TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

wt人外パロ

一覧ページ

「wt人外パロ」のメインビジュアル

wt人外パロ

27 - たった一人で戦い続ける者達11

♥

1,038

2025年08月18日

シェアするシェアする
報告する

第二十七話 たった一人で戦い続ける者達11

きりやんを見送った四人は 早速作戦会議を始めた

きんとき

――で、さっきは詳細を聞けなかったんだけど

きんとき

BroooockとスマイルはNakamuと知り合いなんだよね?

シャークん

てか俺も会ったことあるわ

シャークん

パンダ柄の上着、あれNakamuだ

シャークん

ずっとこの町にいたし、なんなら俺それ追いかけてこの館に来たわ

きんとき

あ、それでシャークんが俺ときりやんをここまで連れてきたって事?

Broooock

Nakamuがここに入ってくるところを見てたのか~

Broooock

じゃあ話が早いね

Broooock

ついさっきまでNakamuがここにいたんだよ

Broooock

きりやんが言ってた悪魔が逃げたっていう悪魔が、Nakamuだよ

きんとき

えっ、Nakamuが悪魔!?

きんときは自分の死後――

Nakamuがどのような末路を 辿ったのかを知らない

きんとき

(そりゃ、人間が五百年も生きられるわけないし人外になってるよな……)

きんとき

(でも、悪魔だなんて……)

そこまで考えてきんときは唇を嚙み締めた

きんときが精霊として 生まれ変わったように

Nakamuもどこかで命を落として

その身を悪魔へと 転身させてしまったのだろうか

そう考えるときんときが 生前の記憶を失っていたように

Nakamuも同じように人間だった頃の 記憶をすべて失っている可能性が高い

スマイル

だからNakamuときりやんを会わせるわけにもいかないし

スマイル

きりやんにNakamuが悪魔だという情報を教えるのもダメだ

スマイル

きりやんが神である以上、悪魔を浄化するという役割を抑える事はできないから

スマイル

知られればNakamuは一生きりやんから逃亡する生活をしなきゃいけなくなる

Broooock

じゃあスマイルが一人でNakamuに会いに行こうとした理由は?

Broooock

僕にもついてきてほしくないって言ったよね

Broooock

どうして?

スマイル

あぁ……うん

スマイルは口を閉ざした

何かを考えているようだが

なかなか答えないスマイルに 三人は焦れた

Broooock

なんで答えないのぉ?

きんとき

考える時間長すぎ

シャークん

長時間長考やめろ

それでもスマイルは返事をしなかった

少し間を開けてスマイルが顔を上げた

スマイル

長時間長考……?

シャークん

……長時間長考!?

きんとき

長時間長考って……

Broooock

頭痛が痛いぃぃ!!

シャークん

www

きんとき

www

きんとき

いやちげぇよスマイル!

きんとき

つっこむとこじゃないんだよそこ!

スマイル

えぇ?

スマイル

……Nakamuがきりやんに浄化されないように、なんとかできると思う

スマイルがそう言った時――

シャークん

(……嫌だ)

シャークんの心を漠然とした その気持ちが占めた

シャークんは自分のその気持ちの 変化に戸惑った

シャークん

(――いやだ?)

シャークん

(良くないとか、ダメだとかじゃなくて、嫌……?)

シャークん

(なんだこれ……よくわかんねぇ……)

Broooock

おぉ、本題戻ったね?

きんとき

なんとかできるんだ

きんとき

じゃぁ俺ら六人に戻れるって事だよね?

スマイル

難関ではある

スマイル

Nakamuは俺を見たら攻撃してくるだろうし

きんとき

なんかあったの?

Broooock

なんかスマイルめっちゃNakamuから狙われてんだよね!

Broooock

一発殴らせろって言ってさぁ、ヤバかったよねぇ!

