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第10話 - 第10話短編集①〜春ネタetc〜

7

2025年05月21日

#VIOLENT_INFERNO

#一次創作

へる

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へる

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短編集①〜春ネタetc〜

目次 ①4月1日 ②幸せなら…… ③おてがるさいみんじゅつ ④演技と変装の小ワザ ⑤謎の岩と力比べ

ドラン

10話ごとに短編集らしいよ！！

オリヴィア

春ネタ1個しかなくない？

細かいところは気にしない

4月1日

オリヴィア

ドラン、リュウくん

ドラン

んぅ？

リュウ

なんだ？

オリヴィア

私が薬で身体の成長を止めたことは知っているわね？

リュウ

あぁ。

お茶とお菓子でまどろむ3人もう春ということで桜茶を飲んでいる

オリヴィア

私、今まで18歳って言ってたけど

オリヴィア

本当は34なのよね〜

リュウ

ブｯｯｯｯ！！！

リュウ

げほっげほｯｯｯｯ！！！

リュウ

はぁ！？

ドラン

えっ、そうなの！？

なんともない顔で衝撃の告白をするオリヴィアそれにびっくりする2人

オリヴィア

いやぁ〜、だってこの見た目よ？

オリヴィア

年齢なんて若く言っておいて損は無いわ〜

ドラン

えー、じゃああたしよりいっぱいお姉さん…

ドラン

いち、にい、さん…

年齢の差を指で数える

ドラン

…わかんないや

オリヴィア

2人より18歳も年上よ〜

ドラン

それじゃ、"おりゔぃあさん"だ…！！

オリヴィア

そうよ！！

オリヴィア

一回り以上年上なんだから敬ってもらわないと困るわ！

リュウ

いやいやいや、ちょっと待て

リュウ

どう考えても冗談だろ…

口を拭きながら呆れた顔で言う

オリヴィア

別にそう思うならそれでいいけどね〜♪

オリヴィア

言った通り、若く思われていた方が嬉しいもの！

リュウ

ぐぅ……。

リュウ

テオドール！！！

リュウ

なんかお嬢が変なこと言ってるぞ

リュウ

頭でも打ったんじゃないか！

テオドール

……え。

テオドール

あー、それは……。

オリヴィア

(にこーっ)

