ミキト)

人にぶつかるぞ

寒い冬の日

所々に灯るカラフルなイルミネーション

溢れる人

その中を爽真は子供のように駆け抜ける

今日はクリスマス

俺と爽真は特に目的無く ふらりとお散歩デートをしていた

爽真(ソウマ)

大丈夫だよ!

樹人(ミキト)

大丈夫じゃないから言ってんの

樹人(ミキト)

あんま離れんな

何度かぶつかりそうになっているとゆうのに

爽真はそれに気付いていない

俺は爽真の手を取り動きを制する

樹人(ミキト)

ほら、ぶつかるって

爽真(ソウマ)

うわっとっと...

爽真(ソウマ)

...ふふっw

樹人(ミキト)

何だよ

突然笑いだす爽真

可愛いと思ったけど 何故笑われたのか分からない

爽真(ソウマ)

離れんなって

爽真(ソウマ)

カッコイーなぁって!

樹人(ミキト)

...勝手に言ってろ

何だ、何だそんな事か

爽真はギュッと手を握り返してくれる

初めは容姿で好きになった

でも今は 中身も好きになってる

爽真を可愛いと思う度

大切にしてやろうって

絶対幸せにしてやろうって

その想いを強くさせた

爽真(ソウマ)

ケーキ買って、早くあったまろ!

樹人(ミキト)

そーだな

樹人(ミキト)

爽真、何ケーキが良い?

爽真(ソウマ)

あ、予約してないから...

爽真(ソウマ)

もう売り切れてたりして!?

樹人(ミキト)

じゃあ店に行ってから決めよ

爽真(ソウマ)

うん!

どのイルミネーションよりも 眩しい爽真の笑顔

俺は生涯、忘れる事は無いだろう

俺と爽真の 最後のクリスマスを

そして、昨日

爽真(ソウマ)

...

樹人(ミキト)

...

17:42

樹人(ミキト)

...

樹人(ミキト)

おやすみ、爽真

ありがとう

俺はボーッと空を見上げる

あの時の爽真は どんな気持ちで見上げていたんだろう

今となってはもう、分からない

樹人(ミキト)

...爽真

呼べば返事をしてくれる気がして

なんてよく言うけれど

そんな気、全く起きない

だって爽真はもう居ない

それはどうしたって変わらない事実

返事してくれるのは記憶の中の爽真だけ

俺は昨日

恋する相手を失って、失恋したのだ

それもまた、変わらない事実

樹人(ミキト)

俺を失恋させるなんて

樹人(ミキト)

良い度胸だな

樹人(ミキト)

...なぁ、爽真

爽真は幼い頃から病気だった

病院から出られない時期もあった

爽真は頑張って、頑張った

けど、命の終わりが定められてしまった

約1年前のあの日

爽真は大量の鼻血を流して倒れた

意識の無い爽真を目にして 凄く怖かった

その後、病院で爽真は意識を取り戻す

そして開かれた爽真の口

俺は初めて、爽真の秘密を

病気の事を知ったんだ

樹人(ミキト)

爽真が俺の告白に驚いたのと多分

樹人(ミキト)

同じくらい...

樹人(ミキト)

いや、それ以上に俺も驚いたよ

俺は目を閉じて沈黙する

そしてゆっくりと目を開けた

樹人(ミキト)

じゃあな、爽真

樹人(ミキト)

そっちでも上手くやれよ?

樹人(ミキト)

いつか俺もそっちに...

樹人(ミキト)

いや

樹人(ミキト)

お前に会いに行くよ、爽真

だからその時まで

この恋は閉じ込めておこう

ずっと忘れない

俺の大切な失恋

〜CLOSE〜

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コメント

10

ユーザー

冒頭から、あれ…失恋した…とか思ったらくっついてて あー、ハッピーエンドかぁって思ったら…ほろ苦く終わって…🤔 揺さぶられるねぇ…😏 途切れ途切れに言う言葉、全部が可愛いとか ふとしたことでかっこいいなぁとか それだけ、愛し合ってたんだなぁって思った🥰

ユーザー

スラスラとやめて切なさもわかって…上手い

ユーザー

切ない🥺

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