いるまside
雪のように冷たい風が吹いている中、
俺は1人、他所の家の妹をおぶり、家路を歩いていた。
......そう、
俺の背中に新しい毒舌で生意気な年下、
莉紗が居るのだ。
いるま
数分前、
ほんの数分前。
莉紗が俺に抱きついてきて、
急に「おぶれ」と言われた。
すごく震えた、か弱い身体で。
いるま
俺に体重を預けている莉紗が、昔のこさめと比例される。
そういえば、昔こさめと散歩してる時もこんなんだったっけ、
いるま
莉紗
俺の耳元で莉紗が寝言を言う。
いるま
こいつもシスコンだな、
ふと、らん達のことを思い出し、スマホを確認する
でも、電話はとっくに切れていた。
いるま
いるま
俺は星が散らされている空を見上げた。
果てもなく降り続けている雪が、またあの頃を思い出させる。
まだ楽しかった、8回目の頃を。
いるま
透難しおり。
8回目の再婚の時、姉になった人。
持病のせいで俺らより幼い性格だけど、誰よりも優しかった人。
大好きで、離れたくなかった人。
いるま
あの人が今、この街に居るのなら、
また、戻ってきてくれているのなら、
面と向かって話したい。
また、仲良くしたい
......なんて、
いるま
俺は1人、家のドアノブを回した。
いるま
まるで境界線が張られているかのように、周りの温度が変わった。
俺が一言発すると、慌てているかのように5つの足音が聞こえてくる
らん
らんが半泣き状態で俺に抱きつく。
いるま
らん
後ろから微笑ましそうに笑っている4人。
あいつら後で潰す。
莉緒
リビングの方から夕飯の準備をしていたであろう莉緒が出てきた。
莉緒
莉緒
莉緒がすぐさま駆け寄って莉紗をおぶる。
莉緒
莉緒
純粋な笑顔で、こう聞いてきた。
いるま
いるま
いるま
いるま
莉緒におぶられている莉紗を見ながら呟く。
正直、少しだけ楽しかった、
ってのは俺らしくないし、
からかわれそうだから言わないでおこ、
莉緒
莉緒
俺の言葉を聞いて、莉緒が悲しそうに苦笑いをする。
......少し申し訳ないんだけど、
莉緒
莉緒
さっきまでの悲しそうな表情はなんだったんだ、
めちゃくちゃころころ変わるな、
さっき聞いた話だけど、
莉紗は買い物に行く時はいつも、
一緒に来た奴とか、
そいつが仲のいい奴らのことを考えて、つい沢山買ってくるらしい。
そのせいで、前の母親とは大喧嘩になり、離婚にまで追い込んだとか
すげぇなあいつ、
らん
らん
らんが俺の足元を指差す。
いるま
そこには、
莉紗が1人で買いに行った時に持ってた袋だった。
いるま
すち
いるま
こさめ
こさめが楽しそうに近寄る。
動物に例えると犬。
めっちゃ犬。
いるま
こさめ
こさめ
俺が悪戯半分でこさめをからかうと、すぐに耳としっぽが垂れ下がる。
流石に罪悪感が溢れてきたので、仕方なく袋を開けてみる。
いるま
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