テオドール

うぅ……。

オリヴィアの視線を浴びて困るテオドール

テオドール

……はぁ。

テオドール

サバなんてみんな読んでいるものですよ。

オリヴィア

ほーら♪

リュウ

えぇ…。

信用しているテオドールの言葉に再び混乱する

テオドール

お嬢様はいくらでも偽ることができますが、

テオドール

化粧をすれば誰でもある程度誤魔化しがききます。

テオドール

僕の歳が16だって信じてました？

にこりと笑う

ドラン

ま、まさかテオくんも……！

テオドール

28です。

オリヴィア

ぶっはwwwwwwwwwwww

リュウ

………………。

ドラン

そうだったんだ…！！

耐えきれず吹き出すオリヴィア、思考停止するリュウそしておそらく素直に信じているドラン

ドラン

えー、違う年齢言ってもいいならさ

ドラン

あたしも変える！！

ドラン

えっとねー、に、に〜

ドラン

にひゃくごじゅっさいくらい！

ドラン

あたしが一番年上！！

オリヴィア

若く言わないのねw

ドラン

なんかいっぱい年上の方がつよそうだし！！

リュウ

俺の本当の歳は……
いくつなんだ……

ドランが変に歳を偽ろうとする一方、リュウは自分の本当の年齢がわからなくなっている

オリヴィア

あとはねー、

オリヴィア

実は私が住んでた邸宅って宇宙にあるのよ

オリヴィア

テオと一緒にロケットで逃げてきたの！

ドラン

そうなの！？
さすが研究者だね！！

テオドール

昨日の夕食、全部作ってません。

テオドール

冷凍食品です。

ドラン

えっ！いつも通りすごい美味しかったけどな！！！

ドラン

りゅーもいっぱい褒めてたのに！！！

それからいろいろと初耳の情報を出す2人

オリヴィア

あ、あとこの家お父様に貰った移動式の建物だけど

オリヴィア

そろそろ使用期限切れるから倒壊するわ

テオドール

ついでに生活費が底をついたので

テオドール

本日の昼食からはオムレツ1つで過ごしてください。

ドラン

ほよ……。

ドラン

大変かも……。

ドラン

りゅー……。

リュウ

……なんなんだよ

リュウ

ふざけんな！！！！

今まで黙って耳だけ傾けていたが、 2人の酷すぎる隠しごとの数々についに怒る

リュウ

なんで急にそんなこと言い出すんだ！！！

リュウ

お前らなんか嫌いだ！！！
出てく！！！

半泣きで叫び、たちあがる

カチッ

ピピピッ

その直後、正午を報せる音が時計から鳴る

オリヴィア

……ふふふふっ

オリヴィア

そんなわけないじゃない〜w

リュウ

わっ

後ろからオリヴィアが抱きつく

オリヴィア

今日はエイプリル・フールだからからかっただけ！

リュウ

なんだよ、"えいぷりるなんたら"って！！！

オリヴィア

4月1日の午前中は嘘ついてもいいのよ〜

オリヴィア

そういうイベント！

ドラン

そーなの？

リュウ

……

怪訝そうな顔でテオドールの顔を見る

テオドール

………すみません。

気まずそうに笑いながら呟く

ドラン

よかったー

ドラン

おうちも壊れないし、テオくんのご飯もいっぱい食べれるんだね！！！

オリヴィア

結構適当なことばかり言ったから速攻バレると思ったw

オリヴィア

人を疑うことも学んだ方がいいわよ〜

ドラン

びっくりした！！

ドラン

ねー、りゅー

リュウ

……(ムスッ)

いつの間にか部屋の隅で体育座りをして不機嫌になっている

リュウ

ふざけんな

リュウ

誰がこんな日作ったんだ！

オリヴィア

ごめんねって！

オリヴィア

でもさっきの言葉はほんと

オリヴィア

嘘は嘘と見抜けないといつか身を滅ぼすわよ

リュウ

最初お嬢のことは怪しいと思ってた！！

リュウ

でもアイツまで言うから……

テオドール

……。

オリヴィア

何よそれ！

オリヴィア

テオのことは信用してるけど私のことはしてないってコト！？

ドラン

おりゔぃあはいつも冗談とか言うもんね！！

テオドール

…まぁ、僕もお前は人を信用し過ぎだと思ってるぞ。

テオドール

僕らだけでなく、初対面の相手にも甘い。

テオドール

それに敵を騙すのもド下手。

テオドール

お嬢様も、そういうところを心配しているんだ。

リュウ

………。

テオドール

……ドラン様も聞いてください。

ドラン

ほよ。

テオドール

嘘は使いようです。

テオドール

"敵を欺くには、まず味方から"という言葉もあります。

テオドール

いざと言う時、僕は平気で

テオドール

全員裏切ります。

リュウ

っ……。

視線がテオドールに集まる

テオドール

……ですから

テオドール

2人とも、常に人を疑うことを忘れないでください。

テオドール

そして、必要であれば僕のことも

テオドール

騙して利用してください。

ドラン

……うぅーん

ドラン

むずかしいなぁ

リュウ

そんなの……

リュウ

俺にはできない

ドラン

でもちょっとわかる！

ドラン

りゅーはすぐ騙されるからね！！

ドラン

毎回おんなじように傷付くんだから

リュウ

いちいち疑ってたら誰も救えないだろ！！

ドラン

でもそれでりゅーはいつも救われてないよ

時々核心をついてくるドランの言葉に言い返せない

リュウ

……。

オリヴィア

ま、とりあえずよく知らない相手には気をつけること

オリヴィア

子供でも、怪我人でもね！

リュウ

……そうだな。

オリヴィア

来年のエイプリルフールは、

オリヴィア

上手く私たちを騙してみることね〜♪

リュウ

わかった。

ドラン

あたしもみんなだます！！！！

リュウ

……ところで

リュウ

昨日の依頼で貰ってきたカヌレが消えてるんだが

リュウ

お嬢、知らないか？

オリヴィア

えっ

オリヴィア

しっ、知らないわよ！！

リュウ

…………(ジーッ)

