眠気覚ましの竹ものさし片手に深夜まで勉強を強要させたり とか
ボクはそんなことはしない。
そんなことをしなくても柚月は勉強してくれる。
ただテストの日程とか結果を子細に聞き出して
アドバイスをするだけ。
頑張れよ。ボクは日本一賢い大学生になれなかったけど、柚月なら出来る。ボクは信じてる。
だからボクを失望させないでくれ。
今でもたまに、不合格通知を貰った時のことを思い出して胸が引き裂かれるような気持ちになるけど
柚月にアドバイスしている時は その気持ちも忘れることが出来る。
柚月はボクの理想だから。
___もちろん新しく妻になった女の「相手」も怠らない。
何せ女は感情に任せるのが得意な生き物だ。柚月を連れて離婚、なんてことになったら堪らない。
そもそも勉強に集中出来るんだから、友達なんていなくても別にいいじゃないか。
そう思ってたけど、柚月が2年に進級してから そうでも無くなった。
中学生の柚月に大学生の彼女。最初は信じなかったけど、
現実だった。
柚月の成績が下降気味になってきたからだ。
このままでは まずい 。
柚月を東大学に入学させる夢が潰(つい)えてしまう。
そんなことはあってはならない。
柚月は他とは違う。
簡単なことだ。
大学生の家に遊びに行ったり、夜に電話したりする時間を勉強に充てたらいい。
柚月から大学生の彼女とやらを遠ざけたらいい。
交際を良く思っていないらしい妻に その話をすると、嬉々として話に乗ってきた。
妻は柚月を塾に入れることを提案し、入塾手続きまで済ませてきた。
なんて扱いやすい女だろう。
これで柚月の弊害は無くなった。柚月を堕落の道に引きずり込もうとする大学生は もう柚月に近づけない。