魔物研究記録

静かな街に金属がぶつかる様な音が響く

モノの猛攻を、避けるしか出来ない

当然だ、当たれば即死する

その瞬間、モノの刀が白く光る

つまりそれは光を斬っていないという合図

喉元を狙った渾身の突きは、いともたやすく刀で防がれた

…が、衝撃は消せない そのままガラスを突き破りながらビルに入っていく

剣と刀のぶつかり合い

暗いビルの中で火花が散る

モノの真下に触手を伸ばし、上方向に一気に膨張させる

天井を何枚も貫通し、屋上まで吹き飛ばされた

手を変形させる 資料で見たあの形に

プルトニウムの玉と、ベリリウムの半球2つで構成される装置

ベリリウムがプルトニウムの出す中性子線を反射する

ベリリウムの半球同士が接触すると

その反射が連続で発生し……

"臨界"と呼ばれる、連続で放射線を放つ状態になる

それが悪魔の心臓 「デーモンコア」

プルトニウムの玉を空中に投げ、両手をベリリウムに変化させる

そして落ちてきたプルトニウムの玉を

両手で挟むようにキャッチする

刹那、手の中が眩く光りだす

美しき死の光 "チェレンコフ光"である

暗い暗い街のビルの上で、青く輝く光が一つ。

身体が焼ける、熱い

コイツが死ぬまでは、臨界を解けない

"我慢比べ"だ

追撃と言わんばかりに、両足をニトログリセリンに変化させ、地面を強く蹴る

死の放射線と、最強の爆発

その衝撃に耐えきれず、ビルは崩壊を始めていた