オリヴィア

私じゃないもん！！！

リュウ

テオドールがさっき終えた洗い物。

リュウ

水切りカゴに1本だけ入ってるフォークは

リュウ

お嬢専用のやつだよなぁ

オリヴィア

ぎくーっ

オリヴィア

……だって、美味しそうだったんだもん

リュウ

やっぱりお嬢かァ！！！！

オリヴィア

ねぇ、今！

オリヴィア

人を疑うこと、できてたわ！

オリヴィア

その調子…

リュウ

話をすり替えるな！！

リュウ

俺のカヌレ返せ！！！！

オリヴィア

ごめん〜

オリヴィア

助けてテオー！！

テオドール

ダメですよ。勝手に他人のものを食べては。

オリヴィア

どうして正論を言うの！

ドラン

りゅー、落ち着いて……

リュウ

もし誰かに肉を勝手に食べられたら

リュウ

ドランも怒るだろ！

ドラン

ほよ……

ドラン

おりゔぃあ、やっぱりダメだよ

オリヴィア

うわ〜ん！！年上なんだからいいじゃない！！！！

リュウ

何歳年上だろうと許さねぇ！！！！！

この後、結局テオドールにカヌレを作ってもらった

幸せなら……

オリヴィア

幸せなら手をたたこ〜

オリヴィア

幸せなら手をたたこ〜

機嫌がいいのか歌を口ずさむオリヴィア

リュウ

……なんだ？その歌

オリヴィア

んー？

オリヴィア

"乳幼児の感性を高めるためによく使われる歌"〜

オリヴィア

保育では定番よ？

オリヴィア

"リズム遊び"…、最近は"リトミック"って言うかしら

オリヴィア

音楽に合わせて身体を……

オリヴィア

……ってこういうことじゃない？

リュウ

いや、随分と物騒な歌だなって

オリヴィア

え、そうかしら

リュウ

テオドールが可哀想だ……

オリヴィア

待ってwwwwwwwww

オリヴィア

"幸せならテオ叩こう"
wwwwwwwww

オリヴィア

しぬwwwwwwwww

リュウ

しぬ！？！？

その後

ドラン

しあわーせ〜ならー
手を〜たーたこー♪

音程とリズムがイマイチだが、例の歌を歌う

ドラン

しあわせな〜ら〜手を〜
たたーこー♪

テオドール

(……お嬢様が歌っていた曲(多分)。)

ドラン

ふんふーん♪

ドラン

しあわせ、しあわせかぁ〜

自分の手のひらを見る

ドラン

……。

ドラン

……本当の幸せって、なんだろう

テオドール

(なんか言ってる！！！)

平和。

おてがるさいみんじゅつ

オリヴィア

これに糸を通して〜

ドラン

ほぁ〜

オリヴィア

これを相手の目の前で揺らして何かを唱えるの

オリヴィア

たとえば……

オリヴィア

…………とかね

ドラン

……わかった！

何やら作っている2人

ドラン

りゅー！！！

リュウ

……んー

春の木漏れ日にうとうとしていたリュウを呼ぶ

ドラン

ねー、これみて！！

リュウ

なんだこれ……

一番価値の低い、中央に穴のあいた銅貨それが糸に吊るされている

ドラン

ふふふ、なんかもう眠そうだから絶対成功だね！！

ドラン

ちゃんとコレ見ててね！！

リュウ

……ん。

状況を理解できていないが、とりあえずゆらゆらと揺れる銅貨を見つめる

ドラン

あなたはだんだん眠くなーる

ドラン

あなたはだんだん眠くなーる

リュウ

……。

ドラン

あなたはだんだん眠くなーる

ドラン

あなたはだんだん……

リュウ

…………。

ふらり……

パタンッ

リュウ

……

リュウ

えっ

リュウ

ドランーーーー！！！！

急に倒れるドラン

オリヴィア

あらwww

リュウ

おい！どした！！！

リュウ

……あ

ドラン

すぴー

リュウ

寝てる……

オリヴィア

ドランったら、自分にかけてどうするのwww

リュウ

……？？？

テオドール

どうされました。

先程のリュウの声を聞いてキッキンからやってくる

リュウ

いや、大丈夫……なのか？

オリヴィア

平気平気〜♪

オリヴィア

ドラン起きて〜

ドラン

むにゃ…

ドラン

……あれ？

オリヴィア

自分が寝ちゃうなんて、ダメダメねーw

ドラン

えっ、えっ、

ドラン

りゅー！もう1回！！

リュウ

さっきのでもう完全に目が覚めちまった

ドラン

ぶー！！

オリヴィア

はい、じゃあ次はテオにかけるわよ〜♪♪

テオドール

嫌ですよ。

テオドール

そもそもそんな古典的な遊びに引っ掛かるわけないです。

オリヴィア

いいじゃない〜

オリヴィア

座って座って！！

テオドール

……………はぁ。

テオドール

……わかりました。

断りきれず嫌々オリヴィアの向かいに座る

再び銅貨が左右に揺れ始める無表情のまま目で追うテオドール

オリヴィア

貴方は私の言うことをなんでも聞く〜♪

オリヴィア

貴方は私の言うことをなんでも聞く〜♪

テオドール

……。

しばらくすると

リュウ

……？

テオドール

…………。

表情は変わっていないが、どこか様子が違う瞳から光が消え、ぼんやりとしている気がする

オリヴィア

それじゃあ〜、

オリヴィア

わらって？

テオドール

(にこり)

オリヴィアの言葉に微笑むその表情はやけに無機質で微かな不穏さをはらむ

ドラン

(……なんだか、お顔が綺麗なのもあって)

ドラン

(本当にお人形みたいだなぁ)

オリヴィア

じゃっ、じゃあ私のこと！

オリヴィア

……

オリヴィア

名前で呼んで

テオドール

…………。

テオドール

……オリヴィア様。

オリヴィア

ふっ

感情が込み上げ、変に口角が上がるそれを慌てて手で隠す

オリヴィア

(やっぱり、やっぱり！)

