黄色い薔薇は咲かぬ日々 第26話
貴夾 寅彦
会いに行こうと思っても…お前が街に出かけるから……
貴夾 寅彦
行きたくても行けなかった
与根宮 桜子
…………
与根宮 桜子
(会いに行きたいと……思ってくださってたんだ)
与根宮 桜子
……わたくしも………会いに行きたいと思っていました
与根宮 桜子
先日わたくしが寅彦様の手を振りほどいてしまったので………それも謝りたくて
与根宮 桜子
あの時は本当に申し訳御座いませんでした。
与根宮 桜子
寅彦様はわたくしに気を使ってくれたのに……
貴夾 寅彦
…………
貴夾 寅彦
いや、俺の方こそ。
貴夾 寅彦
前桜子が言っていたとおり、俺は3人の妻を持ってる
貴夾 寅彦
一人一人に妻としての待遇を与えなければならない
貴夾 寅彦
だが……今は桜子のことが知りたいんだ
貴夾 寅彦
お前はまだここに来たばかりだし、分からないこともあるだろう
貴夾 寅彦
それと同じで俺もお前のことを知れていない。
貴夾 寅彦
だから……ついあの時は桜子の元へ行ってしまった
貴夾 寅彦
こんな奴が後宮をもつなんておかしいよな。
与根宮 桜子
………
与根宮 桜子
いいえ。
与根宮 桜子
わたくしは寅彦様が後宮を持てること、わかる気がします
与根宮 桜子
寅彦様はわたくしを含め3人に妻としての待遇を与えなければならないとわかってる
与根宮 桜子
だからこそ反省ができているのでしょう?
与根宮 桜子
寅彦様も人間です 好きな方へ歩いてください
与根宮 桜子
それに……わたくしのところへ来てくれたの………嬉しかった…ですし
貴夾 寅彦
………
貴夾 寅彦
笑……やっぱり桜子は桜子のままだ
貴夾 寅彦
桜子に連れていきたいところがある。着いてきてくれないか
与根宮 桜子
………?わかりましたわ
与根宮 桜子
わぁ……!!
与根宮 桜子
なんて素敵な星空……!
貴夾 寅彦
ここはここら辺でいちばん綺麗に星が見える場所なんだ
貴夾 寅彦
気に入ってくれたか?
与根宮 桜子
ええ!とっても!
与根宮 桜子
でも……何故でしょうか
与根宮 桜子
わたくし……ここらに来たのは最近なのに……妙に懐かしい気がします
貴夾 寅彦
………ピクッ
貴夾 寅彦
……もしかしたら桜子が住んでる場所の近くにもこんな場所があったのかもな
与根宮 桜子
………そうなのでしょうか
貴夾 寅彦
…………
与根宮 桜子
……寅彦様はここをどうやって知ったのですか?
貴夾 寅彦
………
貴夾 寅彦
初恋の子に連れてきてもらったんだ
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