スマイル

……そうだな

スマイル

記憶が戻った今でもどうしてNakamuが俺を攻撃してきたのかよくわからない

話を聞く限りNakamuは スマイルにとても攻撃的のようだ

きんときはその話を聞いて顎を抱えた

きんとき

(記憶を失った後俺らは――)

きんとき

(もう一度スマイルに魔法使いたちが何をしようとしてるのか聞きに行ったんだ)

きんとき

(一度目と違って、スマイルは戦争を終わらせて魔力を回収する旅に出るって言った)

きんとき

(……多分、悩む必要がなくなったから――)

スマイルはきっと、あの時悩んでいた

魔力を本当に 世界から消滅させるべきかどうか

それは――

ワイテルズの存在が あったからなのだろう

きんとき

(俺やNakamu……Broooockやシャークん)

きんとき

(みんなの行く末を案じてくれていたんだ)

きんとき

(記憶を失うまでは……)

大切なものがなくなったスマイルは 悩む必要がなくなった

もう二度と魔力による 戦争を起こさないために

魔力を世界から消滅させる事に 躊躇がなくなった

厳密に言えばここで

Nakamuときんときは スマイルと会っている

しかしスマイルは二人と会ったことを 完璧に忘れているようだ

きんとき

(興味なかったんだな――俺らに)

ワイテルズという記憶を 失ったスマイルにとって

Nakamuときんときは それだけの存在だった

きんとき

(戦争が終わって、先生が旅に出ちゃって――)

きんとき

(俺とNakamuはそれを追うように旅に出たんだ……)

一発ぶん殴ってやろう―― そう二人で誓い合って

きんときは目を見開いた

きんとき

まさか――

Broooock

ん?

きんとき

あ、いや

きんときは自分の白骨遺体を調べてから

自分について気付いた事があった

それは、あの桜の樹が

きんときの血を 本当に吸っていたという事実だ

きんとき

(だから俺は無意識に血を求めているのかもしれない――)

人として、失った血を取り戻すために

桜として、血を吸う欲を満たすために

そう考えると――

Nakamuは生前の衝動を少しだけ

本能として覚えているのかもしれない

だからNakamuはスマイルに 攻撃的なのではないだろうか――?

きんとき

……じゃぁまぁ俺ならNakamuを止められそうって意味でシャークんはスマイルが行くなら俺も行ったほうが良いって思ったのかな

Broooock

僕はスマイルと立場が同じっぽいよね

Broooock

きんときは特別枠かな

Broooock

親友効果?

きんとき

そう言われるとなんか荷が重い感じするけど

きんとき

Nakamuのことなんとかできるだろっていうプレッシャー

シャークんが困惑している中――

話がどんどん流れていく

Broooock

それじゃぁみんなでNakamuに会いに行って

Broooock

スマイルをNakamuから守りながらスマイルにNakamuが浄化対象から外れるようにしてもらって

Broooock

記憶戻して終わり?

きんとき

記憶戻すの先でもいいんじゃない?

きんとき

その方がおとなしくしてくれるかも

Broooock

じゃぁ先に僕が一人で会いに行ったほうがいいか

きんとき

俺も行く?

Broooock

あぁ、じゃぁきんさんにも来てもらおう

Broooock

Nakamuびっくりするんじゃない?

Broooock

きんときが精霊になってるんだから

きんとき

かもね

きんとき

俺もNakamuが悪魔とか驚いたし

きんとき

シャケにはスマイルの護衛についてもらうか

Broooock

それが良さそう!

シャークん

……まって

か細い声でシャークんが呟いた

みんなはシャークんの その声に耳を傾けた

シャークん

スマイル……俺嫌だ

スマイル

…………

スマイルは特段驚いた様子を 見せなかった

シャークんの言葉に きんときだけが首を傾げた

きんとき

嫌って何が?

Broooock

シャークん、ダメじゃなくて嫌なんだ?

