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女子大生と男子中学生が交際している話

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女子大生と男子中学生が交際している話

28 - 【番外編】四天王物語__賢者育成

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2020年11月16日

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日本一賢い大学に、ボクは入学することが出来なかった。

日本一賢い大学生に、ボクはなれなかった。

悔しかった。何より、悲しかった。 脱け殻になった。

____そして気づいた。

日本一賢い大学生に なれないならボクが 日本一賢い大学生を

育てたらいいんだ。

その少年はまさにボクの理想だった。

成績は学年トップ。 ボクの出した問題もスラスラと正解を出した。

完璧だ。 ボクは素晴らしすぎる逸材に出会わせてくれた神様と言うものに心の底から感謝した。

前の、娯楽にしか興味が無い愚図とは大違いだ。

ボク

___柚月君。将来の夢は決まっているかな

ボク

まだ小学生だから決まってなくても大丈夫だ。これから決めていけばいい

ボク

でも選択肢は多い方がいいだろう?

ボク

____日本一賢い大学は何処か知っているか?そう東(アズマ)大学だ

ボク

そこに入ったら選択肢なんてたくさん出来る。日本一賢い大学だからね

ボク

ここら辺だと……そうだな、蒼陽(アオハル)高校が一番 進学率が高いな。まずは蒼陽高校を目指そうか

ボク

ボクは日本一賢い大学生になれなかったけど、君なら出来る

ボク

日本一賢い大学生になるところをボクに見せてくれ

東大学に入ることじゃなくて入らせることがボクの夢になった。

それは少年の目標となり夢にもなる。 完璧だ。

ボクは少年___鳴沢柚月で夢を叶えることにした。

柚月

……学校行きたくない

柚月が中学に上がって最初の夏休み明け。

家を出る時間になっても部屋から柚月が出て来ないので様子を見に行っくと、柚月はまだ布団をかぶっていた。

ボク

どうした。具合でも悪いのか

ボク

今日は始業式とホームルームだけだから頑張って行こう。な?座ってるだけだろう

ボク

受験はたった1日の休みが命取りになるんだぞ

ボク

しんどいならボクが車で送ってあげようか?

