若井滉斗side__
そこらじゅうに汗を飛び散らせて
頭に響くのは自分の切れた息の音だけ
足がもつれても
息が切れても
ずっとずっと走り続けた
目指したのは
たった一人の幼馴染の
大森元貴
すぐ、夜に溶け込んで消えてしまう
そんなしゃぼん玉みたいな人
mtk.
暗い室内
その中で元貴はソファに座って蹲っていた
当たり前のように手に持った合鍵を見て
元貴はふっと息を漏らした
確かにそこに元貴は“居る”
なのに、“居ない”ような
そんな重くて暗くて、静かな雰囲気
大きな目は黒くて、重たい
hrt.
mtk.
泣きそうなのを、堪えて震えた声
俺はその反応に安心して
元貴の隣に腰掛ける
乱雑はしていないけれど所々埃の被った部屋
最近忙しかったから掃除できてないんだろうな
mtk.
hrt.
肩にずしっと重みがくる
隣を見ると元貴が頭を肩に乗せている
雰囲気だけでわかる、元貴の寂しさが肌を刺激する
息をするのが重いほど、暗い部屋
口ではなく、行動で示す
『寂しい』なんて絶対に言わない
『待ってた』なんて絶対言わない
本当は心の奥で誰か来るのを待っている
それを、元貴は言葉に表さない
mtk.
hrt.
よかった、と元貴を纏う雰囲気が揺らぐ
そして元貴はゆっくり抱きついてきた
押し潰されそうなほど強く
それでもどこか、優しげに
こんにちは
連載増やしてごめんなさい あともう一個は増やす予定です
♡と💬たくさんください
それではまた
コメント
6件
ナハトムジークですか?相変わらず言葉選びがお上手なようで
ナハトムジークか、好き。 りんの作品うち大好きだ。
夜の音楽ってナハトムジークかな…?? 連載ありがとう!!