シャークん

うん

シャークん

なんかすごい……やだ

Broooock

……これは僕らの絆としてのシャークんじゃなくて

Broooock

本当にシャークんの直感かもね

シャークん

たぶんさ

シャークん

たぶんなんだけど……

シャークん

俺が嫌だって思わないってことは

シャークん

良いことなんだよ、多分

シャークん

でも……良いことなんだろうけど

シャークん

俺は嫌だ

きんとき

良いことが、嫌?

スマイルは黙ったまま何も言わない

Broooock

……あぁ

Broooock

方法――

Broooock

聞いてなかったね、スマイル

スマイル

……あぁ……

Broooock

どうやって悪魔であるNakamuを浄化対象から外すの?

きんとき

え、あ……まさか――

Broooock

スマイル――
罰を覚えてるんだろ

罰――

Broooockを救うために 神の力を用いて理を変える事

その方法を覚えている者は誰もいない

絶対に消去するという強い意志で 記憶は消されたはずだった

――スマイルが 全員から消したはずだった

スマイル

きりやんがいない今

スマイル

それを行っても罪と罰に問われる事はないから問題ない

Broooock

多分、良い方法なんだろうね

Broooock

シャークんがダメって思ってないんだから

Broooock

でも嫌だって言ってるよ、シャークん

Broooock

スマイルまだ何か隠してる事があるんじゃないの?

スマイル

問題ないって

スマイル

シャークんのダメは命の危機に関わる事でしょ

スマイル

嫌っていうのは個人的な気持ちだから――

Broooock

……――だから
考慮しないの?

Broooockとスマイルは睨み合う

そんな中、きんときが おずおずと手を挙げた

きんとき

あのさぁ……それってさ……

きんとき

Nakamuが、Broooockみたいに眠り続けることになるの?

Broooock

きんとき

俺ら……また待たなきゃいけないの?

Broooock

……いやなの?

問われたきんときは口を閉ざした

嫌だなんて言ってしまえば

Broooockの目覚めを待つ期間も 嫌だったことになる

嫌な思いをさせてまで

待たせてしまったという 罪悪感を植え付けてしまうだろう

だからきんときは答えられなかった

きんとき

……嫌じゃない

きんとき

嫌じゃないよ

きんとき

だって待っていれば、また出会えるんだから

きんとき

でも、スマイル――

きんとき

もしもまた待つ日々になるんだったら

きんとき

俺からもう一度記憶を奪ってほしい

スマイル

……なんで

きんとき

何も知らない日々のほうが

きんとき

俺は何も考えずに生きていられた

きんとき

今は違う

きんとき

今は覚えてる

きんとき

俺の記憶に、心に……

きんとき

早く助けないとって、何かしないとって焦る気持ちがある

きんとき

ずっとあるから……

きんとき

これが続くのは、正直苦しい

Broooockは言葉を失った

待つ人の苦悩に対する慰めの言葉も

叱責の言葉も言えはしなかった

それを言える立場にBroooockはいない

この場にいるのは口下手なスマイルと

自分の気持ちすら理解するのが 難しいシャークんだけだ

それでも――

Broooockはきんときの縋る瞳を遮った

Broooock

一人じゃないよ

Broooock

みんなで待つんだよ

Broooock

だから――また記憶を失う必要なんてないよ

きんとき

……ごめん

Broooock

ううん

Broooock

苦しいって思う気持ちが知れて良かった

Broooock

僕のほうこそごめん

スマイル

…………要するに

スマイル

待たないようにすればいいってことか

Broooock

え……

Broooock

あ、時間魔法!?

スマイル

Broooockもいるなら確実にできる

スマイル

俺が理を変える大魔法を唱えたら

スマイル

眠りについたNakamuに時間加速魔法をかけてやれば俺らが五百年も待つ必要はない

Broooock

前は僕がいなかったし神の審判があったからできなかったんだね?

スマイル

うん

きんときの瞳がきらりと輝いた

きんとき

待たなくていい?

きんとき

Nakamuはすぐに目覚める?

Broooock

うん!できる!

Broooock

僕ならできる!!

Broooock

これならすぐまた六人で集まれるよ、きんとき!

