菜花
ねぇ、唯月、
唯月
ん?
唯月
どした?
菜花
あのさ、
菜花
私さ、
唯月
うん、
菜花
唯月が好き。
唯月
俺は──。
あれは、
テストも行事も何も無い
“エアポケット”
の時期だった。
※エアポケットとは大きな行事が何も無く学校全体が和やかな雰囲気の 時期のことである。 (詳しくはネット)
ガラッ
先生
転校生を紹介する。
先生
山口 唯月だ。
唯月
どうも…。
先生
席はー、橘田の隣が空いてるな。
先生
橘田、よろしく頼むぞ。
菜花
(げー、あんな無表情な転校生と)
菜花
(仲良くなれるわけない…)
菜花
…はい。
菜花
よ、よろしくね、山口くん。
唯月
唯月でいいから。よろしく。
菜花
え、あ、わかった……?
初めて見た唯月は
すごく無表情で
何考えてんのか
全く分からず、
全く好きじゃなかった。
私といえば
そんな唯月とは
正反対で、
なのに、
なぜか惹かれ始めていた。
菜花
ね、ねぇ、山口くん。
唯月
唯月でいいよ。
唯月
前の学校もそうだったし。
菜花
ゆ、唯月、
唯月
なに?
菜花
周りのみんなと仲良くしないの?
そう、
この時の唯月は
私以外と喋る気配が
全くなかった。
唯月
…別に。
唯月
橘田さんがいれば
唯月
みんなにいろいろ聞いてくれるし
唯月
俺にも話してくれるから、
唯月
困る事ないし。
菜花
うっ、まぁそうかもだけど…
菜花
じゃあ、部活とか委員会は?
唯月
…悪いけど入るつもりない。
菜花
ふぅーん。
菜花
あ、そうだ。
菜花
唯月って呼んでるし、
菜花
菜花って呼んでよ。
唯月
…
しばしの沈黙
唯月は俯いている。
菜花
ダメ…かな?
そう聞いて覗き込んだ
唯月の顔は
いつもの無表情じゃなくて
驚いた顔だった。
続きはまた!
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