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事件が起こった。

きっと、私がシュウ君の家に居候することになってからの 最大の事件だろう。

あの時は、本気で驚いたし恐怖した。

あの日は雨が降っていた。

主(ヤナ)

ただいまー。

主(ヤナ)

誰かいるー?

雨が制服を少し濡らしていて、 気持ちが悪くて早く着替えたかった。

電気が点いていなかったから、 誰もいないだろうと思って私はリビングに行った。

ツン、と嫌な臭いがした。

鉄っぽい、変な臭い。

主(ヤナ)

………?

嫌な予感がした。

リビングに行くと、私は目を見開いた。

床が、赤くなっていたのだ。

誰かの、血液で。

幸い、血の量はそんなに大量ではない。

激しく動く心臓を落ち着かせながら、 私は恐る恐る血の跡を辿った。

「ルイ君!!」

血の先は洗面所。

そこには、 ぐったりとした様子で壁に寄りかかって座り込む ルイ君がいた。

こめかみから血を流していて、そこが一番重症のようだった。

他にも、顔には所々に殴られた痣や 首に変な跡がついていた。

主(ヤナ)

ルイ君!!大丈夫⁉何があったん⁉

ルイ

……。

ルイ君は何も答えなかった。

小さな呼吸音から、生きていることが分かる。

主(ヤナ)

ちょ…、ちょっと待ってて!!

私はダッシュで救急箱を取りに戻り、 ルイ君の止血に取り掛かった。

怪我は命に関わるものではなく、 救急車は必要なかった。

止血の間、ルイ君に 「誰にやられたのか」や「何があったのか」を 尋ねたがルイ君は何も答えなかった。

私の中で、最悪な予想が思いついてしまった。

主(ヤナ)

(……もしかして)

これを読んでいる人は、もう分かったかも知れない。

主(ヤナ)

ねぇ、ルイ君。

主(ヤナ)

もしかしてだけどさ…、もしかしてなんだけどね。

主(ヤナ)

その怪我、シュウ君がやった?

静かな沈黙が流れた。

私は知っている。

ルイ君が噓を吐いたり、誤魔化したりするときは、

いつも黙って下を向くことを。

そのとき。

シュウ

ヤナ?

驚いて振り向くと、いつの間にか背後にシュウ君がいた。

主(ヤナ)

……ルイ君に怪我させたのシュウ君だよね。

シュウ

あー、うん。そうだけど、何?

シュウ君はさも当たり前のことかのように 頷いた。

主(ヤナ)

やりすぎやろ、こんなの。

主(ヤナ)

いつもの喧嘩やったら、こんな血塗れなんかにならへんやろ!

主(ヤナ)

いくら何でも、やりすぎやって。

ふと、顔を上げた。

私はゾッとした。

シュウ君は、ルイ君をじっと見つめていた。

何を考えているのか分からない、黒くて暗い目だった。

主(ヤナ)

……シュウ君?

私が声を掛けると、 パッと視線を私に向けて笑った。

シュウ

ごめんごめんw

シュウ

ちょっとルイと揉めてさぁ~w

シュウ

いや~、ホンマにごめんなぁw

ルイ君の方を見れば、 彼は縮こまるようにして膝を抱えていた。

主(ヤナ)

(……狂ってる)

確信した。

こいつらは、本当に狂っている。

どう考えてもおかしいルイ君の傷を、 喧嘩でできた傷だと言い張るシュウ君も。

それを「違う」と言い返さないルイ君も。

狂っている。

主(ヤナ)

…とにかく、ルイ君の怪我が治るまで絶対安静だから。

その時、私は見て見ぬふりをした。

彼らのどう考えてもおかしい関係に、 私は恐怖したのだ。

その日は、私の意見でシュウ君とルイ君は 別々で寝ることにした。

そして、数日後。

ルイ

ヤナ。

主(ヤナ)

どしたのルイ君?

ルイ

明日からまた、シュウと寝るから。

主(ヤナ)

……。

私はあの時、どんな表情をしていたのだろう?

主(ヤナ)

…うん、分かっ、た。

私は頷いてルイ君を見た。

主(ヤナ)

ねえ、ルイ君。

ルイ

…どうした?

主(ヤナ)

あの怪我ってさ…、本当にシュウ君との喧嘩でできた怪我?

ルイ

…うん。そうだけど。

ルイ君の顔は、 いつもと変わらないルイ君のままだった。

主(ヤナ)

……そっか。

あの時、私は何といえば良かった?

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