きんとき

……マジかぁ

きんとき

よかった……

安心して微笑むきんときに

Broooockはほっと安堵した

誰かが不安を抱えながら 未来に進む事は

なるべくしたくなかった

いつだってワイテルズは 笑顔だったのだから

残るは一人――

シャークんだけだ

シャークんはずっと俯いて

不安そうにスマイルを ちらちらと見ている

嫌だと思う気持ちがずっと 燻ぶっているのだろう

シャークん

(ダメじゃない――いやだ)

シャークん

(これは俺の気持ち――?)

シャークん

(ただの俺の気持ち?)

シャークん

(本当に……?)

シャークんはたまらず頭を抱えた

シャークん

(もっと具体的に教えてくれよ!)

シャークん

(なんなんだよこれ、本当に意味わかんねぇ!)

シャークん

(気持ち悪いし釈然としない感じが胸糞悪い!!)

その心には段々と イライラが募っていく

その矛先は最終的にスマイルに向いた

シャークん

お前が――何か隠してるから

シャークん

俺がこんなにイライラするんだろ

ザワッ――

周囲の空気が変わる

Broooockは慌てて シャークんの前に立ち塞がった

Broooock

シャークん落ち着けって!

シャークん

言えよ――隠してること全部吐けよ!

眼が反転する

怒りが込み上げて全身の毛がよだつ

メキメキと音を立てたシャークんの体は 上半身が毛に包まれ

狼の顔に変化していった

シャークん

聞いてんのか、スマイル!!

スマイルは感情のない目で シャークんを見つめ返すばかりだ

それが更にシャークんを苛立たせた

きんとき

落ち着けってシャークん!

きんとき

スマイルもなんとか言えよ!

きんとき

わかってんだろお前!

スマイル

シャークんは嫌なだけだろ

スマイル

命の危機はないから問題はない

Broooock

何か他にデメリットがあるんじゃないの!?

スマイル

どんな?

きんとき

よく覚えてないけど!

きんとき

よく覚えてないけど、すっごい魔力使った覚えはある!!

きんとき

魔力が足りなくなるとか!?

スマイル

俺はあの状況下でお前らにも魔力を分け与えたんだぞ

スマイル

それに俺はその後世界中の魔力を奪い尽くした

スマイル

俺には無限の魔力があるからそんな事にはならない

シャークん

本当に――?

シャークんから掠れた声が出た

シャークん

俺のこの気持ちはただの杞憂?

スマイル

……Nakamuを助けるためだ

スマイル

シャークんが嫌な気持ちになるだけでNakamuが助かるなら――

スマイル

安いもんだよね?

どこかで聞いたことがあるような セリフをスマイルは言って見せる

シャークんは再び 釈然としない気持ちに襲われる

きっとどう足掻いても

この気持ちが払拭される事はないし

これ以上の最善の道も 見つからない気がした

シャークんは肩を落として その場に座り込んだ

シャークん

……信じるよ、スマイル

シャークん

だから――願いを叶えてくれよ

スマイル

…………

スマイル

……それは……

スマイル

お前ら次第だ

シャークん

え――?

スマイル

さぁ――

スマイルは懐から地図を取り出して

それをテーブルの上に広げた

Broooockはシャークんの 表情を気にしながら

その地図を覗き込んだ

シャークんもゆるゆると立ち上がって それを覗き込んだ

スマイル

Broooock、今Nakamuはどこにいるかわかるのか?

Broooock

わかんないから探さないとね

Broooock

明日になったらここに来る気もするけど

きんとき

それはBroooockに会いに?

Broooock

うん

Broooock

Nakamuは毎日来てるから

スマイル

俺と結託してる事はバレてると思うけど

Broooock

だから僕に聞いてくると思うんだよね

Broooock

スマイルはどこだって

スマイル

なるほど

スマイルは地図をしまうと 白紙を取り出した

スマイル

ならそれに賭けて作戦を立てよう

決行は翌日だ

この作品はいかがでしたか?

1,038

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