オリヴィア

(本当になんでもしてくれる！)

オリヴィア

(……ふふっ)

オリヴィア

(これなら)

オリヴィア

(あんなことやこんなことも……ッ！！)

テオドール

…様。

テオドール

お嬢様！！

オリヴィア

えっ

たらー……

テオドール

大丈夫ですか！！

ドラン

鼻血出てるよ！！

口元を抑えていた手に血が伝っている

オリヴィア

あ……

オリヴィア

もう、最悪！！！

オリヴィア

感情が昂りすぎた！！！

ティッシュで鼻を押さえる

テオドール

止まるまでじっとしていてくださいね！！

オリヴィア

えー。

オリヴィア

まだちょっとしかやってないじゃない！

テオドール

終わりです！

オリヴィア

むー。

銅貨を握りしめて悔しがる

リュウ

なぁ、もう戻ったよな。
平気か？

小声でテオドールの心配をするリュウ

リュウ

あれ、本当に効くんだな……

テオドール

そんなわけないじゃないですか。

テオドール

演技ですよ。

リュウ

え。

テオドール

……それにしても、状況が状況とはいえ

テオドール

お嬢様を気安く名前でお呼びするなんて……。

テオドール

はぁ……やっぱり断るんだった。

リュウ

お嬢が言ったことなんだから別にいいだろ……。

一方

ドラン

あたしは自分にかかっちゃったけど

ドラン

ちゃんとできるんだね！！

オリヴィア

え？

オリヴィア

……そうねぇ。

オリヴィア

やっぱり、催眠術を"利用すれば"

