“君には分からない。”
それは
僕にとっての最高の選択肢なのか。
それとも
最悪の選択肢なのか。
どうやら僕は迷っているらしい。
あぁ、今日もまた
深い深い海の底に
沈 ん で ゆ く | |
水色をたくさん吸ったような
澄みきった水色の大空
__カシャッ
カシャッ__
何度も何度も
カメラの乾いたシャッター音を鳴らす。
僕は後どれだけ
この乾いた音を聞けるのだろう。
クラスメイトの君
僕はこの人について何も知らない。
そしたら君は「ふぅん。」と言いながら笑顔を見せてきた。
__そう、
人間が大嫌い。
特に
君みたいな人は____
どこが可笑しいんだよ。
笑うことなんて一切なかったはずだ。
カメラの向こう側
僕にとってそれは
全く別の世界だと言うべきだろうか。
どうやら僕は
カメラのデータに
人の思い出が残るのが嫌と言うことだ。
それからと言うものの
君は良く僕に話しかけてくるようになった。
しつこい
どうして僕に絡んでくるんだ。
何度、君に声をかけられただろう。
それに対して僕は何度、
断っただろう。
あぁ、何だか馬鹿らしくなってきた
__カシャッ
もしかしたら僕の未来は
今よりも窮屈になるかもしれない。
だから
__怖い。
君は笑顔で僕に手のひらを向けた
この人の選択は正しいのだろうか。
いつも僕は逃げてばかりだろうか。
その判断は正しいのか正しくないのか
僕には分からない。
けどこの手を取る選択肢もあるだろう。
間違えても良い
正しくなくても良い
その判断を決めるのは
僕自信だ。
彼女の手をそっと握る。
そしたら満面の笑みで笑うから
僕はそっと視線を外した。
実はまだ怖くて写真を撮っていない。
データにあるのはやっぱり風景だけ。
カメラのデータを何度も何度も見る。
僕はこの写真の中に
彼女を撮って残しても良いのだろうか。
キィィィィィ……!!!!!
僕に向かって居眠りの自動車が ランプを光らせて走ってくる。
どうやら運命は
変えられないらしい。
ドォォォン!!
「…て!!」
「ねぇ……!!!」
「起きてよ!!!」
___誰かが呼んでる
でも、身体がもうめちゃくちゃで
苦しくて、痛くて
辛い。
あぁ、身体から血が抜けていくのが分かる。
「起きろ…馬鹿!!」
「ねぇ、!!」
そうだ、最後に
僕はやらなくちゃいけないことがある。
目を開けると
目の前に大粒の涙を溢した君が居た。
僕がはねられたと同時にカメラも吹っ飛ばされたのか。
あぁ、気持ち悪い。
呼吸するのも苦しい。
ヒューヒューと荒い呼吸が響く。
もう声を出すのさえも…
でも最後に
最後だけだから。
僕は力を振り絞って君からカメラを貰って
使えるか確認した。
カメラの向こう側をそっと覗く。
川奈 渚
川奈 渚
__カシャッ
彼女は頬を濡らしながら笑顔を向けた。
これで終わりか。
もうカメラの乾いた音も
君が笑う顔も
写真のシャッターも
何も出来ないのか。
ねぇ、渚
このカメラ、君にあげるよ。
大切に持っててよね。
そしたら僕は君にまた逢える。
……そうだなぁ、
例えば10年後。
今度は僕が君を迎えに行く。
それまで待っててよ。
どんどん身体が沈んでゆく。
視界もだんだんほやけてくる。
君の事は大嫌いだった。
でも、ほんの数ヶ月間
楽しくて楽しくて仕方なかった。
また出会えた時は必ず____
僕はそっと__
一粒の涙を溢しながら
静かに目を閉じた。
コメント
51件
この切なさヤバすぎる…… めっちゃ感動しました( ;˙꒳˙;)
え...凄い..... 感動しました、 これからも頑張ってください、!
神かよ✨←唐突 切ない…創くんまた渚と会えたらいいね 他の物語も楽しみにしてる!