晴人
あの、あんまり言いたくないんだけどさ…
夏海
なあに?
晴人
お前、料理とかしないの?
夏海
あー…
夏海
下手、だからさ
夏海
自信なくて
晴人
うーん…そっか
夏海
ごめんね。結婚したのにこんな奥さん嫌だよね
晴人
そんなこと言ってないだろ?
晴人
ただ、純粋にちょっと残念っていうか…
晴人
お、お前の料理食べてみたかったな、というか…
夏海
(そんな風に思ってくれてたんだ)
夏海
わかった。出来る範囲で頑張ってみる!!
晴人
お、楽しみにしてるぞ!!
夏海
うん!
その日の夜
夏海
ご、ごめんね…食べれる?
晴人
なんで謝ってるんだよ笑
晴人
ふつうに美味しいよ
夏海
そ、そっか…!よかったぁ…
晴人
(ちょっと微妙な味…)
夏海
(あ…やっぱり美味しくなかったかな…?)
夏海
は、晴人くん。私、もっと上手くなれるように練習してみる!!
晴人
そうだな。期待してるぞ!
1ヶ月後
晴人
美味しい…お前、料理めっちゃ上手くなったな
夏海
ほ、ほんと…!?
夏海
味の面では大丈夫かな?
晴人
味の面ではってなんだよ笑笑
夏海
いや、まだ火傷したり、指切っちゃったり、あとは零したり…
夏海
たくさん失敗しちゃうの
晴人
そうか…
晴人
でもそこまでして作ってくれるのは嬉しい
晴人
…ありがとな
夏海
うん!晴人くんの為に、もっと頑張っちゃおうかな
さらに1ヶ月後
夏海
(最近あんまり美味しいって言ってくれないな…)
晴人
いや、美味しいよ?
夏海
え、あれっ、口に出てたの…!?
晴人
あの、なんか、ゴメンな
晴人
お前が頑張ってるの知ってて
夏海
あ、いや…気に、しないで、ね
夏海
(どうにかして、また美味しいって言って欲しい)
晴人
お、今日の夕飯は豪華だな
夏海
うん!頑張って作ったよ!
晴人
いつもありがとな
夏海
っ…うん!
夏海
あ、よそうね
晴人
待って
晴人
その手
晴人
まさか、いつもこうやって怪我してまで…
バシッ
夏海
な、なんでもないよ!!
夏海
下手だった頃の傷が残ってるだけだから!!!
晴人
ぇ、ぁ…
夏海
あっ…ご、ごめんね。いきなり怒鳴ったりして
晴人
…いや、いいんだ
晴人
ただ、心配だったから
夏海
そっか…でも私、晴人くんが喜ぶと思ってやってたんだけどな
晴人
俺のために料理してくれるのは嬉しいけど、怪我してまではいいから
夏海
うん、わかった…
夏海
キミが喜ぶと思って
夏海
褒めてくれたときと同じように
夏海
指の血入れたのに…