オリヴィア

なんでもしてくれるわね！！

オリヴィア

初めて名前呼んでもらっちゃった…！

嬉しそうに笑う

ドラン

たしかに、ずーっと"お嬢様"って呼んでるもんね！

オリヴィア

でももう少しやりたかった！！

オリヴィア

頭くらい撫でてもらえばよかったわ

オリヴィア

リュウくんはすぐ撫でてくれるからいいわね〜

オリヴィア

テオは必要最低限にしか触れてこないもの

ドラン

そっかぁー

ドラン

普通に言ってもダメなの？

ドラン

テオくんならいつでも聞いてくれそうだけど！

オリヴィア

絶対無理！！

オリヴィア

そういう子なのよー

口をとがらせる

オリヴィア

ま、いいの

オリヴィア

こういう道具を使えばいいってわかったしね〜♪

ドラン

あたしも次こそは成功させるもん！！

オリヴィア

ふふ、そうね！

催眠術、またやろう

演技と変装と小技

テオドール

……こうです。

リュウ

……？？？？

リュウ

そうはならねぇだろ

何やら話している2人

テオドール

感情を殺せば簡単にできると思うのですが……。

テオドール

あとは気持ちの悪い客を想像すれば一発でできます。

リュウ

わかんねぇよ

オリヴィア

待って、なんの話をしているのwwwwww

テオドール

目のハイライトの消し方です。

リュウ

コイツ、怖いくらい表情が変わるだろ？

リュウ

どうやってんのか気になって

オリヴィア

たしかに！！私も気になるかも！

オリヴィア

照れて顔を赤らめる演技とかどうやってるの？

テオドール

それは、息を吐ききって止めるのが早いですね。

数秒のうちに顔、そして耳が赤くなっていく

オリヴィア

えっ、いつ息吐いたの！？

テオドール

先程発言した際にできる限り出しきりました。

オリヴィア

表情が変わらなすぎてわかんない……

テオドール

ちなみに、逆に息を止めて吸うと顔色が悪くなります。

リュウ

……本当だ。

みるみるうちに赤かった顔が青ざめていく

テオドール

まぁ、こっちは本当に気分が悪くなるので

テオドール

あまりやりたくないのですが……。

パタパタと手で顔を仰ぐ

テオドール

練習すればできます。

テオドール

涙なんかはすぐ調整できるようになりますし。

ティッシュを取ったかと思うと変わらぬ表情のまま涙がこぼれ落ちる

リュウ

すげぇなぁ……

テオドール

便利ですよ。

オリヴィア

便利って言ってもねぇ。

オリヴィア

……あ、そういえば

オリヴィア

目の大きさ、変装してる時にいつも違いすぎない！？

テオドール

あぁ、それはそもそも

テオドール

普段僕は目を少し細めて過ごしているので

オリヴィア

！？

テオドール

普通に開いてコレです。

目が1、2mm縦に広がる

リュウ

ほんとだ

オリヴィア

何よそれ！
私でも知らないわ！！！

オリヴィア

…いや、子供の頃の貴方はたしかにぱっちりだった

テオドール

メイド長も目は大きい方ですし。

テオドール

完全に遺伝です。

オリヴィア

そうなの！？

オリヴィア

いつも糸目だしわかんないわ！

オリヴィア

ほんの少し開いたところしか見たことないわね

テオドール

一応、能力の暴発を防ぐためらしいです。

テオドール

僕も右目は極力隠していますし。

リュウ

メイド長？

オリヴィア

テオの母親よ。

オリヴィア

……もうすぐ会うことになるかも。

テオドール

あぁ……そうですね。

リュウ

そうか……。

テオドール

……あとは化粧でいくらでも目は変えられます。

テオドール

僕は幅広の奥二重なので

テオドール

二重にすればもっと目が大きく見えます。

オリヴィア

リュウくんってほんと綺麗な二重よねぇ

オリヴィア

涙袋もあるし

オリヴィア

私一重だから羨ましいわ

リュウ

俺からしたらどうでもいい

ため息混じりに呟き頬杖をつく

リュウ

……そういえば

リュウ

身長はどうしてるんだ？

オリヴィア

それに関しては私の力でゴリ押し〜

オリヴィア

身長を縮めると言うよりは

オリヴィア

身体を若返らせる方が正しいけど！

オリヴィア

高くするのは靴でどうにでもなるわね

リュウ

便利だな……

テオドール

副作用が強いのと、途中で薬が切れたらマズイので

テオドール

あまり使わないようにはしていますが……。

オリヴィア

あとは座ってればバレないわよねーwww

リュウ

座る？

オリヴィア

テオってめっちゃ脚長いから座ると身長低く見えるのww

リュウ

言われてみればそうだな

テオドール

容姿に関しては、両親に感謝してます。

オリヴィア

メイド長もだけど、おじ様スタイルいいものね！

オリヴィア

最近、会えてないわ〜

オリヴィア

今度屋敷に行く時、おじ様もいるかしら！！

テオドール

……。

リュウ

(……なんか怒ってる？)

