月の下の鏡

双子の妹、未来が話しかけてくる。

うそ。

はっきり言って、

未来がウザイ。

未来は学校でも有名な

顔良し、スタイル良し、性格良し、性格良し、運動良し

な、カンペキガールなのだ。

ブスでスタイルも良くなくて、運動も苦手で勉強も無理。

それに暗いし。

運動するぐらいだったら家でゲームしてたいよって感じだから

学校でも家でもぼっちなのかな？

学校で今日も「なんでおまえはそんなブスなん？」

とからかわれた。

そう呟いたりした。

帰り道を歩いていると、

綺麗なお姉さんがシートをしいて、道端に座っていた。

つややかな黒髪が色白の肌もあり すごく目立つ。

周りをキョロキョロして、 誰も居なかったので私だと気づいた。

こくりと頷く。

お姉さんがくれたのは

高級そうな手鏡だった。

鏡は汚れなどなにもない。

持ち手と周りの所には

綺麗なシルバーで花が縁取られている。

いやてか綺麗なお姉さんが道端に座ってるとか 普通に考えてそんなことないよね？

帰ろうと思い、お姉さんに鏡を渡そうとする。

全てを見透かされているのではないかと思う。

返すのをやめた。

私はカバンに鏡をしまって歩き出した。

振り返ってみるとあのお姉さんはいなかった。

下からは未来とお父さんが楽しそうに話している声が聞こえる。

私あんな風に喋ったことないや……

ベランダにでて手鏡を持って

目をつぶる。

私のなりたい姿……

みんなに愛されて、

未来みたいにかわいくなりたい……

私は毎日それをやった。

なぜか私がそれをする時は曇っていても 隙間から月が見えるようになって、

降っていた雨も止んだりするようになった

今日は三日月。

あとちょっとだ。

いつものように目をつぶって 自分のなりたい姿を描いた。

すると背後でガチャっと音がした。

振り返ると

さっと体の後ろに鏡を隠す。

ささっと後ろを覗いてくる。

逃げたりしていると。

手が滑って鏡を落としてしまった。

慌てて鏡を拾う。

バキバキに亀裂が入っている。

言ってしまった……

ていうか私なんてことを……

未来の横を通り過ぎて外に出ようとした時。

未来が私の腕を掴んだ。

え？

涙でぐしゃぐしゃになった未来の顔を見て、

私は泣いた。

なんて愚かなことをしたんだと。

ジンクスなんかを信じて変わろうとしなくても。

ここには私を愛している人がいる。

未来が私を抱きしめた。

鏡が割れてしまって、処分したことを言いに行く。

頭をさげる。

顔をあげるのが怖かったけど、

思い切って顔をあげると。

お姉さんは笑っていた。

もちろん、

END