テラーノベル
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橙 。
カフェを出て駅に向かう途中、橙がふいに言った。
緑 。
橙 。
橙 。
緑 。
緑 。
橙 。
睨まれて、言葉を飲み込んだ。
つい調子に乗ると、彼女はすぐにそうやって睨んでくる。
でも、それがもう怖くなくなってきてる自分がいる。
緑 。
緑 。
緑 。
俺の問いに、橙は歩く速度を緩めた。
彼女の足元に、制服のスカートがふわりと揺れる。
橙 。
そう呟いた言葉は、いつもより少しだけ素直で、微かに寂しげだった。
沈黙が落ちた。
橙 。
橙 。
緑 。
橙 。
その言葉が、思った以上に胸に響いた。
たしかに俺は、彼女の"噂"に何となく距離を取っていたし、クラスの雰囲気に流されていた。
でも_昨日と今日の彼女を見てからは、何かが変わり始めている。
緑 。
橙 。
緑 。
一瞬、彼女の足が止まった。
風が吹いて、橙の髪がふわりと揺れた。
その横顔が、ほんの少しだけ赤くなって見えたのは、夕日のせいだけじゃなかった気がした。
橙 。
緑 。
彼女は小さく笑って、ポケットに手を入れた。
橙 。
その言葉には、毒も針もなかった。
ただ、少し照れくさそうな、優しい響きがあった。
その日、俺の中で"橙"という存在が、また少しだけ特別になった気がした。
コメント
4件
橙さん照れてる〜! このペア本当に大好きです♡