柚月は布団をかぶったまま首を横に振った。

ボク

なら頑張ろう。東大学に行くためだ。無遅刻無欠席に傷をつけると蒼陽高校も危ういぞ

ボク

受験勉強に遅すぎることはあっても早すぎることはない__

柚月

別に

柚月はボクの言葉を遮るように さらに布団の奥に籠った。

柚月

体調悪いとかじゃない

ボク

じゃあ単に夏休み明けだから行くのが面倒臭いだけか。行って友達にでもあえばそういうのは無くなるぞ。だから頑張ろう

柚月

………友達なんていない

布団の中から涙に濡れた声が発せられた。

柚月

___学校来るな とか クラスの恥 とか言われてるから………だから学校行きたくない

ボク

ボク

だから学校に行かない、と

ボク

柚月、それは「逃げ」だよ

ボク

柚月は出来た中学生だけど、中には馬鹿で低俗な輩もいる。奴らは柚月に嫉妬してるんだ

ボク

蒼陽高校に行って東大学に行く能力が柚月にはある。そんな奴らに屈して能力を低下させるのは

ボク

親不孝と言うものだよ。ボクは君に失望したくない

ボク

休むのは許さない。学校に行きなさい

布団の中で、柚月が震えた息を吐いた。

助けを求めて手を伸ばしたけど誰も掴んでくれなかった人のような、絶望し諦念に満ちた吐息___の、ように感じた

けど気のせいだろう。 柚月が起き上がったのだから。

ボクの言葉が届いたのだ。 やっぱり柚月は出来る人だ。

親の義務は子を養育すること。それなら親を喜ばせるのが子の義務だ。

柚月はボクの顔を見ずに掠れた声で言った。

柚月

学校、行くから もう出てって

それでいい。その言葉が聞けたら長居は無用だ。ボクも仕事がある。

___だけど親としてこれだけは言っておこう。 立ち去りかけたボクは顔だけ柚月に向けた。

ボク

柚月

柚月はまだ涙に濡れた目でボクを見上げた。 ボクは にっこりと笑いながら言ってあげた。

ボク

今なら朝ご飯を抜いて走ったら遅刻はしない

ボク

無遅刻無欠席は必ず守りなさい。こんなことは馬鹿でも出来るからな

柚月

___出てって

柚月はボクを部屋の外に押し出すとドアを閉めた。 ボクも今度こそ立ち去った。

ドアの向こうから、すすり泣きが聞こえた気がした。

それ以来 柚月が「学校に行きたくない」と駄々をこねることは無くなった。

眠気覚ましの竹ものさし片手に深夜まで勉強を強要させたり とか

テストで目標をクリア出来なかったから体罰とか

ボクはそんなことはしない。 そんなことをしなくても柚月は勉強してくれる。

ただテストの日程とか結果を子細に聞き出して アドバイスをするだけ。

頑張れよ。ボクは日本一賢い大学生になれなかったけど、柚月なら出来る。ボクは信じてる。 だからボクを失望させないでくれ。

毎日夕飯の時に そう言うだけ。

今でもたまに、不合格通知を貰った時のことを思い出して胸が引き裂かれるような気持ちになるけど

柚月にアドバイスしている時は その気持ちも忘れることが出来る。 柚月はボクの理想だから。

___もちろん新しく妻になった女の「相手」も怠らない。

何せ女は感情に任せるのが得意な生き物だ。柚月を連れて離婚、なんてことになったら堪らない。

全ては柚月のためだ。

そもそも勉強に集中出来るんだから、友達なんていなくても別にいいじゃないか。

そう思ってたけど、柚月が2年に進級してから そうでも無くなった。

__どうやら柚月に彼女が出来たらしい。

中学生の柚月に大学生の彼女。最初は信じなかったけど、

現実だった。 柚月の成績が下降気味になってきたからだ。

このままでは まずい 。 柚月を東大学に入学させる夢が潰(つい)えてしまう。

そんなことはあってはならない。 柚月は他とは違う。

簡単なことだ。 大学生の家に遊びに行ったり、夜に電話したりする時間を勉強に充てたらいい。

柚月から大学生の彼女とやらを遠ざけたらいい。 交際を良く思っていないらしい妻に その話をすると、嬉々として話に乗ってきた。

妻は柚月を塾に入れることを提案し、入塾手続きまで済ませてきた。 なんて扱いやすい女だろう。

これで柚月の弊害は無くなった。柚月を堕落の道に引きずり込もうとする大学生は もう柚月に近づけない。

__ボクは柚月のためにやれる全てのことをやる。

だから柚月も全力で期待に応えるべきだ。

ボク

……どういうことだ

ボク

学年末テストで、柚月の下がった成績を挽回するんじゃなかったのか

ボク

この英語の点数はなんだ。ほとんど空欄じゃないか

鳴沢真由子

__開始早々 無理が祟って倒れたのよ

ボク

体調管理も勉強の1つだとあれほど言ったのに…!

ボク

__いや、無理をしないとまずい成績だったのか…。
やっぱりあの大学生が原因か

ボク

きっとそうだ。そうに決まってる。やっぱり柚月には相応しくない。終わらせるべきだ、そうだろう?

いつもなら媚びるような笑みを浮かべてボクの話を聞く妻が、今日はスマホを弄る姿勢を止めない。

ボク

なあ聞いてるのか

鳴沢真由子

___数学と理科は満点だったし他も満点に近い点数を取って来たんだから別にいいじゃない

ボク

冗談じゃない。どれだけ内申に響くと思ってるんだ。3年の2学期までの成績が蒼陽高校に行くんだぞ

鳴沢真由子

大きな声を出さないでよ。上で柚月が勉強してるのよ。妨げになるとか考えないの?