「おじ様」という言葉に一瞬表情が歪む

オリヴィア

テオはアクセサリーも沢山つけるわよね！

リュウ

耳、すごいよな

髪に隠れているものの、隙間から大量のピアスが見え隠れしている

テオドール

これは変装のためでもありますが……。

テオドール

なんとなくつけているというのが強いです。

リュウ

なんだ、なんとなくって

テオドール

そうしていた方が、いい気がするのです。

リュウ

そう、なのか……？

あまり言葉の意図が理解できていないリュウ

テオドール

それに、いくつか仕掛けもあるのです。

リュウ

仕掛け？

オリヴィア

武器は多い方がいいでしょう

オリヴィア

私がピアスに細工してるの

耳からピアスを1つ外すテオドール

テオドール

見にくいですが、シャフトが分かれるようになってます。

リュウ

……ほんとだ

耳につけた際に丁度キャッチで隠れる位置によく見ると小さな切れ目があるのがわかる

外側から引き抜くと小さな針がついている

リュウ

ちっさ！

リュウ

なんだこれ！

テオドール

シンプルな毒針です。

テオドール

少量でも身体が痺れて動けなくなる劇薬です。

オリヴィア

他のピアスにも睡眠薬とかも仕込んであるわ

リュウ

抜かりねぇな……

オリヴィア

万が一のためにね。
何が起こるかわからないもの

テオドール

まだ1度も使ったことはありません。

針を戻し、またピアスを耳に付け直す

オリヴィア

そうそう

オリヴィア

変装のためだけに1度だけスプタンにしてきたことあったわよねwww

オリヴィア

1週間くらいで治っちゃったけどw

テオドール

あれは二度とやりたくないです。

リュウ

なんだ、スプタンって

オリヴィア

簡単に言うと、ベロを割いて二股にするやつ

リュウ

ひえ……

オリヴィア

舌は治癒の優先度が高いから安定させるの大変なのよ。

オリヴィア

多分リュウくんがやったら30秒くらいで治ると思うw

テオドール

興味本位でするものではないですね。

テオドール

安定するまで耐えるなんてかなり大変だと思います…。

オリヴィア

しばらくは治っていく傍からまた切り直さないとだもん！

リュウ

考えるだけで嫌になる……

リュウ

そこまでしてやりたいもんなのか……

オリヴィア

そういうのは逆に治癒力が低い方がラクかもね〜

オリヴィア

他にもピアスが排除されにくいメリットもあるし！

リュウ

よくわかんねぇけど

リュウ

いろいろあんだな

テオドール

……こんなところでしょうか。

テオドール

でも正直、人の印象なんてほとんど顔で決まるので

テオドール

結局僕の中では化粧と髪型が1番大事です。

オリヴィア

リュウくんもやってもらったら？

リュウ

いらん

変装は大変！！

謎の岩で力比べ

依頼の帰り道……

リュウ

今日は随分と早く終わったな

ドラン

まだお昼過ぎ！！

ドラン

ギリギリテオくんのお昼ご飯食べれるねー

ドラン

……ほよ？

何やら向こうが騒がしい

男

どうすんだよこれ！！

男

そうは言っても重いし硬いでどうにもならない！！

リュウ

……なんだアレ。

道に5m程の巨大な岩が突き刺さっている朝通った時はなかったはずだ

周りにたくさんの人が集まっている

ドラン

ねー、ねー

ドラン

これ、なにー？

男

数時間前、空から降ってきたんだ

男

殴ってもビクともしねぇ。

男

人なら通れるが、荷車なんかはとてもじゃないが無理だ

男

困ったもんだなぁ

ドラン

……こんなおっきい岩が落ちてきたら

ドラン

音であたしも気づくと思うんだけどなぁ

男

それが不思議なことに、降ってきたと言うより

男

ゆっくり"降りてきた"んだ

男

隕石か何かか……

男

信じられないくらい重くて硬い。

ドラン

そっかぁ。

ドラン

ねぇ、りゅー

ドラン

あたし達なら壊せるんじゃない？

男

はっはっ、ここら辺の実力者でも傷1つ付けられやしねぇ

男

そのナリじゃ、ドラゴンの混じりモンとかだろうが

男

お嬢ちゃんにゃ無理だなぁ

ドラン

そんなのやってみないとわかんないじゃん！！

ドラン

ほら行くよ！

リュウ

うぅ……

人を避けて後ろの方で見ていたリュウを岩の前まで引っ張ってくる

ドラン

うわ、でっかいね

リュウ

……見たことねぇ色だ。

リュウ

少し青みがかっていてキラキラしてる

ドラン

ほんとだ！

ドラン

真っ黒な岩だと思ってたけど！！

コンコン

岩をノックするように叩いてみる

ドラン

……これは硬いね

ドラン

いけるかなぁ

リュウ

とりあえず、殴ってみるか

リュウ

ハァ……

リュウ

………………ッッ

ガァンｯｯｯｯ

リュウ

ぎゃん…ｯｯｯｯ!!!!!!

