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猫屋敷第4話

第1話 - 猫屋敷第4話

278

2018年05月13日

#ホラー

れもん🍋

和樹

鈴野！

スズノ

なんだよ、

スズノ

町田から連絡があるなんて珍しいな。

スズノ

でも僕はあいにく勉強中でね、

スズノ

今手が離せないからまた今度。

和樹

猫屋敷の猫！

和樹

猫の祟りの話を前にしてなかったか？

スズノ

猫の祟り？

スズノ

あぁこの辺りでなら有名な話だ。

スズノ

最近は覚えてる人も少なくなってるみたいだが。

スズノ

で、

スズノ

なんで急にその話を？

和樹

健が行方不明になったのはそのせいかもしれないんだ

スズノ

健？

スズノ

あぁ園田君のことか。

スズノ

この前イタリアンレストランの前を通ったら料理を運ぶ園田君を見かけたよ。

和樹

ああ

和樹

最近はバイトも始めて真面目に生活してたんだ

和樹

だから健を助けてやってほしい

和樹

猫の祟りについて教えてくれ！

スズノ

わかったよ。

スズノ

そういうことなら話す。

和樹

ありがとう！

スズノ

あれは今から約50年以上前の話だ。

スズノ

あの屋敷には夫婦が暮らしていた。

スズノ

凛々しく常に堂々とした旦那、

スズノ

可愛らしく品の良い妻。

スズノ

誰もが憧れた夫婦だったらしい。

和樹

へー

和樹

あの屋敷に猫ババア以外の人が住んでいたなんて知らなかった。

スズノ

猫ババア？

スズノ

そうか、みんなそう呼んでたな。

和樹

え？

スズノ

まぁいい。

スズノ

続きを聞いてくれ。

スズノ

その夫婦はどちらも猫が好きだった。

スズノ

なかなか子供が出来なかったせいもあってか夫婦は沢山の猫を拾ってきたり、

スズノ

買ってきたりしては放し飼いにして自分たちの子供のように可愛がっていた。

スズノ

そんなある時、

スズノ

放し飼いにされた猫に困った近所の人たちが夫婦の家に文句を言いに行った。

スズノ

放し飼いにするのはやめてくれ！

スズノ

うるさくて寝ることも出来ん！

スズノ

猫のフンがそこら中に！

スズノ

掃除するのは誰だと思ってるの！

スズノ

とまぁこんな感じに。

和樹

大変だな

和樹

でも今とあまり変わらない。

スズノ

それはその夫婦が文句を言われても放し飼いをやめなかったからだな。

和樹

放し飼いをやめなかった？

スズノ

言っただろ。

スズノ

夫婦は自分の子供のように猫を可愛がっていたんだ。

スズノ

お前は自分に子供がいたら家に閉じ込めて家から一歩も出られないようにするか？

和樹

いや、しないけど

和樹

でも人と猫は違う！

スズノ

あぁ。僕もそう思う。

スズノ

でもこの夫婦は違ったんだよ。

スズノ

その後も放し飼いは続いて近所の人たちにも文句を言われ続けた。

スズノ

そんなあるとき事件は起きた。

和樹

事件？

スズノ

近所の人たちが放し飼いにされた猫に耐えられなくなって猫を殺したんだ。

和樹

猫を…殺した？

スズノ

それも1匹だけじゃない。

スズノ

ざっと50はいたんじゃないかと言われている。

和樹

50⁉︎

スズノ

夫婦は嘆き悲しんだ。

スズノ

そして2人揃って近所の人たちを恨んだ。

和樹

そうなるだろうな

スズノ

そのすぐ後だ。

スズノ

旦那の方が亡くなったのは。

和樹

亡くなった…

スズノ

そうだ。

スズノ

しかも奥さんは猫と旦那を一度に失ったせいで頭がおかしくなった。

スズノ

近所の人たちを殺し始め、最後には猫に変えてしまったんだから。

和樹

怖いと思っていたら猫に変えたって…

和樹

なんで急にファンタジーなんだよ

スズノ

ファンタジーじゃない。

スズノ

呪いだ。

和樹

呪い？

スズノ

亡くなった旦那はなくなる前に永遠に解けない古い猫の呪いをこの辺りの街全体にかけたんだ。

スズノ

それからというもの、

スズノ

この街では猫屋敷の猫に暴力を振るったり、殺したりすると呪いがかかって猫に変えられてしまう。

スズノ

それがいまでは祟りだとか言われて語り継がれているんだ。

スズノ

だからあの猫屋敷には誰も近づかないし文句だって言わない。

和樹

そうか…

和樹

奥さんも大変だっただろうに。

和樹

今じゃ天国の旦那さんと一緒にこの現状をみて笑ってたりするのかな。

スズノ

それはない。

和樹

なんでだよ

スズノ

奥さんはまだ死んでいないからな。

和樹

じゃあどこにいるんだよ

スズノ

奥さんは今でもあそこに住んでいる。

和樹

え…

和樹

もしかして猫ババアがその奥さん⁉︎

スズノ

あぁ。

和樹

嘘だろ

スズノ

あの人には気をつけろよ。

スズノ

高齢とはいえ自分の子供を今までに何匹も殺されて頭が狂ってる。

スズノ

おい、既読がつかないが。

スズノ

まさか猫屋敷へ向かってるのか？

スズノ

本当に気をつけろよ。

スズノ

じゃないと今度はお前が猫になるぞ。

スズノ

じゃ、僕は勉強があるから。

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