ボク

___お前…

ボク

どうして今日はボクにそんなに つっかかるんだ

ボク

柚月と違って、ヘラヘラ笑って媚びを売るしか能が無いくせに

ボク

スマホなんか弄って無いで塾のカリキュラムを見直せよ

ボク

お前は付録みたいな物なんだからボクのやることにただ頷いてたらいいんだよ

スマホを弄る手が止まった。 妻は温度の低い目でボクを見返した。

ボクの顔色を窺って媚びるような笑みは、どこにも無かった。

鳴沢真由子

嫌と言ったら?

容姿端麗な柚月の血の繋がった親なだけあって、均整のとれた顔立ちに冷たい空気を纏っている妻の姿に一瞬たじろいだ。

ボク

……は?

鳴沢真由子

嫌だと言ったらどうするの?愛想を尽かして私と別れる?

鳴沢真由子

それでもいいけど、あなたが出て行ってね。きっと柚月はあなたに ついて行かないわ

ボク

なに……何を言ってるんだ

ボク

日本一賢い大学生になれるんだぞ。ボクと一緒にいた方が幸せに決まってる

鳴沢真由子

あなたって視野が狭いのね

鳴沢真由子

東大学を受験出来る頭があったのに こんな簡単なことが分からないのね

妻はボクから視線を外し、昔を懐かしむような微笑を浮かべた。 扱いやすいはずの女が何を考えているのか今は全く理解出来なかった。

鳴沢真由子

ねぇ、運命の出会いって存在すると思う?

ボク

馬鹿馬鹿しい。そんなものあるわけないだろう

鳴沢真由子

不合格

妻の口から、かつてボクを苦しめた その3文字が発せられた。

息が止まった。 頭の中で「それ」はエコーを伴って響く。

鳴沢真由子

全然違うわ。部分点もあげられない。
どこかの三流大学生でも正解を出せるのに

響く。ヒビク……。 妻が再びボクを見た。

その目には、憐れみの色が浮かんでいた。

鳴沢真由子

__一番の馬鹿って誰かしらね

そう言い残して妻はリビングを出て行った。

___頭の中で高校時代の記憶が断片的に浮かんでいく。

学年1位を取った数学のテスト。 一番上にボクの名前があるランキング表。 尊敬の眼差しでボクを見る同級生。 東大学も狙えると言った教師。

合格圏内に入った自己採点結果。

ボクは他とは違う。

なのに「合格」の横に「不」の文字。 フゴウカク。

開示請求した答案用紙。科目、英語。

見落としたスペルミス。

ビリビリに破いた不合格通知。 ボクの名前が記載されていない「東大学合格者一覧」。 憐れみの眼差しでボクを見る同級生。 東大学に合格した別の生徒を褒めちぎる教師。

ボクは?

……違う。やめろ。

ボクは他とは違う。

違うから柚月を日本一賢い人に育てるんだ。

ボクは馬鹿じゃない。

ボクは

ボクは

どうしてこんなことになったんだろう。

柚月も妻もボクの言うことを素直に聞く従順な人間じゃなかったのか。

ボクが他とは違うからボクの言うことを聞いていたのではなかったのか。

家庭内で、ボクの発言力は弱まりつつある。

どうしてこんなことになったんだろう。 ボクは他とは違うのに。

ボクは

ボクは…

ボクはどこで間違えたんだろう。

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コメント

8

ユーザー

柚月くんのお母さん、始めは大嫌いだった筈なのに、今はいい人と思えてきてしまうので困ったものです…☺️ お父さんに読者の気持ちを代弁してくれてスカッとしました 今回もとても面白かったです!

ユーザー

おおっ!初めて柚月君の父親が登場した😱 そういう流れだったんですね!! ラスボスの変化が本編とリンクしててとても読み応えがありました😄 次回も期待しております‼️ 個人的には柚木君とのぞみさんのお笑い希望(笑)

ユーザー

なるほど...... これは新しいお父さん最低ですね...... 裏ボスなのでは() 裏ボスも殴りたくなりましたね!(負い)

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