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⸻そして、午後
外出の準備は整った
彼らの目の届く範囲で、麗央は“ほんの少し”外の世界に踏み出そうとしていた
玄関の扉を開けた瞬間、夏の光がふっと目を刺した。
麗央
思わず目を細めて、麗央は顔をしかめる
その様子を見て、すぐ後ろにいた零斗が小さく笑った
零斗
麗央
朔矢
朔矢が横から麦わらっぽい涼しげなキャップをかぶせてくる
朔矢
麗央
蓮は無言で車のドアを開け、麗央の背中を軽く押す
蓮
その声は柔らかいが、決して拒否は許されない響きだった
麗央は素直に車に乗り込む
すぐ隣には零斗、その後部座席には朔矢と龍牙
蓮が運転席に座ると、車内は自然と静かになった
エンジン音と、窓から吹き込む風の音
それだけが、一定のリズムで流れている
麗央
蓮
蓮が答えると、朔矢が身を乗り出してきた
朔矢
零斗
零斗が呆れたように言いながら、麗央の髪を指先でくるりと巻く
零斗
麗央
朔矢
朔矢が茶化すように言い、麗央がむっと頬をふくらませる
麗央
龍牙
龍牙がぼそりと呟いた
龍牙
その言葉に、麗央はほんの少し目を見開く
……優しい……
口には出さなかったが、胸の中にあたたかいものがふっと広がった
車はゆっくりと街へ入り、人の姿やビルの影が窓の外を流れていく
人々のざわめき、看板の色、聞きなれない音楽
全てが、なんだか遠くて懐かしくて――そして、少しだけ怖い
朔矢
朔矢が冗談混じりに言うと、零斗が即座に横から小突いた
零斗
朔矢
麗央は窓の外を見ながら、小さく笑った
久しぶりの外の世界
まだ慣れないけど、怖いだけじゃない
隣で零斗がふいに言った
零斗
麗央
零斗
麗央
零斗
麗央
小さな声でそう答えた麗央に、車内が一瞬、笑いに包まれた
その穏やかな空気の中で――車は、目的のカフェへと向かっていた
だいふく
だいふく
コメント
7件
1000にしときました
可愛すぎるよ🤦♀️
麗央の素直な感じといい、何もかもが尊くて見てて癒されます!!