僕の余命は

僕は桃くんが好きだった

今も好きだ。

こんな形で知りたくなかった

この恋は死んでも隠さなければならない

特にお父さんには絶対

心配なんてかけたくない

恋をしないように男子校に入れてもらったのに

まさか男の子を好きになるなんて、

情けない

恋をしている僕は泣くと死ぬ

もう正直死んでもいいかと思った

僕にはもう何も無い

健康な身体も

優しい母も

満たされてた心も

全て失ってしまったんだ

生きててもなんの意味もない

涕涙病もいつまでたっても治らないし

この病気にかかって十数年

検査の結果は悪くなる一方だそう

これはお父さんから直接言われてない

看護師の話を偶然聞いた時に知った

内緒にしたいんだろうか。

別に言ってくれたって

そもそも興味なんてないから問題ないのに

でも泣いたら死ぬなんて

今の僕には最悪の条件だ

今学校のいじめを止める人はいない

赤くんや黄くん、僕の友達は

見て見ぬふりしてる

そして桃くんは

あの日から学校に来てない

がらがら〜

助けて欲しい

そう思うのは傲慢だろうか

友達だと思ってたのは

僕だけ？

今ここで泣いて死んだら

みんなどう思うかな

やってみればいいじゃん

どうせ価値無い命だ

いつ死んだって

僕もみんなにとってもどうでもいい

泣こう

意味がわからない

死ぬのが怖い？

そんなはずない

本当に怖いなんて思ってない

じゃあなんで、

もしかして本当に

感情も涙も全部

空っぽになった、？

思い返せば

クラスメイトからのいじめも

前ほど辛いと感じない

というかどうでもいい

全部どうでもいい

僕の目はいつまで経っても

潤うことはなかった

その日から約1週間

僕は毎日毎日

泣ける映画や小説を貪るように見た

別に死にたくて仕方がなかった訳じゃない

ただ

自分が人間じゃ無くなったみたいで

化け物みたいで

ただひたすらに怖かった

死ぬとかどうでもよかった

普通の人になりたかった

もう虐められても何も感じない

けど、

赤くん達が見て見ぬフリしてること

桃くんが来てないこと

この事実が僕を永遠と苦しめた

涙が出ない代わりに

心臓が痛くて

感情が出ない代わりに

呼吸が苦しかった

もう、終わらせていいだろうか

こんな日々も

この身体も

全部

僕は今日

病院の屋上から踊り狂ってやるんだ

綺麗な夕焼け

と、きたか

なんかエモいな

まぁ雰囲気とかどうでもいいか

どうせ死ぬんだ