物凄い重低音が鳴り響く

リュウ

ふっ、ぎｨ…かってぇ……ッ

男

な、なんだ今の音！？

先刻の音を聞き、周囲がざわめく

男

あのフードの男、何者だ……！？

ドラン

大丈夫？りゅー

リュウ

〜〜〜ッ

リュウ

絶対……ｯｯ、骨砕けてる…！

ボタボタと血が地面に垂れる

みるみるうちに右の拳が腫れ上がっていく

ドラン

あー、でもちょっと岩にヒビ入ってるよ！

ドラン

ほんとにちょっとだけだけど

リュウ

無理だろっ、こんなん！

ドラン

じゃ、次あたしの番

ドラン

反対からにしよ〜！
りゅーはこっちからね！

痛がるリュウを横目に岩の裏側へと回る

ドラン

……………

ドラン

……………ふッ

ドォン！！！

ドラン

……痛ったぁ

ドラン

……おー。いい感じだね♪

まだ浅いが、1mほど伸びたヒビが入る

男

お、お嬢ちゃんまで……

ドラン

へへ、りゅーよりあたしの方が強いね

リュウ

……あ？

リュウ

全然本気出してねぇけど？

ドラン

あたしも適当に叩いただけでコレだけどなぁ

いたずらっぽく笑う

ドラン

ほらぁ、隠してないでさ

ドラン

左手出さないと絶対勝てないよ？

リュウ

………。

静かにマントを脱ぎ、腰に巻き直す

いつもの負けず嫌いが発動して周囲のざわめきももう耳に入らない

ドラン

ほら、いつも途中で終わっちゃうじゃん

ドラン

どんな敵も、すぐ壊れちゃうから

ドラン

これくらいがちょうどいいね

リュウ

……そうだな

リュウ

真ん中に届くまで破壊した方が勝ちだ

パキｯ、グチ……グチュグチュ…………

生々しい音を立てて右拳の傷が治っていく

リュウ

ふぅー……

リュウ

………ッ

ｽﾞﾝｯ

バキバキバキｯｯｯ

ドラン

んぅおあっ！！

ビリビリと魔力の波動が周囲に広がる

ドラン

……

ドラン

…やるじゃん

岩を見ると打った箇所を中心に放射状に大きなヒビが入っていた

リュウ

かってぇなー。

リュウ

…中心はもっとか。

少し痺れた左手をひらひら振りながら岩を見る

ヒビは伸びたがまだまだ浅い

ドラン

じゃ、あたしの番

ドラン

……ふぅー

冬でもないのに白い息を吐く

いや、これは息というより"湯気"だ

ドラン

はぁ〜

ドラン

ふふ、ふふふ……

ドラン

気持ち良くなってきた…♪

身体が内側からポカポカと暖まる

頬が赤く染まり、恍惚とした表情をみせる

リュウ

…オーバーヒートすんなよ

なんとなく目を逸らしながらドランに忠告をする

ドラン

わかってるって！

ドラン

……んじゃ、そろそろ

ドラン

せーのっ！！

ズドッッッ

リュウ

……

リュウ

……そうくるか

ドラン

ふふー

先程のように音も衝撃も弱く、ヒビも見えない

しかし、ドランの拳が岩に埋まっている

ドラン

……よっ。

ドラン

おー、うんうん。

ドラン

結構いったんじゃないかなぁ！！

リュウ

……

拳を引き抜き、そこを覗くドランの隣へ向かう

リュウ

ほんとだ

一緒に覗くと、奥まで続く穴となっていた

力を一点に集中させ、奥まで衝撃を届けたようだ

ドラン

ふふ、ふふ

体内の魔力のせいで酒に酔ったような様子のドラン

リュウ

……次、仕掛けてくるだろ

ドラン

んー？どうだろう♪

リュウ

……だいたい予想はつく

リュウ

俺も使うか。

また岩の表側に回り、周囲を確認する

いつの間にか大勢の人々はだいぶ離れた場所にいたしかし、みな2人の様子に釘付けだ

リュウ

こんだけ離れてれば大丈夫なはず。

リュウ

(……ただ、コレが"岩"じゃなかったら効かないかもな)

ドラン

さー、りゅーは何してくるかなぁー！

リュウ

……。

リュウ

…………。

左手で岩に触れ、目を閉じて静かに何かを探る

リュウ

…………。

リュウ

(…やっぱり、反応が悪い。)

リュウ

(でもいける……！)

ドラン

？

ドラン

(なにしてんだろ)

左手から伝わる魔力は、脆い箇所をこじ開けるように "魔力でできた根"の如く奥へ奥へと伸びていく

ドラン

！

ピキッ、パキ……ッ

微かに音が聞こえるそれは奥の方で確実に中が崩れていく音だ

ドラン

(そっかぁ)

ドラン

(地属性の竜ってそういうのもできるんだ)

ドラン

(……今それ使うのズルい！)

リュウ

ハァ……。

リュウ

(そろそろ中心まで届く、はず……)

リュウ

(キツいな……)

ピシッ、バラバラ……

ドラン

うぇー、なにそれ

奇妙にもリュウの手から1、2mほど離れた左右両側がどんどん崩れていく

ドラン

どうなってんの……
きもちわる……っ

リュウ

(力が分散してる……)

リュウ

(もっと中心に集めて……)

リュウ

(……)

リュウ

(……なんだ？)

"魔力の根"の侵食が止まる

リュウ

(……もう少し強く)

