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神社でお守りを買わせてくれなかった。
『そんなもん買わなくても一生そばに居るだろ。』って当たり前なことを言うような顔で言ってくれた。
僕は感極まってボロボロ泣きながら歩いた。
すれ違う人みんなにジロジロ見られたけれど仕方がない。
こんなの嬉しすぎるに決まってる。
葛葉
刀也
ズビッと鼻を啜って葛葉を見上げると、クスクス笑いながらポケットティッシュをくれた。
葛葉
葛葉は木のベンチを指した。
刀也
僕は、チーンと鼻をかみながら葛葉を見送った。
立ち上がって、近くのゴミ箱にティッシュを捨てるとまたベンチに戻った。
ベンチの後ろには立派な木が立っていて、陰になって涼しい。
はぁ…と小さくため息をついた。
食べ歩きしたいけど、お昼の後って結構キツイ。
明日にしようって言ったらいいって言うかな…。
ダメ元でお願いしてみよう。
そんなことをぼんやり考えていると、突然隣に人が座った。
僕はビクリと肩を跳ねさせて端に詰めた。
???
黒い帽子にサングラス、黒いマスクをした黒ずくめの男が声をかけてきた。
刀也
驚いて男を見ると、男はクスクス笑った。
???
刀也
僕がニコリと微笑むと、男は僕をジッと見つめた。
???
???
刀也
???
???
ベンチに置いていた手をスルリと撫でられ、ビクリと肩が跳ねる。
刀也
ブンブンと首を横に振り、少し距離をとる。
なんなんだこの人!
僕をどうするつもり?
顔を青くする僕を見ると男はまた、ふっと笑った。
???
男が何か言いかけたと同時に僕が突然グイッと後ろに引かれる。
刀也
慌てて見上げると顔を歪めて男を睨みつける葛葉がいた。
刀也
助けに来てくれたんだと嬉しくなった。
葛葉
葛葉は凄んでギロリと相手を睨みつけた。
葛葉
???
男は可笑しそうにケラケラと笑う。
葛葉
葛葉が更に顔を歪めると、そろそろヤバいと感じたのか、肩をすくめて苦笑した。
???
葛葉
葛葉は眉間に皺を寄せた。
晴
マスク、帽子、サングラスを取ると、見慣れた顔が現れた。
僕は目を丸くした。
刀也
晴
甲斐田くんは悪戯が成功した子どものようにニヒヒと楽しそうに笑った。
晴
葛葉
葛葉はギュッと僕を抱きしめた。
僕はジッと葛葉を見上げてニコリと微笑んだ。
刀也
そう言うと、葛葉はキッと僕を睨みつけた。
葛葉
葛葉
刀也
葛葉
そう言うと葛葉はもう一度甲斐田くんを睨みつけると突然僕をヒョイと持ち上げて横抱きにして、早足でその場を去った。
僕は葛葉の肩から顔を覗かせて後ろに残された甲斐田くんに小さく手を振った。