注ぐ魔力の量を上げた瞬間____

パァンｯ

リュウ

えっ

ｽﾞｻﾞｻﾞｻﾞｯ

ドラン

りゅー！！

突然後方に吹き飛ぶリュウの元へ駆けつける

ドラン

ど、どうしたの！？

リュウ

…えｯ…、はっ………

ぼたぼたと鼻から血が垂れる何が起きたのか理解出来ていない様子だ

リュウ

…………

リュウ

……跳ね返された

ドラン

…え？

リュウ

真ん中に、

リュウ

何かある

ドラン

…………

2人の視線が岩へと移る

さっきのでだいぶ外側が崩れたが、依然中心は見えない

ドラン

りゅー、鼻血

ドラン

すごいよ

リュウ

んえ？

リュウ

うわぁぁぁｯｯ！！！

慌ててマントを隈無く確認する

リュウ

危ねッ！
……さすがお嬢！！

オリヴィア

そのマント、そんなに大事なら

オリヴィア

"汚れ破れ毛玉引火"ぜーんぶ防止してくれる

オリヴィア

"特製コーティング剤"でも作ってあげるわ

オリヴィア

感謝してよね！！

リュウ

ありがとう……

1人で感激しているリュウ

ドラン

マントじゃなくて！！

ドラン

りゅーの心配をしてるの！！

リュウ

あぁ……大丈夫。
自分の魔力にやられただけ

リュウ

攻撃されたわけじゃない

ドラン

そか！

ドラン

じゃ、あたしの番〜

リュウ

……待て！

リュウ

これ以上は危険かもしれねぇ！！

リュウ

やめとけ！！

ドラン

大丈夫だってー！

ドラン

てか、せっかく身体が温まってるんだから

ドラン

今やめたらどうやって発散すればいいのさ！！

むーっと口を尖らせて怒る紅潮した顔、そして頬に汗が伝う

リュウ

っ………

ドラン

もう！！

ドラン

ボケっとしてないで行くよ！！

ぱたぱたとまた裏側へ戻る

リュウ

あーもう……

少しふらつきながらもリュウも後を追う

ドラン

まぁ、りゅーのおかげで中はヒビだらけだし！

ドラン

さっさと終わらせちゃおー

再び自分が開けた穴の前へ立つ

リュウ

…これ、後攻の方が有利だろ

ドラン

はぁ！？

ドラン

そういうの良くないと思う！！！！

リュウ

へいへい。

この後の衝撃に備え距離を取るリュウ

リュウ

…

リュウ

…気ｨつけろよ？マジで

ドラン

どっちのこと？

リュウ

両方だ！！

リュウ

調子乗るとすぐオーバーヒートすんだから！！

ドラン

こんなんでそこまでアツくならないって！

リュウ

それに、どうせ爆破するんだろ？

リュウ

跳ね返ってきてもいいように調整しろよ

ドラン

ネタバレしないでよ！！！

岩の方へ向き直る

ドラン

りゅーには絶対勝つんだから！！！

身体中から湯気が上る

そのまま穴のなるべく奥まで腕を捩じ込む

ドラン

よーしっ

ドラン

いっくよー！せーのっ

ドラン

どっかーn

ドカーンｯｯｯ！！！

リュウ

うわっ！！

けたたましい爆発音に思わず耳を塞ぐ

リュウ

ドラｧｧｧン！！！

リュウ

大丈夫かー！！！

煙たい爆風により前が見えない

その時…

ぱきっ

シュッ

リュウ

…なんだ！？

煙に紛れて何かが飛んでいく影が一瞬見えた

ドラン

もーっ！

バッサバッサ

あまりの煙たさにドランが羽根で煙を吹き飛ばす

徐々に煙が晴れていく

リュウ

ドラン！

リュウ

大丈夫か！？

ドラン

うん、大丈夫だけど

ドラン

なんかいた！！

リュウ

ああ…俺も一瞬だけ見た…

ドラン

…あー！

今まで奮闘してきた岩を見る

リュウ

なんだこれ…

ドランの背丈程の大きさになったが同じ見た目のゴツゴツとした岩がそこにあった

卵のような形…にも見えなくはない

リュウ

これが硬かったのか

ドラン

穴が空いてる！

上部が割れ、中が空洞になっている

ドラン

"さっきの"、ここに入ってたんだ！

リュウ

一体アイツはなんだったんだ…

ドラン

…あ！

ドラン

今日の勝負はあたしの勝ちだね！！！

リュウ

なんだと！

リュウ

絶対ドランが先だったらここまで壊れてなかった！！

ドラン

なにその言い訳！！！

ドラン

認めなよ！！！

リュウ

それに、俺は"真ん中に届くまで"って言ったんだ！

リュウ

それならコレを壊すまでだろうが！！！

ドラン

もー！！わがままだなぁ！

ドラン

じゃあそれでいいよ！！

ドラン

でももう身体冷めちゃったから拳だけでね！！

リュウ

あぁ！！次で決めてやるよ！

リュウ

ウラァ！！

ゴンッ

リュウ

いってぇぇ！！！！

ドラン

情けないなぁ

ドラン

じゃ、あたしー！

ガンッ

ドラン

いｯｯｯｯｯ

ドラン

あ無理だコレ

硬い

一発で素直に諦めがつく程硬い

リュウ

……引き分けだな

ドラン

なんでよ！！！

ドラン

あたしが勝ちでいいじゃん

リュウ

許さん

ドラン

もうー！！

ドラン

……あれ！？

そうして喧嘩していると、突然岩が空へ蒸発していくように音もなく消えていった

ドラン

どうなってるの！？

リュウ

…なんだこれ

岩があった場所に、武器か楽器か… 用途のわからない大きめのアイテムが残った

ドラン

キラキラしてる！！

ドラン

おりゔぃあに見せよう！！

リュウ

そうだな。

リュウ

何かわかるかも。

ドラン

んで！あたしの勝ち！！

リュウ

しつこい！！！

こうして謎の岩は消え、謎のアイテムを手に入れた

戻ろうと振り向くと、ずっと見ていた人々ははっとしたようにぞろぞろ帰っていった

ドラン

……なんか、怖がってた？

リュウ

あんだけ殴ったり爆破したりしてたらな

リュウ

まーたネットニュースに取り上げられるかも……

勘弁してくれと言わんばかりの表情をする

ドラン

まーいいや！

ドラン

帰ろっか

リュウ

おう

またまた勝負は引き分けのようです

あとがき

いつも拙い文を読んでくださっている方ありがとうございます！！へると申します。

手短にお知らせを挟みます。

普段某SNSでお絵描きしていますが、このアプリで知ったくださった方もいるということでこちらでもキャラ設定画を公開することにしました。

もう1つのほうの創作ノベルも更新したのでよろしければ私の作品一覧から飛んでみてください。

@Hell_likeHeaven